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家が燃えた。家具も金も燃えた。無一文だ。

⚠︎この話はフィクションである。


今、燃えている自分の家の前にいる。


ガスの元栓がゆるんだところに、

コンセントの火花が散ったらしい。


マンションの窓から家具が飛び出している。


恥ずかしい。

飛び散った冷蔵庫には調味料しか入ってない。


管理人が

『お気の毒です。行く当ては、、』


と言っているのが遠くで

聞こえた。


放っておいてくれ。

もう辱めないでくれ。


夜中でも開いているバーに逃げて来た。

朝まで飲んで全て忘れよう。


気づいたら店の前で寝ていた。


財布がない。


なんて日だ。


『おい。なんてとこで寝てんだ』


真っ黒なシャツに真っ黒なネクタイ、

ジャケットの男が覗き見ている。


『うるさい。ほっとけ。

もう帰る家がないんだよ』


『その話、聞かせろ』


男は70キロはある僕の体を軽々と担いで、

彼の家がある町外れまで連れて来た。


あばら家だった。

ドアは外れて窓も半分は割れている。


『家は?』

『は?』

『家はどうしたんだよ』


『さっき燃えちまったよ。

30万のソファーも金も全部だ』


『お前はモノに人生を支配されてる』


『なに?』


『お前はモノに人生を支配されてる』って

言ったんだよ。



僕には、その言葉の意味が分からなかった。


福田光宏


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