死ぬ前に後悔するのは『やってしまった失敗』ではなかった。
⚠︎この物語はフィクションである。
おじいさんが入院したと聞いて病院に来た。
じいちゃんにはお世話になっていたから、心配。
「じいちゃん?」
「おお。来てくれたのか」
「体は大丈夫なの?」
「昨日よりは調子がいい」
「まぁ、座れ」
「うん」
「今日は月曜だろう。学校は?」
「ごめん。最近学校には行ってない」
「そうか」
じいちゃんは素っ気無くそう答えた。
「怒らないの?」
「なんで怒るんだ。」
「何でって。もう二週間も行ってないんだよ?
「それがどうした。行きたくないんだろう。
お前が行きたくないところに行かせるほど、
じいちゃんは真面目じゃない」
「そんなこと初めて言われた。みんな頑張って行け
としか言わないから」
「頑張れってのは優しいようで、場合によっては相手を
傷つける言葉なんだよ」
「そうだね。分かるよ。頑張ろうとしても体が
動かない時あるし。」
「お前は別に遊んでいるわけじゃない。こうやって
じいちゃんに会いに来てくれたじゃないか」
「婆さんなんて一昨日来たきりなのに」
「フフッ」
「じいちゃんくらいの歳になるとな、
『ああしとけばよかったな』って後悔
することが多いんだ。」
じいちゃんが珍しく自分の話をしてくれた。
「今でも後悔するのはな、失敗したことじゃなくて
やらなかったことなんだよ。」
「お前にはそういう気持ちになってほしくない。
だから学校に無理やり行かなくてもいい。」
「わかった。」
じいちゃんは久しぶりに沢山喋ったからか、
横になってそのまま眠ってしまった。
ぼくは静かに病室を出ることにした。
これがじいちゃんとの最後の会話になるとも
知らずに。。。
福田光宏
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こういうショートショートまとめて作りたい。
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