見出し画像

『悩みたいから悩んでいるだけだって?』ふざけるな。僕は真剣に悩んでいるんだ!この小説家は僕をバカにした!

※この話はフィクションであり、実際の人物や事柄とは

 関係がありません。



あの日のことをどこまで話しただろう。



ああ。ここまでか。



そう。



彼は席に着くやいなや言ったんだ。


『お前は悩みたくて悩んでいるんだ』ってね。



ふざけるな。


ベストセラー作家だか何だが知らないけど、

僕をバカにしているんだ。



『そ、そこまで言うことはないでしょ!

  僕は真剣に悩んでいるんだ。』



『分かったよ。そうカリカリするな』



『じゃあ、何に悩んでるんだ?』



『何ってそれは、、』



図星だった。


何に悩んでいるんだろう。



何を思って彼を訪ねたのだろう。



『な?』


『えっ?』



『お前はまだ起きてもないことにビビっているだけだ』


『ありもしない恐怖に踊らされているにすぎない』



言われってぱなしだ。


僕にもプライドがある。



何か言い返さないと。


『そりゃあ、あなたは不安はないでしょうね。

 ベストセラーをいくつも出しているし、それに

 比べたら僕なんて、、、』



『俺がお前くらいの頃は一冊も本を出してなかった』


何を言い出すんだ?


『多分今のお前より金もなかったね。ただ書き続けたさ。

 ボツ原稿が背丈まで積み上がったときは我ながら

 笑ったよ。』


『当時、不安がなかったと言えば嘘になる』


『不安なときってのは頭が暇なときなんだよ』



『分かるか?』



彼の言っていることは当時の僕には分からなかった。


今なら分かる。

 



僕は彼の後を追ったわけではないが、

今小説を書いている。

 

出版社に送り返された原稿が部屋に散らばっている。


今度短編が掲載されることになった。




『悩みたいから悩んでいるだけだ』


本当にその通りだ。



僕はあの頃より悩まなくなった。



何でかって?


『それはね、、、』




続くのか?



オマージュした兄さんのブログ。

兄さんの短編小説続きが読みたい(ボソッ)



福田光宏

LINE mitu05030

mail seifinovation05030@gmail.com

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?