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影響、営業、はたまた押し売り



4月は何かと忙しくて、特に何をしたわけでもないのに仕事から帰って来たらドッと疲れが出て夕方少し横になったり、それが出来ない日は21時より前には布団に入っていた。そんなある夜のこと、お布団の中でうとうとしていた私の携帯電話が鳴った。義姉からだった。

「夜遅くにごめん」
何事かと身構える。夜遅く、あるいは朝早くの電話は怖い。何か良からぬ事が起きたのではないかとつい思ってしまう。

「お義母さんから皆に話があるからって、皆で集まって夜ごはんを食べながらと思ってるんだけど。◯日の夜はどうじゃろうか?S家(長女宅)にも都合聞いてもらえる?」


どうと言われましても、うちのちゃまはもう寝ちゃってるし、S家もお孫ちゃんがいるからもう寝てると思う。「明日聞いて連絡します」
「お店を予約するから、なるべく早くお願い」

はい‥でも、そもそも何のために集められるのか、何の話があるのかわからないのに。それについては教えてもらえないらしい。義姉も内容は知らないのか?知ってるのか?
後から考えたらいろいろ聞きたいことがあったのに、うとうとしてたところへ突然の電話だったため頭が働かなかった。悔しい。


次の日の朝、ちゃまと次女に電話の件を話す。案の定ちゃまは、何の用事かを何故聞かなかったのかと私を責めた。

「ま、良いじゃん。晩ごはんご馳走してくれるって言ってるんだから。美味しいものだけ食べに行くつもりで‥」

次女もその日は仕事が休みと判明、我が家は全員出席出来ることとなった。
長女には昨夜のうちにLINEしておいた。朝起きてから既読が付いて、その後返事が来た。「大丈夫そうです」旦那さんにも聞いてくれたようだ。これで長女宅も全員出席出来ることになった。さっそく義姉にLINEする。


「我が家もS家も全員出席できます。よろしくお願いします」するとすぐに返信が来た。

「大人何人ですか」
いやいや、大家族じゃないんだから数えたらわかるはず。

―5人ですけどっ!何か?!
と言いそうになったけど、

「5人です」
そのあと場所と時間を知らせるLINEが来た。
集まるのは、義母、義兄義姉、甥っ子(義兄義姉の長男)一家、そして我が家とうちの長女宅。大人10人、子供4人。義兄のとこには次男もいるが、今中国に住んでいるので今回は欠席。とりあえず一族勢揃い。


私は週に3回、朝義母を病院へ送って行く。自宅と私の職場のちょうど中間あたりに義母の通う病院があるから、わざわざではなく“ついで”なのだ。家族の集まりが決まってから義母はちょっとずつネタバレしてくるようになった。そのことを話したくてウズウズしているのだ。

「◯日は、楽しみにしといてよ」
「皆が喜ぶもの」
「ずーっと見ておける」
「安いものじゃないのよ」
「皆のためになる」
「良いもの」


我が家では、一体”何のために”家族が集められるのか、推測合戦が行われていた。普通に考えたら遺産相続の話かな?と思っていた。だって、本当に皆が喜ぶものだとしたら一つしか思いつかない。だが、どうやら“もの(物)”があるようだ。

絵画?まさか金の延べ棒?‥なわけないか。
亡くなったお義父さんが隠してた何かが見つかったとか?だからそれが何かって話なんだけど‥

「お金が良かった」

とは全員の総意。でも、多分、違う。しかも、その日を前にして義姉がこんなことを言ってきた。


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