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訳あり物件での怖い話 「ストーカーが訴訟を起こしてきた」

訳あり物件は、そもそも家を建てるまでのつなぎとして1〜2年程度住む予定でした。結婚して間もなくハウスメーカーに相談をしていて、土地やモデルハウスを見ながらローンが組みやすいタイミングを図っていたのです。
次第に妙な現象やトラブルが起こり、一時は夫婦で失業するなど我が家は没落。神頼みでようやく逃げ出せましたが、最後に登場した意外なトラブルがこの訴訟でした。

いくつか前の記事で少し触れましたが、あの家にいるとき、私はとある人物にストーカーされていたようです。なんとも呑気な表現ですが、ストーカーと気づいたのは警察と弁護士の助言がきっかけ。
顔見知りの老人(当時80代)の迷惑行為に困った私は、早い段階で警察に相談し、同時に弁護士への相談も始めたわけです。そして、最終的には「あること」を理由にストーカーが訴訟を起こしてきたのでした。

なお、この記事は別アカでアップしていましたが、こちらに移動させました。11500文字ほどあります。心してお読みください。


「絶対に二人で会わないでください」

迷惑行為の一つは、老人が周囲に吹聴した嘘。
「奥さん(私のことです)が自殺を図ろうとしている」
「嘘つき夫婦で迷惑している」
といった作り話をこともあろうに私の身内にされてしまい、一時は大変な騒ぎになりました。老人は奥さんと小さな不動産会社を経営していて、うちはそこの物件を借りていました。はい、訳あり物件の所有者です。
迷惑な嘘とは、お金に関することで
「家賃を払っていない」
というもの。確かに、事情があって遅れが出たことはあります。しかし、こちらから訪ねて事情を伝えて謝罪し、とっくに解決済みです。そんなことをわざわざ報告される理由はありません。しかも、嘘つきと言われるのも謎です。

実は、老夫婦は億単位の借金を抱えていました。不動産をかなり所有していましたが、そのほとんどが融資で手に入れたもの。慢性的にお金に困っていることは住んでいるうちに気づきました。ただ
「自殺」
については、老人がなぜそんな嘘をついたのか、真相は今も不明なままです。変な人だと気づく前は事務所に立ち寄ってお茶をいただくことがありましたが、奥さんが倒れてから老人の奇行が増えたように思います。

先述した虚言の段階で怖くなり、警察に相談を始めたわけですが、そのときに言われたのが
「失礼ですが、お付き合いしていたことはありませんか?」
というもの。驚いたと同時に、もちろん秒で否定しました。すると

「話を聞いていると、恋愛感情があるような気がします」
「ストーカーになる可能性も否定できません」
「絶対二人で会わないでください」
「何かおかしな行動があったら、すぐ警察に連絡してください」

警察は真顔でそう助言してきたのでした。
そして、その後、シャレになれない事態に展開していきます。

弁護士の介入で激昂した老人の取った行動

それまで、些細なことで老人から呼び出されるたび、私は老夫婦の事務所を訪ねていました。
その少し前、夫の会社はリーマンショックの煽りで整理解雇、転職先はブラックで暴行を受け、怪我を負ったうえに不当解雇。働けない時期が続きました。私の取引先も次第に業績が悪化。一時は夫婦で失業していて、先ほども書いたように家賃が遅れたことがあります。そのときは夫婦でお詫びに伺って納得してもらっていますし、支払いも済んで解決しています。
ただ、考えてみると呼び出しを受けるようになったのは奥さんが倒れてから。しかも
「奥さんだけで来て」
と毎回私だけご指名があります。ところが、行ってみると何か用事があるということはほぼありません。フルーツや飲み物を用意してくれていて、世間話をするだけです。とても楽しそうに。

(考えてみると、確かにおかしい)

呼び出しが増えていた頃に起こった先述の虚言騒動。
私を呼び出しては楽しそうにおしゃべりに興じていたのに、裏ではわけのわからない嘘をわざわざ私の姉に電話して伝えていたのですから、気味が悪い以外にありません。
私は警察の助言通り、老人を訪問することはやめました。

そして「自殺」や「嘘つき夫婦」と吹聴したことは撤回してもらおうと、弁護士に相談を始めました。弁護士に委任して謝罪を求める文書を内容証明郵便で発送。文書には
「姉に伝えた根拠のない嘘を撤回して謝罪すること」
「今後電話や面会に応じたくないこと」
「本件の回答は弁護士を通してもらうこと」
も書いてもらいました。物件の契約者は夫ですから、契約に関することは夫とやり取りできれば十分な筈です。
弁護士に委任したことで、感情を抑えた無難な文面にまとまりました。

ところが・・・。
内容証明郵便が届いた頃、老人から私の携帯に着信が。もちろん出ませんでしたが、着信は立て続けに数回ありました。
マナーモードにして放置しておくと、今度は自宅にいきなり訪問。それも、すごい剣幕です。着信があった直後でした。

インターホンを押しながら玄関ドアを叩き、わめく老人。
私は怖くなり2階へ避難。応対は夫です。玄関ドアを開けると同時に、老人の大きな声が聞こえてきました。

「奥さんを出せ!」
「出てこないと、お姉さんに言いつけるぞ!」

念のため、夫はスマホで動画を撮りながら対応していましたが、内容のほとんどは脅しです。

老人が言うお姉さんとは私の実姉で、その物件を借りる際に連帯保証人になってもらっていました。
「奥さんが自殺を図ろうとしている」
「嘘つき夫婦で迷惑している」
と嘘を伝えた相手も私の実姉です。当時、姉は神経の病気で退院したばかり。周囲が病状を気づかっていた時期につかれたとんでもない嘘で、非常に困りました。人質を取られているような感覚だったのです。

この日を境に、老人の行動はさらに常軌を逸していくのでした。

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