ANIMATION CHRONICLE 2021の問題児 ~ クソデカ容量計算機 ~

前書き

2021年6月12日、この日はデュエリストたちが渇望するアニメ・漫画カードのOCG化、それをメインとしたパックである「ANIMATION CHRONICLE 2021」が登場した。

このパックの光り物はスーパー、ウルトラ問わず非常に心躍らされるものが多い。

待望のOCG化を果たした「輪廻独断」「クリバビロン」「No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン」「スターヴ・ヴェネミー・ドラゴン」「エコール・ド・ゾーン」「SRスクラッチ」など枚挙にいとまがない。

そんな強豪ひしめき合う新規カードの中、アストラル文字のプリシクという破格の待遇を得た「No.17 リバイス・ドラゴン」を筆頭に「聖騎士の追想 イゾルデ」、「おもちゃ箱」、「大皇帝ペンギン」、「リングリボー」という、燦然とその名を輝かせる有能な再録カードたち。

そう、彼はそれらの中にいた。しかも、ウルトラレアの上でイラスト違いとして再録を果たした。

なんと言う事だろう。そんなカード強いに決まっている。読者諸君はそんな期待を膨らませてこのページを読み進めていることだろう。






先に謝っておく、期待を裏切ってしまい申しわけない。では、そのイラスト、効果を確かめてみようではないか。








テラ・バイト「やあ」

画像1

何だこいつは(絶望)


●No.34 電算機獣テラ・バイトというカード

真っ先に過ぎったであろう感想を先に言わせてもらうと、弱すぎる。

こいつは『遊戯王ZEXAL』期最初のパックである「GENERATION FORCE」で登場したエクシーズモンスターの一体である。

そのためこの弱さは納得というほかない。

なんにせよこんな破格の待遇を得たテラ・バイトの効果の解説をしよう。

こいつはレベル4以下の相手モンスターのコントロールをエンドフェイズまで得ることができる。

以上だ。

もう一度言う、以上だ。

ぶっちゃけ当時の環境からしても異常な弱さだったと思う。

しかも同じパックに「虚空海竜リヴァイエール」がいる。

いじめかな?

守備力が2900もあるので壁役として運用することは可能かもしれない。

筆者は『遊戯王アークファイブ』が始まる半年くらい前から遊戯王にはまったため、彼が登場した時期の事はあまり詳しくはない。

なので、もしかしたら当時の環境では沢山使われていたのかもしれないが、効果を見る限り彼が環境で活躍したであろう姿をとても想像できない。

ちなみにイラスト違いということを先述したが、このイラストはアニメでテラ・バイトが攻撃表示になった時にこのフォームになるという。

原作ではコンボによって攻守を反転させて攻撃していたようだ。

どうしてもこのカードを使いたいという方は同じパックに入っている「エコール・ド・ゾーン」と組み合わせると一応活躍できる。

本当に一応だが。


同業他社が強すぎる

現代遊戯王ではランク3モンスターは非常に激戦区である。

一応、コントロール奪取を行えるランク3モンスターはこのテラ・バイトただ一人である。

すごいぞテラ・バイト!!

そして、デメリット効果のないランク3モンスターの中では守備力が最大というのも彼の特徴といえる。

ただ、素材2体で出せる「超量機獣グランパルス」が守備力2800のため、壁モンスターとしては基本的にこちらが採用されることが多い。

素材3体も使うのなら3000あってもいい気はするが。

ちなみにランク3モンスターで守備力が最も高いのは「No.30 破滅のアシッド・ゴーレム」である。

同じナンバーズにすら負けているとは……。

テラ・バイトは素材に縛りがないため、基本的には縛りのないモンスターがライバルとなる。

先述した「超量機獣グランパルス」はテラ・バイトより素材が1体少ない上に守備力は100しか変わらず、伏せ除去ができる。活躍の場は多い。

セットカードしか破壊できないものの、2枚採用すれば自身の効果によって無限湧きしてくる「ゴーストリック・アルカード」も存在する。

同じく除去として採用されることが多いのが「幻影騎士団ブレイクソード」だろう。こちらは自分の場1枚と引き換えにモンスターも除去できる。

レベル4以下のモンスターしか除去できないテラ・バイトとは比べ物にならない性能を持っている。

壁役として採用するにしても、表示形式を変更しつつ自身以外も壁役にできる「機装天使エンジネル」や、除去できなければ逆にこちらが除去されてしまう「発条機雷ゼンマイン」、ダメージ計算後にモンスターを除外できる「電脳堺甲-甲々(ジャジャ)」など、テラ・バイトよりも明らかに厄介な効果を持ち、それでいて置き物適性の高いモンスターたちが多数存在する。

彼岸の旅人 ダンテ」、「虚空海竜リヴァイエール」、「転生炎獣ミラージュスタリオ」、「発条空母ゼンマイティ」などは展開ついでに除去を飛ばしてくることも多く、テラ・バイト以上に噛み合わせが無限に存在するため、彼らの話をするとテラ・バイト君が涙を流して守備表示になってしまうのでやめよう。

総じて、縛りのない素材2体のランク3モンスターと比較するとあまりにも悲しい事実が襲い掛かってくるため、今度は素材3体同士の比較をしてみよう。

No.51 怪腕のフィニッシュ・ホールド」は素材3体を要求する「No.」という点で最もライバルとして近い存在である。

フィニッシュ・ホールドの守備力は0だが、効果によって戦闘破壊されないので、相手が「ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン」でもない限りこちらの方が壁として機能することすらある。

※「ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン」はATK4000でありながら貫通効果を持ち、この効果を適用した場合のダメージは倍になるためフィニッシュ・ホールドでは受けきれない。カオスMAXは自分に滅法弱い。

さらに敵として「トライエッジ・リヴァイア」を出されると何もできずにその役目を終えてしまう。

他の「No.」モンスターとして比較しても、コンボ性の強い「次元孔路オクトバイパス」、実質「電子光虫-コアベージ」となって守備表示モンスターをデッキバウンスできる「蟻岩土ブリリアント」、RUMサポートの「リバリアン・シャーク」、妨害効果を持つ「地獄蝉王ローカスト・キング」に「惑乱のゴシップ・シャドー」など、「ホープ・ドラグナー」や「ホープ・カイザー」で出すにしてもテラ・バイトより優秀なモンスターはかなり多い。

テラ・バイトくんの明日はどっちだ。


弱さたる所以

ここで皆様にさらなる衝撃的な事実を報告しなければならない。

なんとテラ・バイトのコントロール奪取はエンドフェイズまでである。

たかがレベル4以下のモンスターを起動効果でしか奪えない上、エンドフェイズには相手に返してしまうというのは何ともったいない。

先述した「エコール・ド・ゾーン」とは相性がいい一方で、トークンのためパクったモンスターを正規素材としてX召喚できる「交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン」との相性は悪い(トークンはX素材にできないので)。

照耀の光霊使いライナ」は属性を問わず除去できるが、はっきり言ってこれをするなら「精神操作」や「エネミーコントローラー」など従来から使われているカードに見劣りしてしまう。

わざわざレベル3モンスターを3体使用してやるコンボかと言われればそうでもないし……。


ここまでテラ・バイトの強みを生かすべく様々なカードとの比較、シナジーの研究を進めてきたが、やはりインフレの波に置き去りにされている感じは否めない。

無理に使うより特殊ルールなどでたまーに使ってあげるくらいがいいのかもしれない。

結論、


テラ・バイトくんに明日はなかった。

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