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【かぼちゃの馬車で浅草まで】
1年の中で一緒に過ごしてる時間が一番多い家族のような友人としばらく会えてなかった。
私が初詣に行けてないことをSNSで知って、車で行くから浅草の聖天さまに行こうとのお誘い。
神奈川から私の住む埼玉まで2時間ぐらいかかるのに、本当にありがたい。さらにそこから浅草までの往復。
松葉杖姿の私を見て、うわ〜久しぶり〜とハグしてくれる。
9月なんて半月ほぼ毎日一緒にいたもんね。
「あ、また明後日ね」みたいに、いつも次が近いのに、今回は11月24日以来だから、すご〜く久しぶりな感覚。
車の助手席によいしょっと乗り込むと、ちょっぴり高い景色が窓から広がって、空が高くて広い。
あー、自由だ〜と思う。
かぼちゃの馬車みたい。
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最近は仕事が忙しかったり、熱を出したりして、久しぶりにこうやって時間がつくれたんだよ、と言うので、その大切な時間を私と過ごすために使ってくれるのかと、しみじみ。
調べてみると浅草の聖天さまは、駐車場からスロープカーというのがあって、本堂まで運んでくれるらしい。
じゃあ、安心だからレッツゴー!と向かうことに。
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浅草の聖天さまは、2022年の12月に星まつりに来て、節分にも来させていただいたんだけど、こんな風なスロープカーがあるなんて知らなかった。
しかし、その先の本堂に上がるためには靴を脱いで階段で上がるしかなかった。
うーむ、這っていくしかないかぁ、と。
膝をついたり、なんとかして本堂に辿り着く。
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畳の上を這って移動するのは、五体投地みたいだなぁ、と思いつつ、大根を供えさせていただき手を合わせる。
まさか来れるとは思わなかったから、その空間にいることがなんだかうれしくて、心が弾む。普段見れない毘沙門天さまにもご挨拶。
お守りを授けていただくところで、ズルズルと這って移動する異様な姿を見かねてか
「足の怪我ですか?」と聞かれる。
骨折しちゃって、と話したらその方も今度アキレス腱の手術をされるとのこと。
自分のこれからの姿を見るようです、と言われて少しおしゃべり。
「忙しくしてたから、立ち止まって自分の内側とゆっくり向き合える時間が出来てよかったです」と話すとニッコリ。
お正月の間しかないという巾着守りをわけていただき、再びズルズルと這って移動していたら「本当はまだ歩き回れない時ですよね」と聞かれて、「それでも来れてよかったです」と話すと、本堂を出てからも階段を降りていくまで見送ってくださった。
お互い春には全快して桜を見ましょうね、と。
「聖天さまは願いを叶える力が強いけど、何にするのか、一つに絞るのが大事」と、初めて訪れた時に教えてくれた人。
なにかとご縁がある方で、またお会い出来てうれしい。
お下がりの大根をいただいて、またスロープカーで移動。
夕方でお腹もすいた。
何食べたい?
心から欲するものは何か?と考えたところ
出てきたのは「鰻!」
前回も浅草で鰻だったし、昨年は名古屋でこの時期鰻食べてたね、と。
調べてみると、前回行ったお店の本店が近くにあるとのこと。
落語を見に行った帰りに寄った支店は2階だったけど、本店は1階で食べられるとのこと。大きな通りに面してるから、松葉杖でも怖くなさそう。
浅草で唯一塩ひつまぶしの店とのことだったけど、ここはうな重でしょ!と心の声に従う。
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香ばしい炭の香りと、タレ
箸を入れるのが、もったいないぐらいの照り
ふわっととろける鰻
口がおむかえに行っちゃう
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「うま〜」と、身体の細胞が叫んでる!
鰻は飲み物?と思っちゃうやわらかさ。
何これ、うまうまよ。
そういえば、「あきない世傳」は江戸編は浅草が舞台で鰻が出てきたんだよな〜と。
むっちゃ、読みながら食べたい気持ちが積み重なってたんだなぁ。
肝吸いに山椒をちょこっと入れて、
漬物のパリパリ食べて、鰻とお米のエンドレスループ。
カウンターだったので、気を込めて作ってくださることが伝わる。
全身全霊で味わった。
命のちから
細胞がよろこんでる
やがて、いのちになっていくものを
いただくということ
集中して、五感で味わう
吸収されていって、わたしと一体になる
「うま!」「うま〜」と一口ごとに味わってると、わかちあえることでより美味しさって体感するんだなぁと思う。
お店を出て、タリーズのテイクアウトコーヒーを飲みながら、埼玉までのドライブ。
日がゆっくり暮れてスカイツリーがレインボーカラーできれい。
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この1ヶ月、カフェにも喫茶店にも行けてなかったから、テイクアウトでもうれしい。
そういえば、娘を出産して慣らし保育の時に一人でタリーズに行った時に、あー、どれくらいぶりで一人でコーヒー飲んだんだろうと思ったことを思い出す。
ささいなことでも、叶えられないことがある。あたりまえじゃないしあわせがあるんだな。
車の中は、同じ景色を見ながら横並びで話せるからいろんなことがフラットになって、
言葉が軽やかになる感じがする。
流れる景色と共に言葉も流れていく。
これから、どんなことやりたいか、って話になる。
私は、昨年の秋ぐらいから思ってた販売の教育とか、ワークショップとかやりたいなー、研修とか、人前に立ちたいと話す。
エネルギーが、ブワッと変わるもんね、と。
いつものモジョモジョ話してるんじゃなくて、あれはすごいよね、と言われてそんな姿見せたっけ?と思う。
自分の才能を使わないのはもったいない、と思うんだよーと話す。
それをやってる時も好きだし、やってる自分も好き。
参加してる人たちもイキイキして、自分やチームが誇らしいと思える時間。
そんな時間をいっぱいつくりたいな。
バンバンやりたい。
誰にも遠慮せずに、誰かと比べたりせずに、バンバンやりたい。
うんうん
「そうする、って決めればいいんだもんね」
自分をしあわせにするものを選ぶ
選んだ先の未来を味わう
そうする!と決める。
お互いのやりたいことを聞き合う、って、ジェットコースターに乗る前の感じというか、お尻がこそばゆくて、なんかいいなぁ。
「今日は、すごく豊かな時間だなぁ」
きっぱりと言う言葉が、特別に縁取られる。
ゆったりと横たわる影のような川をわたり、
流れていく光を見ながら、見慣れた場所へ帰る。
かぼちゃの馬車を降りる私
松葉杖で、バイバイと手を振る
濃密なシンデレラタイムは終わるけど、
ともに見た未来の景色は始まったばかりだ。
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