記事一覧
火星の写真家|ショートショート
昨日の夜発射された宇宙船は、3日前に到着していた。
ねじり、ねじり。今と明日と、2分前が入り混じる火星のじかんは、とらえどころがない。
ひんやりと冷たい扇状位ガラスの窓に頬をぐいと押し当て、熱った顔の熱をすこしでも逃そうとしているニイ宮は手の中の大きなキカイを見つめた。
船内はハワイアンタイムとかで、ゆったりとしたウクレレの音とハイビスカスの香りと、ゆらりと揺れる太陽が、ズンズンと気温をあげ
僕の星は、兄様のより美しい。#記憶冷凍 |毎週ショートショートnote
またこうしてすこし、微調整する。
兄さま達は、つまらないものを全部壊してまえ、というけれど、僕の方法は、なかなか上手く行っていると思う。
やり方としては、害をなすものを記憶冷凍して、埋めておくだけなので手間もそんなにかからない。
先日もまた「人」が生まれてきてしまった。
この生き物は壊しても壊してもしぶといので、記憶冷凍して、埋めることにしている。
あまり減らしても星の発展に影響があるた
毎日投稿って意味あるの?140日投稿して変わった3つのこと!|ノウハウ
2023年12月22日(金)。
突如毎日投稿をスタートして140日経った。
寝落ち3回、すっぽり忘れる1回の計3回は投稿できなかったものの、ほぼ毎日投稿を行ってきた。
今日は、毎日投稿を続けることで気づいたことと、気づいたことを踏まえて今後どうするか?を考えていく。
「短くても内容が精査されていなくても、とにかく毎日投稿する!」ということだけをルールとして投稿を続けてきた。
書くことは筋ト
普通の私は見えないの。| #二億斉藤 #毎週ショートショートnote
「次の方どうぞ」
「斉藤はいね、16歳。イセ地区から来ました。まだ斉藤は始めたばかりですが、学校でも才能があるということで、専攻クラスに配属されています。」
「たしかに、16から17くらいは、斉藤の才能が開花し始めるころだからね。しかもイセ地区とは…、今あっちはどうなっているんだい。」
「エンヴイ獣の動きは活発ですが、それでもイセ地区は、斉藤の数が多いので。私も補佐として斉藤をしておりました
母の日の記憶が2800コロルじゃ安すぎる。| #記憶冷凍 毎週ショートショートnote
「ハイハイ!母の日の記憶ね!お兄さんのは、感動の涙ものだから2800コロルで買っちゃうよ。」
なけなしの記憶を売っても、そんなもんなのか。
誰もが部屋に篭って外に出る事を渋るようになった火星。
この星なら実体験の記憶が高く売れると聞いて、地球からやってきたのに、こんな安いとは。
「母の日って言ってもあなたのお母さん昔の地球の人でしょう?記憶をざっと見たけど、自己犠牲しすぎだし、自分のやりた
優しいあの子の放課後ランプ #放課後ランプ|毎週ショートショート
シャキン…シャキン…。
放課後のチャイムにしては高音がすぎる。
ここは、教室?
「あら、お寝坊さん。私だってこんなことは、したくないの。でもね、ほら、あなたって、とっても人を不快にさせるようなところがあるじゃない?
だから私に悪気があるとかではないことをしっていてほしいわ。」
私のうめき声を遮るように、彼女は1人話を続ける。
「そういう意味で言えば、あなたの問題に私が口を出すなんておせっかい
ハイチュウの粘着力はそれほどでもない。 #放課後ランプ|毎週ショートショート
マミはカナで、カナがマミだった。
あの時の2人は、もうどっちがどっちなのかわからないくらいにそっくりで、マミが泣けばカナも泣くし、カナが怒ればマミも怒っていた。
高校に入ってすぐのとき、中学からの友人がいなかったマミが目の前に座っていたカナにこっそり、ハイチュウをあげたのがきっかけ。
だから2人の絆は、ハイチュウで始まって、ハイチュウで終わったともいえる。
おんなじものを食べて、同じブラン
本物の魔本の本はどれ? #放課後ランプ|毎週ショートショート
息を止めたらなんとかなると思っていた。
机の下でまあるくなって、息を潜める。
上靴の踵を折って靴を引きずるように歩く音が近づいてきた。やっぱりきた。
ワタシハココニイナイ。ワタシハココニイナイ。
ぷはっ。もう限界。
頬骨まで長く伸びたさらさらの髪を左耳にかけながらユウキが近づいてきた。
「おまえ、なにしてんの?また魔法の本とか言ってんの?」
ユウキの軽口を無視して、机の下から這い出す。
赤い目覚ましが走り出す|ショートストーリー
いつまであなたは寝ているの?
もうそろそろ始まるよ。
真っ赤な耕運機が畑を横切る。
どかどかと強烈なドラムの音に、ねぼけた畑も目を覚ます。
もう、起きる時間だよ。
ほらみんなが待ってるよ。
【あとがき】北海道は少し町から離れると、広大な畑が広がっています。
5月は、冬の間眠っていた畑を整備して、畑を耕す時期です。
ちょうど畑の前を通った時に、「畑をおこす季節だね。」なんて会話があって、おこ
希菜子の偏愛|140文字小説
人が集まる家族の行事すらも餅のためにあると思っていた。
各所から集められた贈答用菓子の中から餅を使った菓子を探し出し、嬉々としながら頬張っていたらしい。
機械が鳴って蓋を開けるよう促される。
つぶつぶの餅米が、小さな羽で少しづつ滑らかに変化してゆく様子をみながら、喜びを噛み締めていた。
【あとがき】
ゴールデンウィークから続けみた、喜怒哀楽をテーマにした140文字小説はここでいったんおわり
道伍のブチ切れ日記|140文字小説
誰も居ない教室で蹴飛ばした机は、思ったよりも大きな音を立てて、遠くまで飛んでいった。
俺がここで1人なのはあいつらのせいだ。思い出すだけで、腹の底の蛇が暴れまわる。
小さな頃から一緒だったのに。
俺の味方だと思っていたのに。
桜舞う春先の教室もこちら側からの風景は冷たく角には影も落ちる。
【あとがき】ゴールデンウィーク中の隙間を見ながら、140文字小説チャレンジ!
喜怒哀楽をテーマにして
絡のゆるやかな日常|140文字小説
あぁ前からこうだったわけじゃない。
ゆるゆるのスエットで、ふわふわのソファーに座って、丸くなって本を読むんだ。ちょっといいコーヒーがあれば完璧。そんで、これはけっこうどこでもできる。もっと言うなら、ちょっと甘めなチョコレートも。お前はいいねって言うならさ、オマエもそうしてごらんよ。
【あとがき】ゴールデンウィーク期間は、書く時間が取れないからこそやっちゃおう!140文字小説チャレンジ!
という
藍子の絶望的な夜の次の日|140文字小説
とにかくお花がいっぱい咲いていた。
それだけでうふふと笑顔になってしまうなんて、自分は本当に単純だなと思う。
昨日はもう生きていく術は断たれたとか、最後の砦は崩れたなんて事をいって深い沼の奥に沈み込んでいた。
お花の名前なんてしらないけど、ただそれを見ているだけでよかった。
【あとがき】ゴールデンウィークが始まってもう時間がぜんぜんとれないので、先日ちょっと書いてみた140文字小説にしてみ
ミッキリとモッキリの船の旅|ショートショート #140文字
まだだ。ここは旅の途中。ミッキリ波とケンカして、両手両足突っ張った。揺れる船尾に沈み込む。大きな魚はみつからない。ぐぐぐと力を入れ直し。オールはまだまだ大丈夫。船にも穴は開いてない。そのころへさきのモッキリは、美味しい小魚炙ってた。ここらは珍味もとれるらしい。船の旅はゆかいだな。
【あとがき】140文字でお話を書く……。
noteでちょこちょこ見かけていたけれど、140じゃなにも書けないなあ……