たなかひろみつ

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たなかひろみつ

noteには自作の詩を上げています。有料記事は全文読める投げ銭式。良かったら覗いてみてください。 普段はデザインの仕事をしています。 関心は人が感じるこっち側(自分事や共感性)とあっち側(他人事や無関係性)の境について。

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    甘野充プロデュースの共同運営マガジン「エンターテイナー・ストリート」です。  共同運営マガジンは、みんなで作るマガジンです。  小説、詩、エッセイ、絵、音楽、動画など、想像力と創造力あふれるアートやエンターテイメント作品をnoteで公開している人たちが集まって、作品を披露する場となります。  参加すると、自分の記事を共同運営マガジンに追加することができるようになります。  たくさんの人に自分の作品を読んでもらえるチャンスです。  参加費は無料です。  参加希望の方はトップ記事へコメントお願いします。 ルールは以下です。 ・投稿は自分の記事だけにしてください。 ・投稿は当日投稿の記事のみにしてください。  (過去記事は投稿しないでください) ・タイトル、タイトル画像、説明文は変更しないでください。 ※ 創作と関係のない記事は削除しますのでご了承のほどお願いします。 甘野充

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運命のようなもの|詩

ほんのついさっきまで 通りを行く人の群れの 名も知らぬ女の子の一人だった君 たまたま連れに付き合って 会うはずもなかった男の前に座り すこしの時間 僕と向かい合った君 おしゃべりの言葉 顔を描く鉛筆の音 すこし寒い日陰の道 たくさんの車やバスが 僕の後ろを通り抜けていく たくさんの人達が 僕の目の前を通り抜けていく たくさんの音や言葉が 僕の意識を通り抜けていく 賑やかな雑踏の音 かすかなそよ風 信号機の青の曲 その人混みの何人かは 僕の前に座り 短い会話を楽しんで

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    • 黒猫の先生│詩

      ふと顔をあげると 遠くの道向こうの猫と目が合った 束の間視線を交わしてから 一人と一匹は また向き直って仕事に戻る 私は畑の草を取り 黒猫は真っ直ぐ道を行く 黒猫の毛並みは艶やかで 瞳も足取りも力強く 迷いなど微塵もない 黒猫に私はどう映ったろうか 少し疲れた中年の人間が 畑の前に屈んで草を取っている ちまちまと草など取っていないで 疲れているなら寝ていればよいのにと 猫には思われたかもしれない 人間というのは理解に苦しむ どうでもよいことに力を注いでばかりで ち

      • なにもかもが透明な│詩

        少し錆びたバイクの ヘッドライトに映る美しい青の空 瞬きとともに呼吸と時間が止まる 僕らの頭上の木々や白雲が 嘘や偽りなくすべて映し出される 苫小牧の夜明けの光 小樽の運河の灯 札幌の作り込まれた街のカタチ 移り変わる光とともに日常が 流れて消えて透けていく 富良野の緑の風 稚内の日暮れの藍 網走の枯れた海 走る風に煽られ飛ばされる 身体に纏わりついた幾重もの衣 釧路の湿った霧 根室の侘しい波しぶき 十勝の冷たい山肌 なにもない空っぽの人を乗せ 軽々と道を駆ける

        • 午前二時の魔法│詩

          赤いソファに並んだ二人 音楽の話しで一日が暮れてゆく スピーカーから流れるものとは裏腹に 静かな時間がゆっくりと過ぎて 時計は見ないようにする二人 明日のことなど今は忘れていたいから この部屋の時間が止まるまで 世界が小さくなる魔法をかけたよ 二つのスピーカーに挟まれて待つ 擦り切れるほど聴いた名盤たち 小さな部屋に満ちた 優しいコーヒーの香り まだ何もおきない二人の午前二時 2024/5/25

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        記事

          春の土ついた玉葱

          春の土ついた玉葱

          二つの瞼よ│詩

          二つの瞼よ 君等はどうして 僕を眠らせたがるのか 春の日差しと結託して 君等はどうして 夢を見せたがるのか 言葉が遠退き 君等の奏でる調べが 山稜のラインに雲を吹き流す 眠れ 眠れと 木霊する 君 花糸は桜色に溶け出して どこから春の夢だったのか もう僕にはわからない 湯船に揺れる波紋の光跡 濡れた肩に預けた何か 海鳴りに腰掛けて 思い出している あの灯台より あたたかな光を頂きました 汽笛が呼ぶのを聞いた気がします 僕にはもう 言葉はいらないようでした 2

          二つの瞼よ│詩

          星の光│詩

          今夜 地球の端から星空を眺めている 空っぽの宇宙を旅した光は 生まれた星から遥か遠くの 太陽系の 第三惑星の 身長わずか2メートルにも満たない人間の 小さな小さな眼に飛び込んで 神経回路を駆け巡り 私の脳に記録される 光が生まれたその瞬間に 旅の結末は 定められていたのかもしれない 想像すら難しいほどの ゼロがたくさん並ぶ距離を旅して 一つの星と私がつながる そんな奇跡が今夜も起きる 君と出会うことも 子供達が生まれることも 私の運命も 生まれた瞬間に 定められてい

          言葉を二つ折りにして│詩

          言葉を二つ折りにして 静かに胃の中に納める 時折 言葉はごろごろと 胃の中で転げ回るけれども 柔らかな言葉なら 快いものである 棘のある言葉なら 悶え苦しみ血まみれになる 小さく四つ折り より小さく八つ折りにすれば 棘も飛び出ず痛みも軽い 小さく小さくするに限る とはいえ 飲み込む言葉は 自分の好物に越したことはない 言葉を予め酒に浸しておくのも 刺激を和らげるためには良い 言葉に酔ってしまうだけで 誰かを不幸にすることもない 胃の中は誰の目にも触れないのだ

          言葉を二つ折りにして│詩

          「高知の夏」の最後、あまりに感情を置き去りにしてしまいました。脱字も含めて書き直しました。

          「高知の夏」の最後、あまりに感情を置き去りにしてしまいました。脱字も含めて書き直しました。

          高知の夏│詩

          まだ通りを走る車が少なかった頃 高知の小さな漁師町で いくつかの夏を過ごしていた 乾いた空気と強い日差し 真っ白な道に落ちる濃厚な影 寺の庭を埋め尽くす蝉の声 田んぼと浜と わずかな商店があるだけの小さな集落は 大人にとっては退屈なところだったろう 海と集落を隔てる堤防は 小さな子には絶望的な高さで 一度も水平線を見ることはなかった 高知の従兄弟と 東京の従姉妹 そして一番小さな私 砂混じりのせいか道はやけに白くて 太陽の光を撥ねつけるせいか 景色そのものが眩しくて

          傘がない│詩

          傘がない 朝から降り続く雨の一日 昇降口にさしておいたはずの 新しく買ってもらった傘がない 名前も書いた透明な傘 風もなく 雨は真っ直ぐ落ちてゆく 灰色の雨霞の中へ 次々と消える同級生たち 碁盤の目のように並んだ 鉄製の四角い升目には まだ持ち主を待つ傘たちが ポツリポツリと立っている 何事もなく 一日を終えた持ち主に迎えられ 一本ずつ雨に消えてゆく傘を 昇降口の端に立って見送る しばらく待てども 雨の中を戻る影はなく 五月蠅い雨音に混じって 癪に障るクスクス笑い

          五月の海│詩

          五月の太陽が照らす海 浜から離れた静かな入江 そこは男の子たちだけの遊び場 波間から顔を出した磯の上 引き潮にあわせて まだ日に焼けていない白い顔が集う 潮溜まりのウミウシ 磯の裏側に張り付いたムラサキウニ 岩の間に身を隠すイワガニ 磯の岩場を跳びまわり 時には海に滑り落ち 半身をずぶ濡れにして大笑い いつも落ちるのはお前だよ お前だって片足落ちたろ 掛け合う声がさざ波に染みる 崖下に大きく開いた洞穴を歩く時だけは 今にも崩れてくるようで 恐ろしさに誰も口を開く者は

          忘れてしまえば│詩

          あなたの前で 言葉を選んでいるよりも たった一歩 前に踏み出して 両腕に包んでぎゅっとする 言葉も 理由も ためらいも 忘れてしまえば それでいい 2024/4/26

          忘れてしまえば│詩

          有料記事について

          noteの他の方の有料記事をみていて、 記事の全文を読み終えた後に その記事の購入ボタンを設置するやり方があるのを知りました。 これならば、詩を読んでもらうのに支障はないし、気にいってくれた方に投げ銭的に購入してもらえるし、とても良いやり方だと思いました。 早速、noteをはじめたころに投稿した詩から、有料設定をしてみました。 いちばん綺麗な夜│詩 https://note.com/mitch_t/n/ne4f80cd7cabe

          有料記事について

          揺れる│詩

          自転車 ペダルとチェーンのきしむ音が ずっとずっと遠くまで 届く そんな 美術部帰りの 冬の夜道 左手には 潮騒 すべらかな黒の海原 生まれたての 白い満月から滴る 波間にも光る道が 堤防にのぼり 風景の一部になれば 自分が 夜に透けてゆく 一時 空っぽになればいい 誰もいない海の前で 十代の 荒い感情たちも 色を手放し透けてゆく 潮の香りと油絵の匂い 香りによって浮き上がる 何かの境目 そう 境目はお前なのだと 堤防の硬い感触が告げる 仕方ない なぜ? 行か

          幸せの質量│詩

          両の手のひらに そっとのせて 指と指の隙間から 細い糸となって滑り落ちるものを 不思議な気持ちで眺めている 一本 また、一本 あたたかくて 美しくて 甘い蜜のような 七色の光を湛えた細いラインが 指と指の隙間から 風にのって伸びてゆく この広い世界に たまたま乗り合わせた僕らは 風に揺られて漂う光のラインに導かれ 時に孤独な景色の中を旅して 時に誰かの光と交じりあい 真っ暗な銀河に数多の星座を描いてゆく そっと捧げた手のひらに残る 僅かばかりの幸せは そのほとんどの質量

          幸せの質量│詩