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(美達の蔵出しオススメ) 『総理』 山口敬之 幻冬舎文庫


<『天晴!な日本人』、発売中です!>

拙著、『天晴!な日本人』、発売中です!
おかげさまで「じっくり、堅実に」売れているとの連絡が編集者よりありました。
皆さんのおかげです。感謝しています。
今後も、アマゾンのレビューへの投稿も待っています!よろしく!


<本文>


※2017年2月に旧ブログに投稿した書評です。ご留意下さい。

著者は元TBSの政治記者でした(今はフリーのジャーナリスト)。

現在の安倍首相が一回目の総理大臣(以下、総理)に戦後最年少で就任(2006年)以降、辞任から総裁選出馬、二度目の総理就任、さらに現在まで、「番記者」として安倍首相や、その身近にいる麻生あそう副総理、すが官房長官の動向をつぶさに見てきた様子を綴った一冊です。

2007年9月12日の辞任、それに対する与野党からの批判の中、どのように時を過ごしてきたのか、また、2012年の自民党総裁選出馬に際して、現在の菅官房長官の緻密な戦略による強力なあと押し、麻生副総理の筋(想像をこえた義理堅さでした)を通した対応ぶりが描かれています。

あの出馬では、安倍首相当人は勝ち目がないということで、ノリ気ではありませんでした。当時は地方では圧倒的に石破いしば氏が有利で、本人も周囲も勝てない、ここで負けたら次はないというので、出馬を見送る気だったのです。それをくつがえしたのは菅氏でした。

一回目の投票ではたしかに石破氏に負けるが、過半数は取れず決選投票になる、そうすれば議員間で人気のない石破氏(この人、人望がありません。本来はリーダーとか首相に向いてない人です)は勝てず、安倍首相の勝ちと読んで、猛烈にプッシュしたのです。

麻生氏は当初、野党の立場でありながら(民主党政権の時代だったので)頑張っている谷垣たにがき氏を支持すると、安倍首相にも仁義を通していました。そうしたら、親の七光ななひかりで全く人徳も見識もない石原伸晃氏が、親方にあたる谷垣氏を裏切って立候補し、谷垣氏は立候補できませんでした(この利得のために恩ある人を裏切るというのは卑しく最低の行為にあたります)。

筋っぽい麻生氏(この筋っぽさは男らしいです)は怒って、「明智光秀みたいな裏切りをするのは赦せん」など強く非難した後、総裁選では谷垣氏不出馬というので安倍首相を支持し、それが他の派閥に波及して当選、その後の衆議院選挙で自民党が圧勝して総理となりました。

麻生氏は安倍首相の兄貴分ですが、安倍首相が総理なのだから敬語で話すのは当然と、引き立てています(失言の多い麻生氏ですが、侠気のある人でした)。麻生氏も首相経験者で、総理の座とは「どす黒い孤独」と形容していました。

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