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歴史に埋もれようとしていた真実を発掘した労作! 『彼女たちは、なぜ、死を選んだのか?』 川嶋康男(かわしまやすお) 敬文舎


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<本文>


(3月31日記)

本書のテーマは、「大東亜戦争終戦時に起きた、樺太カラフトでの看護婦、電話交換手の女性たちの自決の真相を追う」です。
皆さんの中にも知っている人がいるでしょうが、9人の電話交換手が自決した事件は、「氷雪ひょうせつの門」という慰霊碑で有名になっています。

かつて樺太の北緯50度以南は日本領でした。
日露戦争の講和で割譲かつじょうされた地です。
そこに1945(昭和20)年8月17日、日本がポツダム宣言を受けて降伏した後に、ソ連軍が侵攻してきて、乙女の貞操を守るという目的で、計15人の日本女性が自決したのです。
この痛ましい事件は、8月17日と20日、別々の職場で起きました。

戦後の日本では、特に真岡まおかで自決した9人の電話交換手のことが美談となっていますが、著者は、その背景、経緯に懐疑の念を抱き、当時の関係者を探し出しては取材をしてきました。
その結果、決定的に疑団ぎだんを氷解させるに至ります。
常識的な判断、推論のできる人であれば、ほぼ、こういうことだと見えてきたのです。
著者は本書以前に、乙女たちの自決についての著書を刊行しているので、自決場面の詳細はそちらに譲るとして叙述していませんが、本書でも十分に伝わるものでした。

目次の一部をざっと紹介すると、

第一部、にれの丘に「山桜の歌」が聴こえる
大平炭鉱病院看護婦集団自決
手首の疵痕きずあと
切り裂かれた風景
樺太で助産婦・看護婦をめざして
八月九日、ソ連軍の影
燃える恵須取えすとる
死の避難路
逃避行の果てに
八月一七日、夜明けのまどろみのなかで
死ねなかった看護婦たち
六柱の墓標
殉職看護婦慰霊「鎮魂」の碑
第二部、こちら交換室、ただいま九人亡くなりました
真岡まおか郵便局電話交換手集団自決
引き揚げ組と残留組と「決死隊」
乙女たちの八月一五日
各局で出された残留命令
非常体制の夜
持ち込まれた青酸カリ
八月二〇日の朝
ソ連軍の艦砲射撃
銃撃にさらされたのは電信係
他局と最後の交信
ソ連兵が入ってきた
避けられた集団自決
「九人の乙女」の偶像と捏造ねつぞう
元局長の「手記」
ラストメッセージの真実

などとなっています。

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