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グループ展「LINK UP 2023」を終えて

こんにちは。三谷飾屋です。

2023年12月、PiX Cypher(ピックスサイファー)というオフラインコミュニティがグループ展「LINKUP2023」を開催し、私もメンバーの一人として出展しました。

PiX Cypherについては、一緒の壁に展示したミスミさんが感想noteで紹介されていますので、そちらをご覧ください。

このnoteでは、今回の展示を通して私が感じたことや逃げていたことについて、日記的に書いていきたいと思います。

自身の展示について

私は普段、「生命線」というプロジェクトで人間のパーツ(ヌード)を撮影しています。


「命を生み出したのが神様なのなら、
神様を生み出したのは神様の神様で、
神様の神様を生み出したのは神様の・・・」
と、空想を膨らませ
生命の存在理由を辿ることができず
一人怯えていたのが、
まだ家集合住宅に住んでいた小学生の頃だった。
かつて暇を持て余していた少年が、
今はカメラを握り赤の他人の裸体を撮っている。
生命の存在理由は未だに知る由もないが、
それは確かにここに存在し、
それぞれの生きてきた痕跡を身体に刻んでいる。
皺、骨、肉割れ、リスカ痕。
この世のすべての痕跡が
「それでも生きている。」と私に語りかける。
まやかしばかりのこの世界で、
確かに安心感を与えてくれる
すべてのそれらを、私は愛する。

生命線-ステートメント

今回は、「生命線」の派生として[素肌変容]と題し、肌と水を掛け合わせた写真を撮影しました。

1気圧の環境下で、水は0℃以下に下がると凝固して氷になる。
611.657Pa以下の気圧では、温度が上昇すると氷は水蒸気へと昇華する。
水と油と水酸化ナトリウムを混ぜると、それは石鹸になる・・・らしい。
水は、浸透し、馴染み、溶け合い、弾け、流れ、変容する。
そして、そのことに彼らは抵抗せず、不満も持っていない。
あるがままに漂い、必要に応じて変容する。
人の肌も、生活様式や時の流れに合わせて変容する。
皺が増え、シミができ、傷は癒えない、肉は落ちない。
私たちは、まだそれに少し抵抗感を感じてしまう。
それでも、その抵抗感すらも愛おしく感じながら、
あるがままの変容を受け入れることができたら、
もう少しだけ、人生はハッピーになるかもしれない。
肌は強く、肌は美しく、肌はかわいい。

素肌変容-ステートメント

ステートメントがゆるくなっていますね。良い感じです。

展示の感想

今回の展示

やって良かったです。

たくさん見てもらって、褒めてもらいました。

でも反省もあるし、指摘もいただいたし、課題も見えました。

ここからは、展示中にメモしていたことをベースに記していきます。文脈が荒れているかもしれませんが、生の声として受け入れてください。

わかりやすいからこそ会話が生まれる

良いも悪いもそれぞれだとは思いますが、今回の僕の展示は「わかりやすかった」と思います。

これまでの展示では、周りの人間に相談することもなく、アドバイスされても聞かず、自分が展示したい写真を展示していました。

例えば、展示写真は「おじさんが肩を組んでる記念写真」「でも置いてるブックは女性のヌード」「SNSを見たらオールドレンズのスナップ」と動線がバラバラな時もありました(今もあんまり変わりませんが)

それはそれで好きにやってた訳だし良いと思うけど、やっぱりわかりづらいもの(コメントしづらいもの)が並んでると、鑑賞者に話しかけても「なんか・・・良いですね」と、コメントをさせることを困らせてしまいます。

今回の展示では、「肌と水を組み合わせた同一表現の写真を3枚、横一列」「水に合うアクリルフレームで展示」とシンプルスッキリ構造にしていたので、普段から写真に触れていない来場者の方にも多く立ち止まっていただき、思い思いの感想をいただくことで会話に繋がることができたと感じています。

もちろんわかりやすいことが正義ではないし、写真家勢には「わかりやすすぎる」とコメントをいただくこともありましたし、会話は不必要でゆっくり鑑賞したいという人もいると思います。、この辺りは目的によって判断が分かれるかなと思っています。

主観か客観かは目的次第

上記の「わかりやすさ」含めてですが、今回はほぼ初めて「人に相談」をしました。

相談した内容は以下の2つです。

・セレクト
・面種

特にセレクトは展示の根幹とも言えるセクションで、これまでの自分なら人の相談することはまずありませんでした。

が、今回のテーマの一つでもある「変容」に対して、「自分の主観だけに固執するのは相反しているのでは」と感じ、信頼できる写真仲間にだけ相談してみたんです。

結果、全員から「わかりづらい」と言われ、目的や見せ方を整理して当初とは異なるセレクトで展示してみました。

こういうことにチャレンジできるのもグループ展ならではですね。結果的に、相談して良かったと思っています。

その展示の目的がなになのかによって、主観に重きを置くのか、客観に配慮するのか、というのはこれからも考えながら活動していきたいですね。

芯のある写真(プロジェクト)が強い

グループ展ってそういう場ではないんだけど、とはいえやっぱりたくさんの写真が横並びしていると、評価ってされると思うんですよ。それは「好き嫌い」であったり「良し悪し」であったりそれぞれだけど。

いざ自分も鑑賞者としてメンバーみんなの写真を見た時に、やっぱり芯がドッシリしているものだと足が止まる。というか止まってる時間が長い。話聞いてみたなとか、応援したいなとか思う。

自分もプロジェクトとして立たせてはいるけど、そこの深度や場数みたいなところは、写真にも出るな〜と感じました。課題というか新しい目標。

世の中に発信する責任
好きな人が足を運んでくれる責任

SNSと展示の大きな違いの一つに「展示は時間とお金と労力をかけて観に来てくれる」というアクションの有無があると考えています。

友人・知人・先輩・後輩・尊敬する人・初めて会う人などなど、あらゆる属性の人が足を運ばれる中で、胸を張ってご覧いただける写真(作品)を展示できているのか、という視点は持っていたい。

それに、来てくれた人とはちゃんと話したいし、自分だけじゃなく仲間の展示も見てほしいし、好きなものがあればそのまま作家とも繋げたい。

今回、タイミングが被ったりもあって来てくれた人全員と十分な会話ができなかったことが少し反省。

ちゃんとした人、に会って話したり、ちゃんとした人が作るものにちゃんと触れると、ちゃんとしよって思う。

グループ展の良いところは、すぐそこで色んな趣向、属性の人が展示していることです。「みんなちゃんとしてるな〜」と思うし、そんな人達に写真を見てもらうと、自分ももっとちゃんとしよって思います(語彙力)

それに今回、東京で展示を拝見して感動した写真家さんが大阪にいらっしゃり、お忙しい中でLINK UP 2023にも足を運んでいただきました。

写真家として最前線で活動されている方の言葉には重みがあり、たくさんお話ができたことに本当に感謝しています。

背筋を伸ばされる思いです。

総括

実はあんまり展示経験がありません。

今回の展示は経験してきた展示に比べて手応えも課題もあり、充実していました。

が、こんなもん個展している人達はサッと通ってズバッとやり遂げてきたラインだと思います。本当に尊敬します。

実を言うと自分は「写真表現」というものにあんまり感度が高くない(私的、記録的な写真に対する崇拝がある)のですが、だからこそ表現の有無を問わずグッと来た展示や写真集に対しては素直に感動するし、最近は展示や写真集に触れることが楽しくなってきました。

今回の展示で感じたことを糧に、自身の制作活動に励んでいきます。

展示したZINEとデータを販売しています。購入していただくと今後の活動の励みになります。

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