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誰でもピアノソナタが書けちゃいます《その6》【ドミナントをつなげてみよう(1)】

ちょっちだけ日記Vol.77


前置き

このシリーズでは難しいことは書いてません。
音楽を始めたばかりの方や一度やめちゃった方にブラックボックスのような音楽の仕組みを「こうなってるのよ」という感じで説明しています。

今回は曲の4小節や8小節単位のフレーズを終わらせたり次のフレーズやサビに繋ぐために必ず必要なるコード(和音)の「ドミナント」(属和音)についてその使い方やバリエーションを紹介したいと思います。
前にも書きましたが「ドミナント」にさえ辿り着ければ曲は出来上がるのです。
あまり理論にとらわれて前のほうで立ち止まらずに先へどんどん進みましょう。難しいところはあとで考えればいいのです。
ほとんどの楽曲はシンプルなパターンで考えることが出来ます。
ややこしいコードが入っていたり一見難しそうに見える曲でもその バリエーション(変化)だと思ってください。
コードネームがどうこうとかではなくそれぞれの音のつながりで考えて欲しいのです。
今回は例に挙げたフレーズも多いのでゆっくり読んで音も聞いてくださいね。またご質問や間違いのご指摘等あればコメント欄へどうぞ。
では久しぶりにはなりますが続きを始めましょう。


1.ドミナント(属和音)について

以前にこんな例を出しました。(今回はルートも入れました。)

▷▷▷ 🎵 こちらから聴けます 🎵

この2小節目のG7が「ドミナント」です。
必ず主和音のドミソに戻ることが出来るコードです。

まずは「ドミナント(属和音)>トニック(主和音)」のつながりを
C(ドミソ)から順に全部つなげてみました。

▷▷▷ 🎵 こちらから聴けます 🎵

上の段と下の段の譜面は表記は違いますが音は同じです。
この繋がりは頭に入れておいてください。

画像では文字が小さくなってしまったのであらためて書いておきます。

C>F>Bb>Eb>Ab>Db(C#)>Gb(F#)>Cb(B)>E>A>D>G>C

曲の区切り区切りの作り方だけではなく全体の進行を考える際にも
役に立つと思います。
(なぜなら「繋がりやすい進行」だからです。)
曲の途中で変化をつけて行ってそこから元に戻りたいときなど
このどこからか合流すればトニック(主和音)に帰ることが出来ます。
次回以降説明しますが「ドッペルドミナント」(ダブルドミナント)
場合によってはトリプルドミナントの応用で「解決する」ことが出来るのです。
私がよく聴く作曲家の中ではモーツァルトの曲に多く見られます。

転調(曲の途中で調を変える)、とくに元の調に戻る際には有効な手段です。

今回の後半でお話するバリエーションも同じ意味で役に立てるはずです。


(ちょっとわき道)【12音階の成り立ち】


ドミナントのつながりの譜面を見ていただくと
和音(コード)が12個で一周して「ドミソ」に戻っていますね。
物理の話になりますが音に限らず波というのは割り切れる倍数で響き合う(共鳴する)性質を持っています。音階で説明するとこうなります。

「ド」の2倍の周波数がオクターブ高い「ド」
「ド」の3/2の周波数が「ソ」
「ド」の4/3の周波数が「ファ」

(分数合うてるかいな?笑)

だから「ドとソ」や「ドとファ」は響き合うのです。
具体的な計算は省きますがドからソ、ソからレ、という風にそれぞれの計算を12回繰り返すと音階ができます。
ただしソに向かって計算したシャープ方向の結果(3/2ずつ)とファに向かって計算したフラット方向の計算(4/3ずつ)では一周して同じ音に来た時に掛け算の答えは一致しません。
そこをうまい具合に調整して周波数を決めているのが今の音楽の12音階なのです。
「バッハの平均律」というのを聞かれたことがあると思います。
今の音階はこの平均律を基調に作られています。

みなさんたとえば カラオケでキーを変えた時「なにか曲調が変わった」気がしませんか?
それはキー(調)だけの問題ではないのです。
曲にはそのキーでないと「出ない響き」もあるのです。
ピアノの演奏会で曲目によって微妙な調律を行うのもそれが一つの理由です。
身近な曲で言えばビリー・ジョエルの「素顔のままで」のイントロはKeyOfD(ニ長調)でないとあの響きは出ません。
最近私が書いた「雨に濡れても」のウクレレのイントロもキーがF(ヘ長調)だからこその響きです。
カーペンターズの「遥かなる影(Close To You)」も同じです。
基本的にどのアーティストがカバーしても同じようなアレンジになる曲はそういった曲が多いです。(私個人の感想です。)

ちょっと話がそれました。


2.ドミナントのバリエーション

(全てがドミナントと呼べるわけではありませんがトニックに戻るためのバリエーションとして紹介します。)

ではさきほどの基本パターンに変化をつけてみましょう。

(まずは基本パターン)「G7」から「C」

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それぞれの構成音の「動きやすさ」については今まで説明してきました。

ルートや主旋律(メロディ)以外は共通和音(=同じ音)か動くなら半音もしくは全音が望ましい


ではこれにラからソへの動きを加えてみましょう。

(バリエーション1)「G9」から「C」

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そうそう、単に「G9」と表記されてる場合にはセブンスはフラットの7なのでそのままG7にラが乗ったカタチになります。
(これも説明済みですね)
「maj7」を使っているという場合には「maj9」と表記します。
ちなみに今回の譜面ではラを入れたのでシは抜いてあります。
(よく見ると他のコードに見えませんか?)
音を抜いたり抜かなかったりというのは一応ルールはありますが あくまでもその場その場での響きや意図の問題です。難しく考えないでくださいね。
でももし最後をCmaj7にするのであればシ(B)を入れて構わないと思います。その場合はこうなります。

▷▷▷ 🎵 こちらから聴けます 🎵

※今度は逆にCmaj7のところでト音にシを入れたのでドは抜きました。
ルートの「ド」とは離れているので大丈夫ですが「隣り合う半音は不協和音になりやすい」という話もしましたね。


つぎは「ミ」を共通和音にしたらどうでしょう?

(バリエーション2)「G6」から「C」

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メリハリは弱くなりましたが継続感がありますね。
曲のエンディングなどには使えそうな響きです。
この場合にはミはファと半音なのでファは抜きました。
何度も言いますがこういった配慮も作曲や編曲では必要なのですが、ジャズ理論のように難しく考える必要はありません。
「響いてない音があればどれかを抜く」それだけです。


こうなってくるとこんなのもやってみたくなります。
ラとミを両方入れました。
私が「シックスナイン」と呼んでいるコードです。

(バリエーション3)「G6(9)」から「Cmaj7」

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ここまで「G」のコードで説明してきましたがもうお気づきですよね?
ルート以外の部分は他のコードでも使えるのです。
二つだけやっておきます。

(バリエーション4)「Dm7/G」から「Cmaj7」

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ラ > ソ
ファ> ミ
ド > シ

の3つの動きが加わって綺麗な響きになります。
ポップスではドミナントとしては一番多用されるコードかも知れません。


これを先ほどと同じようにミを共通和音にするとこうなります。

(バリエーション5)「Dm9/G」から「Cmaj7」

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となればこれもミとファがぶつかりはしますが使えなくありません。
(メロディとバックのように別パートだったらなおさら使えます。)

(バリエーション6)「Fmaj7/G」から「Cmaj7」

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Fmaj7/Gではなく「F/G」だったら綺麗な響きになりますが
ソドファラになるともはやコードの表記は何でもよくなります。(笑)


こういうことです。

(バリエーション7)「G7sus4(9)」から「Cmaj7」

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まぎれもなく「F/G」なのですが私の意図としてこのコードネームにしました。ドからシの響きが重要だと思えばsus4をつけた方がいいでしょう。

コードネームというのは何度も書いてる通り「あとづけ」なのです。
大事なのはそれぞれの構成音のつながりです。
理論も後からついてくるものです。
まずはとにかく曲を書いたり触ってみたり、演奏したりしてみましょう。


発展形にはこんなのもあります。(♭は付いてしまいますが)

(バリエーション8)「G7(b9)」から「Cmaj7」

▷▷▷ 🎵 こちらから聴けます 🎵

ちょっと小洒落た感じになってきましたね。
ドミソの「ソ」に行くための音を「ラの♭」にしたと思ってください。
こういった黒鍵の音を使う利点はもうひとつ。
その前の和音にラの音が入っている時には「ラ-♭ラ-ソ」という滑らかな表現が出来たりします。また最後のCmaj7をC6にして「ラ」を入れたら今度は前の和音からソ-♭ラ-ラという流れを作ることも出来ます。


最後にこれも紹介しておきます。
私が普段、多用しすぎるぐらい使っている「♭13」です。
ドから見たラがフラットしている音です。ソから見ればミのフラットです。

(バリエーション9)「G7(b13)」から「Cmaj7」

▷▷▷ 🎵 こちらから聴けます 🎵

♭のミが入るのでレは抜いています。


この場合「♭ミ」から「ミ」に行くのもいいのですが別にファからミの流れがあるので♭ミからレに進むパターン も考えられます。
せっかくなので「シ-ラ」の動きも入れてみるとこうなります。

(バリエーション10)「G7(b13)」から「C6(9)」

▷▷▷ 🎵 こちらから聴けます 🎵

ラストはおまけみたいな感じでごめんなさい。
でもポップな響きになったと思いませんか?
うちのチームのコーラスの譜面では随分多用してるのでお聴きいただいてる方にはお馴染みの響きですよね?(笑)


ってなことを書いていたらここまででも長い記事になってしまいました。
(「Ⅴ-Ⅰ」の進行だけでこうなるとは自分でも思ってませんでした。)

「ドミナントをつなげてみよう」といいながらそこまで行けませんでしたね。次回、ドッペルドミナントの話もしながらちゃんと進めたいと思います。下書きはそこそこ出来ているのでそんなには日数はかからないと思います。

そうそうこれも書いとかなきゃ
ピアノやキーボードを持ってない、楽器なんか手元にない!という方。
そういう方のために「MIDI」ってツールがあります。
(私のように楽器が全くできなくても譜面は書けるのです。)
一行の五線譜ごとに音色を設定して音符を置いて行って音を鳴らすことが出来ます。
とりあえず今はこちらを紹介しています。



ではまた。

みなさんにいいことがありますように。

そろそろ本気でピアノソナタも書かなきゃ(汗)

#作曲して欲しい


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