誰でもピアノソナタが書けちゃいます《その5》【和音(コード)をつなげてみよう編-3】
ちょっちだけ日記Vol.74
前置き
一連の記事は初心者の方への「作曲のススメ」ではありますが
私自身もいろんな曲を書いてきてここらで整理したいと思い書いています。
間違ってたらどなたか指摘してくださいね!
質問もコメント欄へどうぞ
冒頭でいつも書いてますが「理論」というまでのものではありません。
理屈で書いて行けばキリがないのであくまでもパターンを紹介していくだけです。
それを知って頂いていろいろ好きに曲を書いて欲しい。
自分が「いい」と思えるものを譜面にして欲しい。
作曲とまではいかなくても
「ああ、そういうことやったんや」「そんな仕組みなのね」と思って頂いて
音楽にもう一歩踏み込むきっかけになってくれればいい。
そんな気持ちなのです。
その結果みなさんが手元にある楽器や私がやっているような「MIDI」(PCで譜面を書いて音楽を鳴らす)で作曲まで一歩踏み込んでいただけたらありがたいと思っています。
MIDIソフトについては最後に「MuseScore」を紹介しています。
私が今使っているソフトは音色がシンプルで使いやすいのですが
他のソフトと統合されたりサポートが止まったりでややこしい時期のようなのでまたあらためて紹介しますね。
本日は
(3)カノン進行について
です。
「(2)型にはめてみよう」の続きにもなりますが
独特のカタチでもあるので記事を分けました。
カノン進行の話もですが少し次回以降予定の話も含めてパターン例も出しています。
併せて参考になればと思います。
まずはこちらを
🎵 カノン / パッフェルベル(46秒)🎵
まぎれもないカノンの代表曲です。
同じメロディを2回繰り返していますが後半は私なりに即興で脚色しました。
※上に出した譜面は1回目の分だけです。後半の部分は今後の話で使いたいと思います。
後半は初級者の方には物理的に弾きにくい組み立てになっていますが
こういう音積みが書けるのもPCで譜面を書く「MIDI」の面白さだと思ってください。楽器が出来ないなりに書ける楽しさもあるのです。
・カノン進行とは
単純に言ってルートが「ド-シ-ラ-ソ-ファ-」と下がっていく進行です。
誤解の無いように言えば「カノン」はこの進行だけではありません。
数学的物理学的に響き合う違う旋律を組み合わせた音楽
それがカノンです。
(私の勝手な解釈ですが)
ルートだけでなくメロディや構成音の上り下りそれに違うリズムの組み合わせも重要です。それと「譜面を図形として見たときに美しい」こと
それもカノンの大事な要素なのです。
(美しい譜面はその音も美しい。)
音楽だけには限りません。朗読やイラストでもこの手法は可能です。
リズミカルに違う言葉や違うオブジェクトを響き合うように配置する。
拡大解釈すればそれらすべてがカノンなのです。
難しい話にはなりますが「カノン進行」だけの話ではなく
音を組み立てるうえで全てのフレーズの基本になってきます。
話が長くなりましたがこの進行はみなさんにはとても馴染み深い進行です。
また「作曲を始める」にも手っ取り早く取り組みやすいと思います。
・進行について
この曲を説明するとこんな進行です。
ルートがドシラソファと下がり「F」(ファラド)に入ります。
今までも書いてきた通りこうなればこの後いろんな展開が作れますよね。
またルートがド>シ>ラと下がる過程においてもこの曲の「C>G>Am」だけではなく「C>Em>Am」、「C>Cmaj7onB>Am」など他のバリエーションも考えられます。
※Cmaj7(onB) とは「ここはCmaj7だけれどもルートはBですよ」というコードです。
一般的には Cmaj7/B と表記します。
さてこのパッフェルベルのカノンですがコード進行は4小節目ずつの繰り返しです。
そして4小節目の最後だけG(ソシレ)のドミナントになっているので
次にまた初めから繰り返すことが出来るのが判って頂けると思います。
ひとつ前のDからGに移動しやすい話は前回述べましたね。
・カノン進行の他の曲
カノン進行には「これもこれも」と言う感じで例を挙げればキリがない程の楽曲が存在します。
一応2曲書いてみました。
🎵 クリスマス・イブ / 山下達郎 🎵
コードはメロディも含めた響きで書いています。
この曲の場合にはFからさらにEm7へと下がっていきます。
ちなみに4小節目のG(ソシレ)の最後でドシ(mmu-ハミング)と入れています。このドの音はGにおいてはsus4という響きでこれについても次回以降で触れます。
意味はサスペンドのsusです。引っ張り上げるとか次につながるという意味だと思ってください。
実際シを半音上げて一旦ドに行ってシに戻るのです。
私はこの響きを「アーメン」と呼んでいます。(教会音楽のエンディングに多く用いられる響きです。)
もうひとつ
こういったメロディの後にくっついて飾りをつけるフレーズを
「オブリガード」と呼びます。これも私は普段「尾ひれ」と呼んでいます。
(筒井康隆「ジャズ大名」より)
🎵 翼をください(サビ)🎵
同じカノン進行でもクリスマス・イブとは少し違いますね。
4小節目にハ長調ではない Bb(シbレファ)のコードが入ってますが
これも今まで説明してきた通り次の「G7onB」にいくための
もっと言えばそこからもう一度ドミソへ戻るための「つなぎ」と思って頂ければわかりやすいです。(ルートがBb>Bへと進む)
ちょうど良い機会なので説明すると
実はこういう部分は「作曲者や編曲者の意図」の部分で実際は他のコードでもつながるのです。(次回の「ドミナント」の項で少し説明できると思います。)
理論的に難しく考える必要はありません。
そんな程度で大丈夫なのです。
最後の小節を3パターンやってみますね。
🎵 翼をください(バリエーション1)🎵
まずは「G7sus4」からのG7です。
原曲でBb>Bと動いている音が先ほども説明したように
一旦C(ド)に行ってからB(シ)に動いていると思ってください。
🎵 翼をください(バリエーション2)🎵
次は「Dm7/G」からG7
バリエーション1と比べれば「ラ」が入っているかいないかの違いです。
(ややこしい話をすると「G7sus4」の場合には「C」の音が入るので基本的に「B」(シ)は抜きます。)
以上の二つのコードについては次々回でお話しすることになると思います。
🎵 翼をください(バリエーション3)🎵
最後にファにシャープは付きますが「D7」からの「G7」です。
これは「G7がKey of C(ハ長調)のドミナント」で「D7がKey ofG(ト長調)のドミナント」なのでドミナントの連続になっています。
なので用語としては「ドッペルドミナント」(ダブルドミナント)と呼ばれます。詳しくは次回に。
今回は同じメロディでも付けられるバリエーションの種類を知って頂ければ十分です。
どれも原曲とは少し違いますがメロディに対しては違和感はないと思います。
少し次回以降で説明する内容が入りましたが
とにかく理屈にはとらわれずまずは譜面を書いてみましょう。
作曲が大変ならばこうやって既存の曲のコード進行を変えてみたりするだけでも十分楽しいし作曲に向けての練習にもなると思います。
カノン進行の話から少しそれましたね。
ほかにもこの曲たちにカノン進行は使われています。
(とっさに思いつくものだけでもこれだけあります。)
あの素晴らしい愛をもう一度
ハナミズキ
ラヴィング・ユー(ミニー・リパートン)
また君に恋してる
恋するフォーチュンクッキー
にじいろ
負けないで
さくら(森山直太朗)
桜坂
壊れかけのRadio
などなどたくさん
コード進行は調べればわかると思うのでチェックしてみて下さい。
「カノン」のパターンの種類や構造についてもこの一連の記事ではこれ以上述べませんので
興味ある方はご自身で調べてください。
(奥行きがめっちゃ深い話です。)
あくまでも今回は「こういう進行の型がある」と言うお話でした。
カノンの手法については手前味噌になりますが
判りやすいのはこの2曲で私は使っています。
(1分35秒過ぎからのつなぎの部分)
コードは次の回で述べるドミナントをつなげる進行を使っています。
(55秒過ぎからのBパートの「歓喜の歌(Joyful Joyful)」引用部分)
それとこんなお遊びも
🎵 Fantastic Kanon / Arranged by みすてぃ 🎵
カノン進行の曲を組み合わせたにとどまらず「刑事ドラマ」くくりで2曲重ねたり「Loving You」というキーワードで3曲重ねたりしています。
それさえもまた広く捉えればカノンの手法なのです。
(何度も言いますが私個人の勝手な解釈です)
エンディングでは御本家のパッフェルベルのカノンをさらに分解してしまいました。
入ってる曲が全部わかる方
「あんたはえらい!」
ピアノやキーボードを持ってない、楽器なんか手元にない!という方。
そういう方のために「MIDI」ってツールがあります。
(私のように楽器が全くできなくても譜面は書けるのです。)
一行の五線譜ごとに音色を設定して音符を置いて行って音を鳴らすことが出来ます。
今回リズムのことは説明しませんが音を鳴らすだけでも楽しいですよ。
私が使っているソフトはシェアウェアなのでこちらを紹介しておきます。
MuseScoreの場合は自動的に装飾音が入ったり使いにくい面もあります。
私が使っている「ScoreEditorPro」と言うソフトはその辺りがシンプルなMIDIのもともとの音色で譜面を書くこと自体も使いやすいとは思うのですが冒頭の理由で今はお勧めは辞めておきます。
ではまた。
みなさんにいいことがありますように。
ここまで書いている以上自分もマジでピアノソナタ書かなきゃ
(いよいよかーい!)
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