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急斜面の岩場を400キロの神輿が滑り降りる伊庭の坂下し祭り

滋賀県の東近江市で開催された伊庭の坂下し祭りに行ってきました。5月4日に繖峰三(さんぽうさん)神社で行われていて、800年以上の歴史があるお祭りです。

険しい参道

繖峰三神社は繖山(きぬがさやま)にあるのですが、神社の鳥居に着いた時に真っ先に思ったことが「どこから登るの…?」でした。

大鳥居

近くにいた地元の方に繖峰三神社へのルートを尋ねると、この道(?)を登るしかないと言われました。まだ人がおらず、本当にこの先でお祭りが行われるのか不安になったので、一旦周辺を散策することにしました。

険しい参道

伊庭祭り

伊庭の坂下し祭りは、繖峰三神社で行われると書きましたが、伊庭集落にある大濱神社と望湖神社を中心に行われる伊庭祭りの中の一部です。
岩場を滑り降りる激しい場面とは別に大濱神社と望湖神社で神事が行われています。

望湖神社へ運ばれる神輿

神輿は、大濱神社と望湖神社で一つずつ、繖峰三神社に三つあります。昔は三つの神輿を坂下ししていましたが、現在は人手不足もあり一つだけになっているそうです。

繖峰三神社へ!

神輿が運ばれているのを見てお祭りムードが高まってきたので、意を決して繖峰三神社へ向かうことにします。
ちょうど過去に登ったことがある方が登ろうとしていたので、付いていくことにしました。

急勾配な参道

繖峰三神社は、山麓の高さ200mほどですが、岩と砂利の道しかなく、手を使わないと登りづらいところもあります。割とラフな格好の人がほとんどでしたが、できればトレッキング用の装備で行ったほうが安全だと思います。

岩や砂利の道

心が折れそうになりながらも、ようやく鳥居が見えてきました。

繖峰三神社の鳥居

到着するとすでに10数名ほどいました。年配の方もいて驚きました。最終的にはもっと人は増えます。地元の方は登り慣れてるのでしょうか…。

繖峰三神社

しばらくすると担ぎ手も集まってきてお参りしています。

担ぎ手

坂下しをする神輿は前日に繖峰三神社へ引き上げられています。あの険しい道を引き上げるのは大変そうです。3,4時間かかったと言っていました。神輿には網掛けされています。

坂下しの神輿

坂下しの前にお払いをし、餅のようなものが撒かれます。塩かと思いましたが、少し大きい固形物で食べていたので餅とか米のようなものだと思います。

出発前の儀式

坂下し

いよいよ坂下しが始まります。

宮出し

スタート直後ですでに険しいこの角度。でも、後から考えると序の口でした。

宮出し直後

坂下しにはいくつかの難所があります。例えば、屏風岩では大きな岩の上から神輿を力強く下ろします。

屏風岩

また、ほぼ直角の崖になっている本堂抜けや二本松といった特に難しいポイントもあります。

本堂抜け

二本松では、この年に若連中に加入したハツヤマと呼ばれる少年が神輿の前面に立ちます。

二本松

坂下しの神輿にはそれぞれの位置に役割があり、特に後ろのさるは重要で難所に差し掛かると、必ずさるの準備ができているか確認していました。さるは後ろで綱を持っている人で、引っ張ってすぐに落ちないようにするだけでなく、タイミングを合わせて力を緩めることでスムーズに神輿を下ろす重要な役割です。

さる

「さる」と言っていて何か特別な漢字があるのかと思いましたが、後で調べたら動物の猿のようでした。他にも先長柄、後見、廻り天、中綱があるようです。

鳥居前へ

そして、数々の難所を乗り越えて、最後は鳥居前へ。鳥居前ではたくさんの観客が降りてくるのを待っています。

鳥居前

そして、ようやく坂下へ。

坂下

坂下しで運ばれてきた神輿は飾り付けをされます。

飾り付け

最後は大濱神社横の御旅所へ向かい神事へと続きます。

御旅所へ

写真で見るよりも実際に見るほうが、斜面の険しさや滑り降りる神輿の轟音が聞こえてきて迫力があります。
見ている方も手に汗握る場面が続くお祭りですが、若衆たちの団結力でいくつもの難所を乗り越えて、最後の鳥居をくぐりたくさんの人に迎えられる様子はとても感動しました。

そして、運動不足のせいか次の日は筋肉痛になりました。

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