見出し画像

人生を変えた10枚のアルバム。

「X」で「人生を変えたアルバム4選」っていうハッシュタグでアルバムを選ぶ企画があって、そういうのにすぐのっちゃう僕はもちろん参加してみました。しかし4枚っていうのは、いくらなんでもそれは厳しいです。だからこの際とりあえず10枚に絞ってnoteに書いてみようかな、という努力の結果がこういうセレクトになりました。過去に何度も紹介しているアルバムもあるし、自分にとってそのアーティストのベストではなくても、「人生を変えた」アルバムってまた別ですよね。と言いつつ気がつけばベタベタの名盤ばかりに。考えればまだまだあるけれど、とりあえず。

まあもともこもなくなっちゃうけれど、僕は音楽によって人生が変わったなどということはありません(←キッパリ)。だからここで選んでいるのは、その後の音楽の嗜好を「変えた」、そういうきっかけになったアルバムというべきでしょうか。こうして眺めてみると僕はやはり刺激的な音楽より、柔らかい音楽の方が好きだし、そういう音楽こそがむしろ大きな転機になっているのだなと改めて思いました。10枚それぞれにどのように「人生を変えた」か、短いコメントを添えましたので、気になったら読んでみてください。

ちなみに会員・関係者で、この企画を「俺にもやらせろ」っていう方がいらっしゃれば、この記事に追加しますのでご一報ください。まあいないだろうけど。


Aca Seca Trio - Avenido

アルゼンチンのいわゆるネオ・フォルクローレに熱中するきっかけとなったアルバムです。これとCarlos Aguirreを聴いていなければ、ネオ・フォルクローレにここまで入れ込むことはなかったと思います。そういう意味で「人生を変えた」アルバムの一つです。音楽に対する姿勢が誠実でいて、でも洗練された輝くような音楽だなって、思いました。


Bill Evans Trio - Waltz For Debby

ジャズはあまり真面目にではないけれど、ずっと聴いている音楽です。ベタですがその中で僕が最も敬愛するピアニストがBill Evansです。もちろんBill Evansにはもっともっと名盤と呼ぶべき作品も多いのですが、僕が初めて聴いたBill Evansがこれだったのです。お店の客の喧騒の中でも、最初の一音から溢れ出るリリシズムには、何回聞いても震えます。


Caetano Veloso (Gal e Caetano Veloso) - Domingo

ちょうどアメリカに留学していた時に、何を聴いたら良いのかわからなくなってしまった時期がありました。何を聴いてもしっくり来なくて、その時デンバーのタワー・レコードで、どこかで以前見たことがあったこのアルバムを購入しました。僕がブラジルの音楽に真に興味を持ったのがこのアルバムからです。微睡ような心地よい倦怠感に痺れました。


Carlos Aguirre - Crema

Aca Seca Trioと同時期に聴き始めたCarlos Aguirre Grupoのファースト・アルバムです。フォルクローレ色も濃い部分もありますが、Carlos Aguirreの繊細な楽曲と歌声、そして洗練されたサウンドに完全に心を奪われました。その後Carlos Aguirreを山形に4回も招聘できたなんて、今振り返れば奇跡的です。真摯で審美的な音には今も魅了されています。


Cartola - Cartola (1974)

日本でブラジル音楽を聴く場合、多くの場合はボサノヴァから入る人が多いものと思われます。僕もまあ主としてボサノヴァから聴き始めました。サンバに興味を持ち出したのはその後で、特にこのアルバムでサンバの美しさ、滋味、そしてかっこよさを知りました。以来今日まで、僕のお葬式で流す音楽候補の1位は未だこのアルバムです。


Chet Baker - Chet Baker Sings

正統的なジャズの歌い手の、朗々として技巧的な歌に、少数の例外を除き僕は強い興味を持つことが出来ませんでした。正直僕には面白くなかったのです。だからそういう枠から完全に外れちゃってる(と言って良いと思う)チェット・ベーカーの歌声には魅了されました。誰もが知っているベタな名盤ですが、やはりこのアルバムは僕の音楽の聴き方を変えた一つです。


João Gilberto - João Gilberto

おそらく日本では多くの方がボサノヴァを「ゲッツ/ジルベルト」から聴いたのではないかと思う。ジャズファンがスタン・ゲッツを聴いている文脈の中で、米国に紹介されたボサノヴァをジョアン・ジルベルトとの共演アルバムとして認知したのだと思う。でもこのアルバムを聴いて、この簡潔なスタイルこそが僕の好きなボサノヴァだと感じたのです。


Michael Franks - The Art of Tea

それまで歌唱力があることがひとつの価値観だった僕にとってはマイケル・フランクスの脱力系の歌はショッキングでした。またCrusadersやDvid Sanbornなど、当時聴いていたFusion~Funk系のアーティストの参加によって、そのころの僕にとっては超絶におしゃれなサウンドだったのです。AORを聴く契機としてこのアルバムは外せないです。


Phoebe Snow - Second Childhood

もちろん彼女のファースト・アルバムが最高なのだが配信で聴けない。だからファーストに引けを取らないこちらのセカンドを。彼女の音楽を聴くまで僕は、ほぼハードロックを中心に聴いているような少年だったので、彼女のこの音楽、この歌い方が、なんとオシャレで大人の音楽に聴こえたことか。本作に収録されている"No Regret"は忘れられない名曲です。


Roberta Flack & Donny Hathaway - Roberta Flack & Donny Hathaway

僕はこの二人の歌が大好きなのだけど、特に本作に収録されているDonny Hathawayの”For All We Know"は何回聴いても感動を禁じ得ないし、世紀の名唱の一つだと思っている。そしてある意味かなりヘビーなその曲から、軽やかな"Where is the Love"へ繋がる展開は鳥肌が立つほど素敵だと思う。最も好きなソウル・ミュージックです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?