マガジンのカバー画像

日記やエッセイを綴る場所

38
日常の何でもないできごと、心を震わした瞬間を残したい。そんな想いでつらつらと文章を綴るマガジンです。
運営しているクリエイター

#生き方

このさえない現実を夢みたいに塗りかえればいいさ

このさえない現実を夢みたいに塗りかえればいいさ

“そう何度でも 何度でも 僕は生まれ変わっていける
そしていつか捨ててきた夢の続きを”
──Mr.Children 蘇生

イヤホンから流れるみずみずしいメロディーに背中を押され踏み出した一歩は、吹き抜ける春風とともに空高く舞い上がった。

仕方なく、交互に動かしていた足を止める。澄み切った空を眩しく見上げ、踏み出した一歩は「新しい」なんて言葉で表現するには大げさな、平凡な一歩だった。

それでも

もっとみる

何もできない痛み、力になりたい痛み

灰色の薄い雲が、今にも雨粒を降り落としそうにだらだらと居座っている。視線をさらに遠くに移すと青空が。白い雲とともに浮かんでいる。とても宙ぶらりんな頼りないその青空は、今にも消えそうに、ただ"青空"でいるばかりだ。

インタビュー原稿の続きを書こうとPCを開いた。書いては消し、書いては消し、何日目だろうか。結局筆は進んでいない。何にこだわっているのか、何に納得できないのか。書けなかった。一旦PCを閉

もっとみる
しょうがない、と許していい空。

しょうがない、と許していい空。

いつもと変わらない朝。雲ひとつない。薄いカーテンに太陽がまっすぐに飛び込むけれど、風に揺れかわされる。床には木漏れ日がゆらゆらと。カーテンはふくらみ、しぼむ。まるで呼吸をしているみたいだ。

みずいろの空は、濃くなく、薄くもなく。チューブ絵具のキャップをくるくると開け、キャンバスにみずいろを押し出した。少し湿った筆を乗せ、迷いなく引く。すっと大きく、世界中すみずみまで。今日の空は、そんな色だ。

もっとみる
「命」を「使」って、生きる時間

「命」を「使」って、生きる時間

雨の日は、文章が書きたくなる。
雨音を聴きながら、しとしと筆を走らせる時間を愛でる。書くことが心底好きだ。そんな感情は、雨の日が連れてきてくれるのかもしれない。何を考えるでもなく、何を感じるでもなく。それでも指はなめらかだ。

ただ生きている証を残したい。「文章を書く」ことに出会ったのは、ちょうど就活を終えたばかりの頃。当時はとにかく、自分の世界を書きたかった。胸の奥からえぐられるような生々しい傷

もっとみる
生きづらさは、選択していた

生きづらさは、選択していた

いつもビクビクしながら過ごしていた。特に社会人になってから。いつ獲物に喰われるかわからないと怯えながら周りをキョロキョロする。

安心安全な屋根のある家を見つけられず、いつも野宿をしているかのような、疲れと空虚でいっぱいの心理状態だった。

「生きづらい」

そうはっきり言葉にし涙を流した日。会社に行けなくなった日。ちょうど1年半くらい前のことだろか。あの日から本当の意味で「自分のための人生」が始

もっとみる
Happy Birthday自分と仲良くなれた自分へ

Happy Birthday自分と仲良くなれた自分へ

死なずに24歳の誕生日を迎えられた。お風呂の湯船につかりながら呟いた「生きててよかったぁ」は、心の奥底から出た本音。

なんせ去年の誕生日を迎えた朝、心に浮かんだ言葉は死にたいだった。スマホ画面にはおめでとうの文字が並んでいる。嬉しい。でもなぜだろう。次の瞬間、涙がぽろぽろとこぼれた。生きている実感を体いっぱいに受け止めることができず、頭の中がぐちゃぐちゃになった。

去年のわたしにとって誕生日は

もっとみる
見たい世界のままに過ごしたら、その通りになった一日

見たい世界のままに過ごしたら、その通りになった一日

つまんない、のは誰のせい?すべては、自分が選択していることだよ。

心の中で、呟く。

これは、挑戦だ。

***

飽きると無い物ねだりが始まるのは、いつものこと。自分の本当のやりたいことは〜、とか。会社の先輩が〜だから、とか。SNSで◯◯ちゃんは〜してたのに、自分は・・・とか。

わざわざ無いものを数えて気持ちを暗くし、焦り、追い込む。目の前の現実が、とても薄っぺらく色のないモノに見え、つまん

もっとみる
「自分のため」から「誰かのために」書く生き方を。ライター1年目を振り返って

「自分のため」から「誰かのために」書く生き方を。ライター1年目を振り返って

渋谷の路地で、友達に泣きながら電話をしたのは、ちょうど1年前だった。「わたし、やっぱりライターになりたい......」ありったけの声をふり絞って、嗚咽が混じった声で受話器越しに伝えた。

ライターになりたいから、会社を辞めたと言っても過言ではない。2019年の始まりは、ライター人生の始まりでもあった。

***

新卒一年目の12月。

ビジネスマンとしても、ライターとしても、新米のわたしに仕事な

もっとみる

愛おしい暮らしのコツ

好きな映画のサントラを聴きながら、文章を書く。寝れない夜は、好きな映画を耳元でかけると安心してまぶたを閉じることができる。何かをプレゼントしたいけれど、とくに理由が見当たらないときは、待ち合わせの駅で花を買って少し照れながら渡す。家でひとりでごはんを食べるときは、必ず自炊をする。雨の日は、家で雨音を聴くに限るし、晴れた日はとにかく散歩が良い。

書いて、書いて、また書いて。それに疲れたら、こころが

もっとみる
種を撒かないと、花は咲かないんだよ

種を撒かないと、花は咲かないんだよ

いつだって、ここではない何処かへ行きたかった。もっといい場所があるんじゃないか。自分に合った場所があるんじゃないかって。でも、ここではない何処かへ行く“わたし自身”が変わらなければ、何処へ行っても同じだと、気づいたんだ。

***

社会人になってから、ずっと夢を掲げて働いてきた。水曜10時放送のドラマ『同期のサクラ』主人公、北野桜が「私には、夢があります! 」と言い放つ姿を見るたびに、自分と重な

もっとみる
私はあの子になれないけど、あの子も私にはなれないから。

私はあの子になれないけど、あの子も私にはなれないから。

「どうして自分だけ...」物事がうまく進まないと、悲劇のヒロインになりがちだ。

新卒で入社した会社を早期退職してしまった。転職にも失敗した。友達は、就きたかった仕事に就いて楽しそうに仕事をしている。彼氏となんだかうまくいかない。でも友達は彼氏とも仲が良く、楽しそう。

「もう、どうして自分だけ!」

世の中の自分以外の全てが、冬のイルミネーションのようにキラキラして見える。いいなぁ。すごいなぁ。

もっとみる

恋と戦争

“相手の本当の気持ちなんて、永遠にわからないのだから。”

深夜のテレビから流れる音が、エアコンの風で冷え切った身体に絡みついた。

捕まえたと思ったら指先をするすると通り抜け、おにぎりを握るようにふわり両手で優しく包み込んだ途端、しゅんと逃げていく。追いかけていたのは自分の気持ちだ。

恋をした日、恋が叶った日、恋に破れた日。

長い1日の中で、その瞬間だけが世界を止める。あれこれ心配したって、

もっとみる
行ってきますと行ってらっしゃいの居場所は何度でも見つかるよ

行ってきますと行ってらっしゃいの居場所は何度でも見つかるよ

寝癖ぼさぼさの髪で、開けたカーテン。眩しさで目をつぶる一瞬前に捉えたのは、新品のクレヨンで描いたような「水色」の空。伸びやかに広がる朝に、心の中で音符が跳ねた。

ぐずぐずな梅雨のせいで忘れてしまいそうになるけれど、もう7月末。今月から、株式会社インクワイアで編集アシスタントを始めた。3ヶ月間は業務委託だけれど、会社とわたし、相互にミスマッチが生まれなければ、その後社員としてジョインすることになっ

もっとみる
雨から逃げたくて、夢を編んだ

雨から逃げたくて、夢を編んだ

雨と雲に盛大に世界を支配され、花びらを広げられずにいるひまわりと、もう今年は出番ゼロなのでは?と土の中で嘆く蝉たちに同情していられないくらいわたしも限界だった...

世界一周する出発日を決めた。親友の誕生日の日にわたしは空港から旅立つ。会社のメンバーに応援してもらって見送られながら、約8ヶ月の旅だ。全大陸、30カ国以上を周って世界中の人の夢を聴いて発信をする。ときには大自然、ときには大都会を

もっとみる