マガジンのカバー画像

日記やエッセイを綴る場所

38
日常の何でもないできごと、心を震わした瞬間を残したい。そんな想いでつらつらと文章を綴るマガジンです。
運営しているクリエイター

2019年8月の記事一覧

会社に入社した。彼氏ができた

会社に入社した。彼氏ができた

社会人になったのは一年とちょっと前のこと。それなのに。正社員と転職とフリーランスと・・・半年ごとにわたしの背中に書かれた看板は次々と付け替えられた。

つい一年前まで恋い焦がれていたひと。今では元気にしているかどうかさえ全くわからないのに、出会って数ヶ月のだいすきな彼の手は、簡単に握ることができる。

少し疲れて足を止めると、ここがどこだかわからない徒労感に襲われる毎日。もう持てません!とお手上げ

もっとみる
背負いすぎない 曖昧なものさし

背負いすぎない 曖昧なものさし

雨の音。雨の匂い。雨の風。

全部が憂鬱で、全部が落ち着く。雨はいつも、やっかいだ。

晴れていれば良いというわけでもないのは、雨が好きな人もいると知ったから。明るい場所が好きな人もいれば、暗い場所が好きな人もいる。自分が「良い」と思っている形ほど曖昧なものはないのかもしれない。

これを言ったら。これを書いたら。

相手はどう思うんだろう?自分はどう思われるんだろう?

そんな行ったり来たりの永

もっとみる
星と、月と。本当は花火

星と、月と。本当は花火

夕日に染められたぬるい風に、締めつけられたお腹。浅い呼吸が混じる。浴衣を着て、巻いた横の髪を揺して。ちょこんとベンチに座り、イヤフォンを耳にした。

もう駅のホームで、かれこれ30分以上は待っている。それなのになぜか、ホームの時計の針はどんどん進み、次の電車に乗らないといけない、とおもむろに立ち上がった。

何本も電車を見送りながら、

「ごめん!浴衣、着る時間なかった!」

「スマホの充電器持っ

もっとみる
お前が、そのお前だけが、お前やねん。

お前が、そのお前だけが、お前やねん。

サザエさん症候群とはよく言ったもので、社会人になってから本当に週明けの夜が怖くなった。前職にいた頃は、起きたら会社に行かなきゃ行けないと思うと部屋の電気を消すことも目を瞑ることさえもできず、ポロポロと涙をこぼしてベッドに横たわる日曜の夜が当たり前だった。

「わかる。行っちゃえばいいんだけどね」

そう共感してくれる友達に、それでも「行ける」のだからすごいと、心の底から尊敬する気持ちは今も変わらな

もっとみる
夕方、の好き。

夕方、の好き。

夕方が好き。夕方のためだけに、夕方のいろいろを集めた風景。

夕方の、音

夕方の、ニュース

夕方の、駅

夕方の、空

夕方の、空腹

夕方の、気温

夕方の、足音

夕方の、帰り道

夕方の、空気

夕方の、顔

夕方の、ビール

夕方の、風

夕方の、自転車
夕方の、カーテン
夕方の、川の色
夕方の、日焼けの跡
夕方の、スマホの画面
夕方の、台所
夕方の、信号待ち
夕方の、スーパーの値引き

もっとみる

恋と戦争

“相手の本当の気持ちなんて、永遠にわからないのだから。”

深夜のテレビから流れる音が、エアコンの風で冷え切った身体に絡みついた。

捕まえたと思ったら指先をするすると通り抜け、おにぎりを握るようにふわり両手で優しく包み込んだ途端、しゅんと逃げていく。追いかけていたのは自分の気持ちだ。

恋をした日、恋が叶った日、恋に破れた日。

長い1日の中で、その瞬間だけが世界を止める。あれこれ心配したって、

もっとみる