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「子どもは足かせじゃない」子連れで旅するライターが教える「新たな自由」を見つけるヒント

「大丈夫、子どもは足かせじゃない」
そう教えてくれたのは、副業でコラムやインタビュー記事を執筆するライターのやまくぼさん。

旅が好きなやまくぼさんは、育休中に0歳の赤ちゃんと一緒に農家民宿に泊まり、旅先で出会った人のインタビュー記事を書くなど、子連れ旅を楽しむなかでライティングのスキルを磨いてきました。

「30代は楽しい、40代はもっと楽しいと思う」とイキイキと話すやまくぼさんですが、出産後は「私のキャリアはこのままでいいのか」「出産したら自分の時間はなくなるのでは」とモヤモヤを抱えていたひとり。

「ママになるから、
私のキャリアはここで終わり……」
「子どもがいるから、
自分のやりたいことはもうできない……」


結婚や出産を前に、キャリアや生き方について漠然と不安を抱える女性は少なくありません。

やまくぼさん自身、コロナ禍が重なった出産後は子育ての不安や焦りから「ゾンビになっていた」と話します。

無気力だったという「ゾンビ状態」から、どのようにして自分らしさを取り戻し子連れで旅とライティングを楽しめるようになったのか。何をきっかけに、新しいキャリアに向けて一歩踏み出すことができたのか。

出産後「子どもがいるから何もできない」という思い込みを捨て、"子連れで旅に出る″これまでになかった生き方を見つけたやまくぼさんに、出産したからこそ得られた「新たな自由」を見つけるヒントを教えて貰いました。

年齢は関係ない「なんでもやってみる」

旅や山が好きだというやまくぼさんが大切にしているのは「おもしろいと思ったら、なんでもやってみる」ということ。

「例えば、29歳から30歳になるときは不安になるし、『私なんか』とか『私には何もない』って思うけど、まだ若いから大丈夫。そして、30代は思っていたよりずっと楽しいから年齢を気にせず飛び込んでみてほしい

「20代後半を過ぎると、年を重ねることに不安を感じる方も多いかもしれません。特にキャリアに自信がないと『私なんか』とか『私には何もない』って思ってやりたいことがあっても諦めてしまいがち」

「でも、今は30代でも40代でも挑戦できる時代になったと感じています」

「私自身、30代後半になって新しいキャリアを踏み出し始めて、30代は思っていたよりずっと楽しいし、まだまだ変化できる!」

「だから、もし年齢を気にして踏み出せないなら、ぜひ一度思いきって飛び込んでみてほしい

そんなやまくぼさんも、出産前は営業事務として働く日々に「くすぶっていた」のだそう。

コロナ禍の出産「私って誰?」とゾンビ状態に

「人と話すより紙とパソコンに向かうことが多くルーティンワークばかりで、スキルアップしている感覚もありませんでした。10年以上『プライベートとバランス取れているから、今の仕事のままでいいか』で過ごしていました」

20代は転職にも踏み出せずに過ごしていましたが、焦りを感じたのはコロナ禍での第一子出産後。当時、心も体も無気力な「ゾンビだった」といいます。

ゾンビでも、子どもはかわいい

出産後、育児に追われて『自分の時間がどんどん少なくなる』って思ったんです。本当は仕事にもやりがいが欲しくて。

『もう35歳で遅いかもしれないけど、
新しい分野にもチャレンジしてみたい!』

っていう気持ちでした」

「それに、子育てとコロナによる行動制限で、できなくなったことがたくさんあって。大好きな登山も海外トレッキングもできない。私のアイデンティティだったものを全部奪われた気分でした」

『私って誰?』
『自分を自分たらしめているものって何?』

そんなやまくぼさんが「自分を取り戻した瞬間だった」と話すのは、農家民宿との出会いでした。

出会いは「偶然」どこに転がっているのかわからない

ゾンビ化した自身に向き合い「何かを変えたい」と思ったとき、気付いたのは「私って何のスキルもない」ということ。そこでスキルを求めて入会したキャリアスクールSHElikesで、デザインやライターのスキルを習得。

そこで、転機となったのがインタビューライターに挑戦したこと

「インタビューをするライティングの課題があって。企画、アポ取り、インタビューの時間も記事執筆もすべてが楽しかったんです」

この経験から「好きな本の著者にインタビューしたい!」と、思い切って行動したやまくぼさん。

当時9カ月の赤ちゃんを連れて、著者に会うため東京から大分で開催されたイベントに参加。このときに、イベント会場の近くに泊まれるホテルがなく出会ったのが、やまくぼさんの価値観を大きく変えた「農家民宿」。

「農家民宿との出会いは、本当に偶然。
どこにご縁が転がっているかわからない!」

そう、やまくぼさんは話します。

ヒント2 子育てはまわりに頼っていい

「子育ては、もっとまわりに頼っていいんじゃないかと思うんです」やまくぼさんがそう話す背景には、農家民宿で知った「ひとのあたたかさ」がありました。

自分を取り戻した瞬間「農家民宿のあたたかい甘酒」

9カ月の娘さんと2人で行った初めての農家民宿、出迎えてくれたのは60代のご夫婦。

「すごく寒いなか、『赤ちゃんや―っ!』ていう感じで温かく迎えて貰いました。家に着いてすぐに出して貰ったホカホカの「自家製甘酒」がおいしくて。

娘のおやつにはホカホカのお芋も蒸してくれて。他の地域の方も集まってきて、たくさん娘を可愛がってくれたんです」

「翌朝は、家の隣にあるニワトリ小屋に産みたての卵を取りに行きました。娘にはスクランブルエッグにしてくれて。もう、おいしくて感動でした」

『私、こういうのが好きだった!!!』

って自分を取り戻した感覚があって。『また旅をしよう』『この体験をnoteに書こう』と思えるようになりました」

誰かに頼れる環境があるということ

小さな子どもを連れての旅は、荷物が多くなったり思いもよらないハプニングが起きたりと不安がつきもの。そこでやまくぼさんが工夫したのは「身ひとつで行く」ということ。

荷物は先にまとめて送り、駅までは農家民宿のご夫婦にお迎えに来て貰ったのだそう。あやしてくれたり、おやつまで用意してくれたり。

赤ちゃんがいても家族のように温かく迎え入れてくれる、まるで実家に帰るような安心感で宿泊できるのは農家民宿だからこそ

現在では2人目のお子さんを出産し、2人の子どもと旅に出るやまくぼさんはこう話します。

子育てって、まわりに頼れば楽しいんです。発熱でどうしようもないこともあるけど、そのときのペースでやれば大丈夫

「まわりに頼ることで
『足かせにならない』って思うこともできるんですよ」

「子育てって、大変なことも多いですよね。でも、まわりと頼り合うことができれば楽しめるんじゃないかなと思っていて。私の場合、自分の両親やパパに支えてもらったり、保育園や児童館もフル活用したりしています」

「近所のお肉屋さんにも頼っていて、いつもお惣菜を買いつつ子育ての相談に乗ってもらっています(笑)もし周囲に頼れる人がいない場合は、行政のサポートを活用したりして、少しでも大変さを軽減できたらいいのかなと思います」

「私も、近くに困っているママさんがいたら、できることをやりたいなって思います。まわりの人と頼り合えたら、子どもの存在は「足かせ」にはならなくて、むしろ人との関係を広げる存在になるんじゃないかと思うんです

ヒント3 誰にでも自分にしかできない分野がある

ゾンビとなっていた自身の経験を振り返って、やまくぼさんが教えてくれたのは「鼻息があがるぐらい゛好きなテーマ”が見つかると、人生は楽しい」ということ。

「新しいことをやってみて、最初はもしかしたらテンションがあがらないこともあるかもしれない多いけど、それが『私には向いてない』とは限らないと思うんです。思わなくて、大丈夫」

「例えば私の場合、ライティングライターをしていて、あるテーマでは熱を込められなかったけど、違うテーマだったら鼻息があがって熱量を込められたことがありました」

だからきっと、誰にでも
『自分にしか届けられないテーマ』
が絶対にあるはず

やまくぼさんが気付いた、自分にしかできないテーマは「旅」「政治」「食」の3つなのだそう。この3つのやりたい分野を見つけることができたのも、農家民宿からつながっているのだと話します。

農家民宿を経て見える世界が広がった

「畑ってすごい!農家さんってすごい!と衝撃を受けたから、農家民宿で一番大きく価値観が変わったのは『食』でした」

農家民宿で食べたものは、産みたてのたまごやお野菜、ご近所さんの手作り納豆など。「すべて顔が見える食べ物だった」ことに驚いたのだといいます。

とにかく感動のたまご!

「ごはんはおいしいし、納豆も牛乳もすべてご近所さんが作ったものでした。スーパーに行くことはあまりなくて、畑で全部穫れたものか、ご近所さんのもの。お金を使わず、信頼で成り立っていることに驚きました」

この農家民宿での経験を経て、東京に戻ったやまくぼさんは家庭菜園をスタート。畑仲間をつくりたくて「ナエドコ」というコミュニティに参加しました。現在では「チームaiyueyo」に所属してブランディングを学び、チーム内のライター業務もしています。

「やってみちゃえ」の勢いが大事

「思い立って行動したら、自分が予期しない方向にどんどん転がっていくことがあるんです。私も最初は農家民宿に行く予定ではなかったから」

『おもしろそうだから、やってみちゃえ!!!』
の勢いが大事

農家民宿で感じたのは「東京でも昔はこうだったのかな、なんか別世界だな」という感覚。

このときの感覚は「日本の暮らしをよくしたい」という想いにつながっているのだそう。現在は、そんな想いからまちづくりの一環として、ボランティアで選挙の立候補者を紹介するインタビュー記事の執筆もしています。

「食もそう、地方に元気がないこともそう、政治への無関心も。ここをもっと良くしていきたい」

そのための活動を続けていくのだと、力強くやまくぼさんは話してくれました。

出産後だって30代は楽しい 40代はもっと楽しいと思う

「子どもたちは旅の同志」と楽しそうに話すやまくぼさん。やまくぼさん流の母娘の関係性の背景には、自身が母親とインドのヒマラヤで旅をした経験がありました。

「思春期は母とぶつかることも多かったんですけど、2人で共通の趣味である登山を楽しむようになってから距離が縮まって。特に、2人でヒマラヤに行ったことがきっかけでぐっと仲良くなりました。知らなかった母の一面を見つけて、一緒に思い出話をする仲間のような存在になって」

子どもみたいに楽しんでいる姿に、『好きなものがある大人ってステキだな』という尊敬に変わったのだそう。

最後に、「40代はもっと楽しくなる予感」というやまくぼさんに、今後の活動について聞きました。

「旅の経験や学んできたことがあって、今の自分は少しずつ積み上げてきたものの上に立っている感じです。これからは旅の仕事にもっと力を入れたいのと、政治ライターとしては人脈を広げていきたいです」

出産後「子どもがいるから何もできない」という思い込みを捨て、子連れで旅に出る「新しい自由」を手に入れたやまくぼさん。

そのきっかけを生み出すのは、「おもしろそう!」と思える種をみつけたら「思い切って行動すること」なのだと教えて貰いました。

やまくぼさんのnoteはこちら▽

やまくぼさんのXアカウントはこちら▽

https://twitter.com/@yamakubo_she

お母さまと見た、ヒマラヤ
人生観が変わるような忘れられない景色なのだそう。


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