100日間のUSMLE STEP1受験体験記

おはこんハロチャオ
今回はタイトルの通り真面目にUSMLE受験・合格体験記を書きます。

2024年度版 USMLE STEP1受験の流れ

今から実際に受験したいなーって人はちょっと長いけど読んでおくと良いと思います。僕のスコアとかだけに興味がある人は飛ばしても良いと思います。

受験の準備

2023年11月14日
UWにお金を払う(半年プラン)

2023年11月16日
ECFMG Certificateの1st Stepとして USMLE Identification Numberの取得申請を行う。

→11月21日:番号とパスワードが発行され、ECFMG's on-line servicesが利用可能になる。

これらのステップで結局何をやってるのかというと、ECFMG(向こうでいろいろ管理してる組織)に対して、「ちょっとそっちで働きたいから名簿に加えといてや。よろしく〜」と、とりあえず自分の存在を認知させています。インターネットサービスの会員登録に相当するので、日本の医学部に通っている/卒業した普通の人であればrejectされることはないと思います。
メールでこの次のステップ、すなわちそいつが実在する人間であるかどうか、ちゃんと申請者本人であるかどうかを確認する公証手続を行うように指示されます。

2023年11月24日
重い腰を上げてNotaryCamでのオンライン公証のスケジューリングを試みる。

1ヶ月先しか申し込めないのキツい

予約システムのUIがクソで、大変でした。

2023年12月6日
公証まで待ってたら、なんかECFMGからメールが来て、曰く「このメールに返事したらすぐに公証やりまっせ」と。実際にTwitter上でもそのようなECFMGとの直接コンタクトのルートからNotaryCamでの公証を行った人がいたため、自分もそれに従うことに。僕の3ヶ月遅れで手続してるうちの大学の後輩も、同じようなメールのやり取りで公証に漕ぎ着けてました。何通かメールでやりとりし、本人確認などを行いました。
→12月12日 Im ready.というメールを送る。→リンクが送られてくる→踏む→公証開始

2023年12月19日
公証がECFMGに認定され、ECFMG certificate申請のオンラインパートが完了しました。次は、そいつが本当に医学部生/医学部卒業生かという証明(Form183という証明書の提出)を行うパートに進みます。僕はこれを大学が勝手にやってくれるものと勘違いしており、年明けの1月4日まで何もやっておらず時間を無駄にしてしまいました。前年度にSTEP1に合格した同じ大学の人に申請時にどういうことをやったのかを聞いてはじめてポカが発覚したので、そのような繋がりを持っておくことは勉強での協力以外でも大切ですね。

2024年1月4日
Form183を埋めて大学の学生係に提出する。

2024年1月11日
Form183への医学部長からの署名と国際郵便による米国への発送が完了していた。

✈️

2024年1月18日
向こうに届いたらしい(速すぎだろ)。

2024年2月2日
ECFMGの大規模なシステムメンテナンスと被って普段より待たされたものの、Form183が承認され、じきにScheduling Permitが利用可能になるというメールが届く。
2024年2月6日
Scheduling Permitが利用可能になり、Scheduling Permitに記載された番号を使って日本のプロメトリックにて試験を予約できるようになる。2024年3月6日に試験を設定する。

学習の進捗

UWの問題を解く→該当箇所のFAを読んで原則・例外・暗記事項を確認→次の問題へ というサイクルで勉強しました。勉強開始から1ヶ月程度は日本語での臨床医学のことすら結構忘れていた(扁平苔癬という疾患があることそのものを忘れていたくらい)ため、共用試験CBTのときにお世話になったmedu4の講義資料も適宜参照しました。

2023年11月27日 400 Qs used, 50% correct
2023年12月4日 1000 Qs used, 53% correct
2023年12月24日 模試受験時
2023年12月24日 NBME模試
2024年1月15日 70% used, 60% correct
2024年1月26日 100% used

このような経過で、ちょうど2ヶ月でUWを一周終わらせました。最初の方は40% correctの回もあり思ったより難しいと感じましたが、1ヶ月もやってるとFAを見た回数も増え医学を段々と思い出してきたのもあり全体正答率が57%まで引き戻されており、各テストでだいたい60%は当たるようになっています。この時点でNBME模試を受験したところほぼ合格圏内であるというお墨付きをもらえたので、特に勉強のやり方を変えることなく、もう1ヶ月間ひたすらUWを解いてはFAを参照していました。後半の1ヶ月は6年生の国試受験組を見ながら自分もスパートをかけられて非常に良かった。結局60% correctでゴール。日本人で一周目でこれは結構すごいらしい。

一周目で形式慣れ+英語慣れ+合格レベル到達はできたと感じており、同じころにStep1の受験申し込みもクライマックスに差し掛かっていたため、3月に受験することにし、とっとと受験日を決めてここから先(2月)は復習に充てようと考えました。
復習スピードを上げるために、2周目はGoogleChromeの拡張機能を使ってUWを日本語に翻訳し、1問数秒で解き進めました。

2024年2月4日 2周目80% correct (in Japanese)
2024年2月4日 UWSA1
62% correct (224)

2024年2月10日 2周目80% correct (in Japanese)
2024年2月16日 2周目80% correct (in Japanese)
2024年2月21日 2周目79% correct (in Japanese)
2024年2月25日 UWSA2
69% correct (230)

UWを2周したとはいえ2周目で20%間違えているので、一般的にはここからの学習ではミスした問題の復習を推奨されています。しかし、これまで3ヶ月はUWで出題された視点からしかFAを読んでこなかったので、STEP1出題範囲の知識にムラを感じていました。
そこで、ここから2週間はFAの通読に充てました。

Qbankを使わずにFAを読むだけという学習は着手が億劫になってしまい、試験直前期の2週間であるにも拘らず、あまり集中できた感じはしませんでした。ちゃんと集中すれば1時間で最大50頁くらいは読み進められたのですが、2週間でMicrobiologyとOgan Systemsを一周読めた程度でした。
とはいえ、振り返ってみれば直前期の全範囲の復習としては非常にためになったと思います。

使用教材

「学習の進捗」に全部載っちゃってますが、使用教材は次の2つだけです。Ankiを上手に使っていればもっとたくさん覚えられたなあと後悔しているので、もう合格してしまいましたがこれからの学習にはAnkiを取り入れていこうと計画しています。

  • FIRST AID for USMLE STEP1

レビューブックとして使用。これにほぼすべて載っているから本番までたくさん読み込むと良いです。特にMicrobiologyはこれの読み込み度合いが点数に大きく影響すると思いました。読んだところにラインマーカーを引いていました。1992年の東大の要約でラインマーカーを引くだけの受動的な学習が批判されていましたが、FAの記述には明らかに重要度に差があるため、次に読むときに優先して見るべき箇所をひと目でわかるようにしているという意図があります。

UWで間違えたところに関連する記述はピンク、
合ってたけど後学のために読んでここ大事だなと思ったところはオレンジ、
終盤の通読詰め込みで確認した知識事項は緑
  • UWorld

海の向こうの有志たちによって、スコアと最も強く相関するのは「解いてきた問題の数」という分析がなされているようです。結局は問題演習で成績を伸ばすのが一番早いので、とにかく一周(3700 questionくらい)してください。最も強く支持されている問題集であり、USMLE Q bank界隈では不動の一強の地位を確立しているためほとんどの受験生がUWに取り掛かっています。日本の国試の勉強でもよく言われる「みんなと足並みを揃える」ためには外せない問題集だと言えます。

受験体験記

受験前日〜受験まで

2024年3月5日
大学はお休みをいただき、昼から羽田へ。
17時ごろに東京ドームホテルにチェックインしました。

一番好きなホテルです

西日本の人間ですが受験地に大阪ではなく東京を選んだ理由は
①大阪に比べると羽田やお茶の水まわりの土地勘がある
②大学の日程的に助かる火曜入り水曜戻りだとeligible period期間内で一番早い枠が空いていた
③Twitterの人と会える
④正直九州からなら大阪も東京も変わらん 
といった理由からです。

後述するトラブルに神対応してくださったので、良いホテルに少し高いお金を払った甲斐がありました。これからも機会があれば利用したいと思います。それでは早速、私のUSMLE受験前日・当日の動きについて見ていきましょう。

19時〜
東大理三YouTuberのさぐさぐさんたちとサーグチキンカレーを食べる。
私の研究の話をこんなに瞬間的に理解できる専門外の人々はこの人たちくらい。僕と比較しても二周りくらい積んでる脳のスペックが高そう。

カレー屋あるある:ナンが想像の倍大きい

21時ごろ
体調が悪くなる。このときは前日までの寝不足と緊張のせいだと思っていたが…。

さぐさぐさんとのツーショはInstagram送りになりました

22時半
やらかす

吐き慣れてる()から、ワロタで済んでいるphase

0時
再び嘔吐し、腹圧を高めすぎる。
でも精神的には安定していて、呼吸数が少ないほうが楽で無理に呼吸数を増やそうとすると気持ち悪くなるのを、代謝性アルカレミアの是正だなあと考える余裕はありました。

ラインを超えてしまい完全に諦めモードに入ってしまった

2時ごろ
ホテル的に医師の診察を受けてほしいということなので、救急病院を探してもらい、救急隊のお世話になる。血圧102/60

【実績解除】ほんとうにご迷惑をおかけしました【大感謝】

3時ごろ
輸液で回復。軽い悪心が残る程度でそれ以外の腹部症状もなく、おそらく黄色ブドウ球菌食中毒だという臨床的な診断を受ける。1人だけの発症だし俺が食べたナンの生地だけでS.aureusが増殖してそのあとに焼かれてエンテロトキシンが残ってそう。確かめる術はないが。

3時半 ホテルに戻る。ホテルへの報告やトイレの清掃など。
4時半 入眠に成功。

↑寝ているときの〝正確な〟私の姿です

2024年3月6日
6時58分 起床

本当にこの顔

汚れた身体をシャワーで流し、身支度を行う。ホテルと会場との距離的に8時前にはチェックアウトする計画を立てていたのですが、深夜のゴタゴタの影響もあり少し遅れました。

8時10分〜8時20分ごろ
後楽園→御茶ノ水へ移動し、お茶の水ソラシティへ到着

8時20分
お茶の水ソラシティ地下のファミマでゼリー飲料x3と午後の紅茶を購入
急遽必要になった分のゼリー飲料については直前に用意しなければならなかったので、受験会場の真下にコンビニがあって本当に良かった。(お茶の水ソラシティ推しポイント)

8時28分
隣の建物に向かうなど一瞬だけ迷いましたが、警備員さんに道を聞き無事にプロメトリックお茶の水に到着。体調は寝不足以外は完璧。

みなさん応援ありがとうございます

8時半
受け付け。パスポート、scheduling permitを提出し、待合室へ移動(整理券番号2番)。ロッカーに荷物を預ける。
テスト後はその足で羽田に向かうことにしていたため普段のリュックにコンパクトに荷物をまとめていたのですが、ちょうどそれがギリギリ収まる大きさのロッカーでした。

8時45分
2番目に試験室に呼ばれる。他の人も書いていますが、決まった時間に呼ばれるのではなく先着順で呼ばれるみたいなので、早く来れば早く帰れます。空港までの移動時間や空港でのんびりする時間に15分の余裕ができたので少し助かりました。

試験本番

1+7ブロックのテストパートを(1)23-45-6-7-8の5回に分けて受験。

当日の試験時間と休憩時間の配分。Block1は15分の試験説明パートなのでskipして休憩時間送り。

2,3ブロックは思ってたより難しく感じました。そこで、4ブロック目以降は自信がない問題にチェックマークをつけてみました。無印の問題が全部○でチェックマークの問題が全部×だと仮定すると、456ブロックは65%、7ブロック目は70%、8ブロック目は80%の正答率であり、後半の追い上げで合格可能性を大きく上げることができた印象です。

自信を持って正解選択肢を選択した問題の割合

ブロックごとに意図的に難易度を振り分けてるのかなってくらい最終ブロックだけ明らかに解きやすかったです。これを書いているときにRedditで情報を集めていて知ったのですが、日本の共用試験CBTと同じように実験的で難しかったり異常に簡単だったりする採点除外問題("experimentals")が含まれているようで、人によってはそれがあるブロックに固まって出題されることもあるそうです。

予想と反し、体力的には余裕がありました。変にストレスホルモン出てたんでしょうかね。あと脱水のおかげ(?)で尿意の心配と無縁でした(ADH!)。
昼食後の6ブロック目の長文お気持ち問題で夢の世界に跳びかけましたが、時間には余裕があったため、時間を使って英語をゆっくりじっくり読んでギリギリ対応することはできました。皆さんは僕より良いコンディションで受験されるはずなので、きっとなんだかんだで体力は持つと思いますよ。
一方で、UWを2周したから問題がわからなくて苦労することはないと高をくくっていたのですが、そのようなことはなく、知識面ではあまり余裕がありませんでした。FAには書かれてあるけどUWではその角度から問われていなかった(直前2週間の通読で見たものもあるが反復不足)知識や、僕の努力不足によって曖昧な記憶のまま本番を迎えてしまった知識がそこそこ登場してきて、いい気持ちにはなれませんでした。例えるならば、UWの一周目をやっているときの気分でした。

本番の問題を解いていて感じたことについて下に列挙します。

倫理問題-1ブロックに3題くらい。UWより常識的に正解が明らかだった。
アメリカの保険制度の問題-幸運にも出なかった。ということはさすがに出たとして1-2題ですかね。
微生物学-めっちゃ出るし知識一発でT/Fが決まるから直前詰め込みの有無が出来に大きく関わる。
任意の疾患-みんなが思ってるほどは出ない。出たら嫌だなあと思っていたあの疾患もこの疾患も、これは出るかもと思っていたあれもこれも、蓋を開ければ出ていないか出たとしてたった1問。あの分量を280問に圧縮するとこうなる。FAは700頁もあるのに出題される問題は280問しかないということは、つまりそういうことなんですよね。
薬剤の一般名を選ばせるやつ-NBMEが公式に言っている通り、出ない。UWが高地トレーニングを強いているだけ。ただし、設問文の中には一般名(例: Amitriptyline)で出てくるため、有名どころは知っておかないといけない。

試験終了〜自己採点

先ほどのチェックマークの理屈でいくと、全体で65%くらいの問題には自分なりに自信を持って解答ができ、残りの問題は迷って解答したということになります。2024年現在、STEP1に合格するためにはだいたい63%得点すれば良いと言われているので、テスト終了時点ではまあギリギリ足りてるかなーという印象でした。
空港に着いたくらいで少し不安になってきたのですが、流石に眠くなってきたため機内では自己採点などはせず一旦休息をとりました。

結局自己採点は試験翌日の夜にFAをパラパラ読みながら軽ーく実施。FAの該当箇所を見れば意外と問題を細かく思い出せるもので、チェックマークをつけた問題の正誤をいくつか照合してみました。正誤の比率がだいたい半分半分くらいだったので、これはどうやら合格してるっぽいことを確認することができました。共用試験CBTでよく見られる、体感より10%多く点が来た現象ですね。

結果

2024年3月20日14時15分 Passを確認
結果を早く見る方法については日本語で出てきた記事の情報が古くなっていてできなかった(ただし、前日までに済ませておく準備としてはまだ通用する情報が載っていたため、その点では参考になると思います。)ため、Redditのこちらのpostを参考にしました。
https://www.reddit.com/r/step1/comments/1afb27r/fcvs_118_test/

FCVSのアカウントを準備しておけば↓こちらのリンクから水曜日の14時00分に試験結果を確認できると思います。
https://ua.fsmb.org/education/examHistory

「あぁ、はい」という感想

14時直前までは心臓バクバクだったのですが、14時ちょうどに従来の方法で早バレを試みたところ失敗し、Redditで "FCVS" を検索して新しいtrickの方法を調べてそれを実践しているうちに心臓のドキドキはどこかに行ってしまい、14時15分に結果を見たときは冷え切ってて何も感動しませんでした。

まあ14時になるまでの心臓のバクバクは東大の合格発表ぶりの高揚感と焦燥感を思い出し、やはり心臓には悪かったです。国試合格発表直前の先輩・同期・後輩の心労を身を以て体験したように感じました。今年の国試発表はたった5日前のお話で、所属している部活の追いコンはつい先日でした。改めて、皆さんお疲れ様でした。ぼくもお疲れさま

☆予備学力の重要性☆

本記事で最も伝えたいのはここからの内容です。トラブルにも見舞われながら勉強開始から100日間で合格通知を頂きましたが、これはもちろん高めの予備学力があった故の結果です。
USMLE受験の敷居を高めてしまうのは本意ではない(むしろ英語の段階で早々に諦める人を減らしたいと思っています)ので、あくまで初期条件が良かった場合の一例であることを了承の上、なるほどこれくらいあればSTEP1に合格するだけなら余裕なのか。今の自分でもいけるかもな。これくらいなら◯◯日くらい頑張れば自分でも届くかもな。といったようなメルクマールの設定のためにぜひ参考にしていただければ幸いです。

英語能力

これは個人的にはそこまで重く見る必要はないと思いました。合格に「十分」(否 必要)な英語力は高くありません。

もちろん、勉強開始直後、「単語わからなくて問題文読めない〜」「文章長くて間に合わない〜」と嘆く日本人の方は多いと思います。でも大丈夫。高校英語を修了していればUSMLEに挑戦するための最低限の英語能力としては足りていて、演習を積みながら単語とシチュエーションを覚えていくだけで1ヶ月程度で英語の壁は越えることができます。
具体的には、UWorldの3600問を解いているうちに、「時間内に100%の精度で精読しろと言われたら知らん単語あるし難しいけど、見たことある単語と状況が含まれているから、書かれている内容の雰囲気はわかるし割と正確な速読は間に合う」ようになるはずです。これができれば合格するだけなら十分で、あとは医学の知識の勝負になってきます。

大前提、USMLE Step1は基礎科学・基礎医学のテストであり英語能力のテストではありません。実際に、NBME側もStep1の時点で徒らに英語で絞りにくるようなことはせず、律速が英語力にならないようにめちゃくちゃ譲歩してくれています。したがって、英語ガーと言いながら躓くのはNBMEからすると想定外の事態なのです。最初に英語の要求レベルは低いと書きましたが、いつまで経っても(目安:Qバンク1周した後など)英語が足を引っ張って思ったようなスコアが取れないでいるという状況の人は、残念ながら中学・高校範囲の英語に何らかの問題を抱えていると思われるので、そのような場合のみ英語の学び直しを行えばいいと思います。

結論これ

もちろん、STEP2CKやOETでハイスコアを狙ったり、実際に向こうで働くことになったりとステージが進んでいくにつれて、このように背景知識を使って英語能力を騙しながらPassだけするというのは悪手となっていきます。

Passはしたものの、僕の医学英語力は全然向こうで認められるような水準には達していないと思います。STEP1のPassを良い契機に、英語能力を磨いていきたいところです(英検1級リベンジ・OETの勉強開始)。

STEP1にPassしたらなぜかよりいっそう英語のやる気が出てきた(良いね👍)

基礎医学

基礎医学の重要性については日本国内の医者みんなに聞いた場合はもちろん意見が分かれると思います。ただ、STEP1をわざわざ受験する層に限ると基礎医学を重視しているに決まっていると言われればそれはそうで(そうでないならば少なくとも自分がIMGの中で出遅れていることを自覚する必要があります)、ここでは基礎医学をどれくらい重く見るかをトピックにしましょう。

USMLEの受験を考えている人々には理三に通っている医学生から卒後長らく基礎医学に触れていない臨床医の先生まで様々な属性があるため、より多くの皆さんに適用できるように相対的な基準を示すこととします。
みなさんの大学で上位1~2割くらいの成績を取っている人くらいに基礎医学をやりこんでください。ここに入れればUSMLEの学習期間を大幅に短くすることができます。僕は上位1〜2%だったので1ヶ月で合格圏内に入れました。

今から基礎医学の授業が始まる人は、焦らず、このレンジに収まるように大学の授業にリソースを注いでください。
もう基礎医学の授業は終わってしまったし、このレンジにも入っていないという先生方も、まず焦らないことが大事です。大学で1位を取るまでの努力は一旦必要ありません。みなさんの大学で上位1〜2割というと、言い換えれば数人の友達グループの中で1番成績が良くて、教えて君にも教えてあげる君にもなれるアイツくらいのイメージです。何を食ったらそんなに覚えられるのかわからない人外のアイツではありません。
大学の講義の内容のうち現実的に手に負える範囲までの内容をキチンと理解できていればそのレンジには入ることができます(理解というのは、最低限の暗記を前提としています)。うちの大学だと、生理学・生化学・細菌学・免疫学・病理学の試験勉強で学んだ各科目の根幹的な考え方と、そこから少し掘り進んだ先にある枝葉の知識がUWorld演習・本番の試験のときに本当に役に立ちました。
そこで、現役の学生さんは大学の講義を大切に、既卒の先生方は、大学時代に使っていた教科書や過去問、講義資料・シケプリがあればそれを使ってまずは自分が受けた講義や試験問題の内容を思い出してみましょう。日本語での基礎医学の理解の程度が完全にボトルネックになっているので、ここは急がば回れのフェーズです。はやく英語で問題演習したいと焦る気持ちはわかりますが、ここで一言。焦らないでください。

学生時代の資料なんて残ってないぜ/学び直しなんて面倒くさいぜという人々のために基礎医学のヨビノリを作ろう作ろう思いながら数年が経っています。STEP1もPASSしたことだしもしかしたら続報があるかもしれません。お祈りお願いします。また、近日中に私の医学の勉強法の考え方に関する記事を投稿する予定です。よろしくお願いいたします。

【連絡】うちの大学の学生さんに関しては、各科目(生理学・生化学・細菌学・免疫学)の僕の試験対策ノートを大学のクラウドからダウンロードしてそれを読み込んで理解すれば、少なくともUSMLE勉強開始時点の僕と同じレベルまではこれるので、そちらの確認をお薦めします。

臨床医学

基礎医学のようにボトルネックにはならないのですが、別の意味でこれも必須です。STEP1は基礎科学・基礎医学の試験の体裁をとっていますが、特定の疾患の病態生理や病理を問う過程で臨床医学(少なくともその患者の疾患が何であるかは診断できる程度)の知識が要求されます。
日本の国試に合格済の先生方はスタートラインには立てていると思います。

基礎医学で上位1~2割の基準をクリアしていたとしても、臨床医学を知らない状態で受験すると知らない病名ばかりで本当に歯が立たないと思います。最低でも日本の共用試験CBTレベル、すなわち、内科外科産小マイナー科の疾患をひと通り知っているレベルが欲しいです。僕は既に日本の共用試験CBTに合格していたのでここが保証されていたわけです。
そこからレベルを飛ばしてかなり欲を出しますが、118回現在の日本の医師国家試験に合格できるレベルがあれば、勉強開始時点の臨床医学の知識に関しては決して困らないと思います。そこにアメリカ特異的な微生物学や嚢胞性線維症、レアな代謝性疾患などの知識を追加していく必要がありますが、それはUWに載っている分を追加すれば十分だと思います。なんならそれらの問題は捨てたってPassだけならできると思います。

じゃあ国試に受かるくらい疾患のことを知っていれば特別な勉強をしなくてもPassするのに十分かというと、面倒な話ですがそれはそれで違うと思います。いざUSMLE STEP1の勉強を始めてみると、日本の医師国家試験で要求される知識の毛色とはまったく異なる知識を要求されていることがあるとわかります。「臨床問題の形をしていて診断まで要求してるけど、聞いてるのはガチガチの基礎医学」というパターンです。
例えば今即興で作問しますが、以下のようなイメージ。

エーラス・ダンロス症候群の症例文
Q. コラーゲン生合成経路のうちどのステップに障害があるか

尿路感染症の症例文
Q. 第一選択として使われる薬剤は次のうちどの代謝経路をターゲットにしているか

エーラス・ダンロス症候群の診断をつけたり、尿路感染症にST合剤の適用を知っていたりするのは臨床医学的な知識が必要なのですが、結局勝負を決めるのは基礎医学というパターンの出題がけっこうあります。もちろん、臨床医学的な知識だけで正解できてしまうPathologyの問題もたくさん出題されるので、やはり臨床医学の知識は重要なのですが、上記のような問題形式に対しては、せっかくの臨床医学の知識も基礎医学の知識が足りていなければ水の泡になってしまいます。

情報リテラシー

日本人医学生の一体験記として僕のエントリを参考にするのももちろん結構なのですが、正直なところUSMLEのあらゆる情報を網羅しているわけではなく主観的な内容もたくさん含まれているため、他の情報源からも情報を集めなければならないと思います。そこでおすすめするのが、「英語で情報を集めること」です。調べてみたら日本人がUSMLE体験記でお金を集める情弱ビジネスが存在するようですが、Redditには有料級の情報がたくさん落ちています。たとえば以下のpostは非常に有用だと思います。また、数年間のpostのシステマティックレビューとしてwiki(https://www.reddit.com/r/step1/wiki/index/)が編集されており、情報の質だけでなく量においても、日本語で調べるよりも遥かに優れた結果を得ることができます。例えば以下の記事は大変参考になると思います。

https://www.reddit.com/r/step1/comments/1bcsp3p/the_ultimate_step_1_guide/

https://www.reddit.com/r/step1/comments/8rmibk/step1_experience_615_test_preparation_tips_tricks/

おわりに

大丈夫。まだ遅くないですよ。



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