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『Ubie, hey, ミラティブのエンジニアが語る、エンジニア採用のリアル』イベントレポート

ITベンチャー・スタートアップ企業の推進力を左右するエンジニア採用。現在進行系でエンジニア採用に向き合うスタートアップ企業のリアルを共有するオンラインイベントが、2021年9月28日に開催された。今回登壇するUbie、hey、ミラティブの三社は、業界も規模も異なる。ライトニングトークとパネルディスカッション二部構成のイベントは、終始リアルな採用の悩みが飛び交う場となった。本記事では、その内容の一部を紹介する。ライトニングトークについては資料とともに要約し、後半のパネルディスカッションはトークの一部を抜粋して掲載する。

登壇者紹介
CTO 横手 良太 (
@n0mimono
早稲田大学大学院修了。機械学習の分野で博士号取得後、助手として研究活動、論文執筆を行う。2014年に株式会社Donutsに入社し、スマートフォンゲーム開発に従事。2017年より技術部部長。2018年7月ミラティブ参画し、ミラティブのアバター機能「エモモ」の開発をリード。2021年4月にCTOに就任。

ヘイ株式会社 STORES 予約 シニアマネージャー 佐藤 大介
高校在籍中に起業し上場経験後、グリー株式会社にて開発部長として GREE のスマートフォン化、ネイティブ化に向けた国内、San Francisco、Europe のチーム立ち上げを担当。リクルートマーケティングパートナーズの子会社 Quipper Limited ではプロダクト執行役員として複数カ国に渡るプロダクト開発のマネジメントを担当。その後クービック社に参画し、取締役 / VP of Product Engineering としてプロダクト開発を担当。2020/09にクービック社の買収&統合によりheyにジョイン。現在、STORES 予約 & STORES 決済の開発統括を担当。

Ubie株式会社 エンジニア 湊谷 海斗(@kamina_zzz
2016年より株式会社カカクコムにて食べログの開発に従事。サーバーサイドからインフラ、データサイエンスなどの領域を経験し、2019年に Ubie へ SRE として入社。釣りをしたりビールを飲んだりしています。

三社三様、エンジニア採用の試行錯誤(ライトニングトーク要約)

「発信を楽しむ文化から採用広報を持続させる」
ミラティブ CTO 横手良太

コロナ禍で2020年春は採用を中止したものの、秋から採用を再開したミラティブ。当時採用にあたるリソースも足りないなか始めたのは、採用向けプラットフォームを介したエンジニアのスカウトだ。しかしまったく手応えがなく、結果も芳しくなかった。

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2020年冬ごろから採用の原点に立ち返り、テックブログ更新に力を注ぎ始める。以降、エンジニア向けのイベントなどを開催し、採用の手応えを感じる。それまでミラティブのエンジニアには自ら発信する文化が浸透していなかったが、2021年から各々エンジニアが情報発信を意識するよう方針を掲げた。

ポイントは、発信するエンジニアが発信そのものを楽しめることだ。登壇者の体験にフォーカスをあて、採用広報の持続性につなげていくことを目標にしつつ、今後もイベントを積極的に開催したい。

「一日体験入社で面接フローを効率化し、入社後のギャップを軽減する」
ヘイ株式会社 STORES 予約 シニアマネージャー 佐藤 大介

heyがエンジニア採用の課題としてフォーカスしたのは、面談や面接で伝える情報の不十分さだ。いくら言葉を尽くして自社の状況や理念、カルチャーなどを説明しても、それが正しく候補者に伝わっているか、齟齬なく理解できているかは定かではない。

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そこで、カジュアル面談後のタイミングで体験入社のフローを導入した。まる一日、候補者はheyの社内メンバーと同じ時間軸で過ごし、実際のタスクに携わる。体験入社を早期に実施することで、最終面接までのフローを効率化し、ズレなくリアルな社内を伝える。この体験入社は受け入れるチーム側の採用への意識を高める効果もあり、社内メンバーと候補者双方に利点がある。今後は組織の規模が大きくなった際の対応も想定していきたい。

実際に体験入社を通じて入社したメンバーの思いや体験談については、下記のnoteを見ていただけると嬉しい。

未来のメンバーと一緒に働く。STORES 予約のエンジニア体験入社

「徹底した組織文化設計とリファラル採用でボラティリティを少なく」
Ubieエンジニア湊谷海斗

Ubieのプロダクト開発/事業開発メンバーが所属する企業内組織のひとつ、Ubie Discovoryでは、組織の目的に直結した組織文化の明文化が徹底されている。

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価値観や判断基準、組織から生み出すバリューをそれぞれ言語化。ミッションを実現するための方法や指針としてそれらを結びつけ、メンバー全員でそのカルチャーを体現している。
また、要素として言語化されたものは人材要件にも当てはまる。採用手法は互いに理解を深めやすく、内定率の高いリファラル採用が中心だ。Ubie Discovoryには専任の人事採用担当がいないため、メンバー全員でブランディング向上に資するべく情報発信を続けている。


課題はエントリー数、人材要件の粒度問題……エンジニア採用のリアルを本音トーク(パネルディスカッション)


・自社を正しく伝える努力――三社のブランディングの課題


――エンジニア採用、ぶっちゃけ調子はどうですか?

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横手:エンジニア“以外”は調子がいいです(笑)。

佐藤:大変です。どれだけ会う機会を増やせるかというところで、四苦八苦しています。

湊谷:うちも調子がいいとは言い難いですね。

――具体的にどのあたりで苦戦していますか?
湊谷:自己応募数が課題です。現状Ubieに内定される方のほとんどがリファラルで、自己応募が占める割合は非常に少ないです。まずUbieそのものの認知度が低いことが原因として大きいですが、BtoCサービスも展開しているにも関わらず『SaaSの会社』という誤った認識が浸透してしまっていることも原因の一つだと思います。

佐藤:heyの場合は全体のエントリー数が課題です。候補者さんに会う機会の創出、エージェントさんとの連携、採用媒体の活用。まずheyを知っていただくために、そういった採用広報に尽力しなければなりません。採用とは言いつつ、領域としてはブランディング、認知度の課題が大きいですね。採用って本当に大変……。

横手:ミラティブも同じくエントリー数を増やすことに苦戦しています。ミラティブはゲーム配信プラットフォームを提供していますが、「ライブ配信に興味がないんですよね」と、本質的ではない理由で避けられてしまうこともしばしばあります。ライブ配信はあくまで提供価値の要素の一つに過ぎません。誤解を取り払いつつ、母集団形成に取り組んでいきたいです

・リファラル採用はスケールの限界が課題に

――Ubieはリファラル採用に力を入れていますが、自己応募数に課題を感じるんですね。
湊谷:リファラルだけに頼ると採用数に限界があります。それこそ、Ubieでは『知り合い全員、Facebookの友達総当たりで声をかけよう』くらいの勢いでリファラル採用に取り組んでいますが、それでもまだまだ採用目標には足りません。やはり他の手段にも頼っていかないと、組織はスケールしないと実感します。

横手:そこはミラティブも同じことを感じています。ミラティブも多くのメンバーがリファラル採用で入社してきたのですが、知り合いの数にも限界がありますから、そろそろリファラル採用だけでは難しいフェーズに入ってきています。

――リファラル採用の通過率、不採用時のフォローについて質問が来ています。
湊谷:リファラル採用の通過率は明確に高いです。ただ、それは不採用に対するフォローを過剰に意識しているからというわけではありません。

佐藤:heyでは、不採用時の“ごめんなさい飲み”に利用できる飲み会の制度などを設けており、個別にメッセージを伝える時間を取ります。紹介したメンバーと候補者の関係性にひびが入らないようケアを徹底していますね。

――ちなみにリファラル採用に対するインセンティブは各社準備されていますか?
佐藤:カジュアルな食事に誘うためのサポート制度やインセンティブ制度はありますが、そこがリファラル採用の本質ではありません。

横手:タイミングが偶然あって、共に働きたい意志を確認できて……という理由が圧倒的に多いです。インセンティブが理由で採用に向けて動いているメンバーはいないと思います。

湊谷:Ubieも同じです。また、インセンティブとは別に全員ストックオプションをもっているので、利を得るという理由に注目するならば、自社の価値そのものを高めることに意義を感じているメンバーが多いかもしれません。

・採用担当の役割分担やチーム編成は三者三様

――各社どのようなチーム体制で採用に臨んでいますか?

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佐藤:まさに今、採用チーム体制の見直し中でして。以前は職種を問わず採用は採用担当者に任せきりという状況でしたが、最近はエンジニアも採用にコミットしています。採用関連の週次ミーティングにエンジニアが参加したり、各チームが横断して採用を推進していったり……そうしたさまざまな機会を重ねながら、メンバー全員が採用に参加するような仕組みを構築しつつあります。とにかく人が来てくれないと仕事が進まない。だからその悩みを解決するのは自分たち自身だね、という当事者意識を全体で作るよう努めています。

横手:ミラティブは採用担当と広報担当がそれぞれいて、CTOである私も採用・人事に多くのリソースを割いています。あと組織の特徴として、エンジニアのなかに占めるマネージャーの割合が大きいというところは触れておきたいです。

具体的な役割分担としては、テックブログを書いたりイベントに登壇したりといった情報発信に関してはメンバーがやるので、広報面にメンバーも貢献しています。一方、面接フローにメンバーが加わることはほとんどありません。だいたいリファラル採用で決まりますし、カジュアル面談のときにはすでに確度が高いため、メンバーを入れた面接というシーンがそもそも発生しづらいです。

湊谷:Ubieはマネージャー、あるいは採用人事・採用広報を専任するポジションのメンバーがいません。したがって、メンバー全員で採用活動を行っています。エンジニア採用に関してはエンジニア自身がリードから絞り出し、面接までのフローに責任をもって進めます。

・面接で重視すること、人材要件の言語化の粒度

――面接で一番重視しているポイントはなんですか?

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横手:スタートアップ企業は変化が激しいので、その変化に対応できる柔軟性があるかどうかは重視しています。また、ミラティブは『わかりあう願いをつなごう』というミッションを掲げており、それが企業の存在価値でもあるので、利他的な精神やチームワーク力にも注目しています。

佐藤:heyもいわば“カオス期”なので、今までやってきた方法を刷新したり、新しいことに挑戦したりといった変化の渦中にあります。その変化を楽しめる人かどうかは、面接で重視するポイントです。また、自分で判断しながらスピーディに行動できる人を求めています。変化するとき「それやっていいんだっけ」と心配になることはたくさんあると思いますが、その一つひとつに許可を求めていたらスピードが鈍ります。ある程度自分の責任で物事を進め、それを楽しめる人。そういう方であれば、業務経歴関係なく採用しています。

湊谷:面接の際は、「Ubieness(ユビネス)」として定義している6項目を重視しています。その6項目に対して優劣はありません。判断基準が標準化されているので、確実にその6項目に当てはまるかどうかを面接で判断します。

――Ubieは判断基準を明確に作っていますが、heyとミラティブはそういった基準はありますか?
佐藤:言語化自体は、今のところそこまで取り組んでいません。体験入社で互いを理解しあい、担当者がそれぞれの観点で面接をして、その結果を共有していくうちに認識がそろっていくようなプロセスを踏んでいる最中です。ただ、今後はそうしてすり合わせた価値観や基準を言語化していくことも必要だとは感じています。

横手:ミラティブでは、意図的に選考基準の言語化や構造化をしていません。会社の目指す方向が変わりやすいフェーズですから、あまりコリッとした基準を作っても、すぐ使えなくなってしまう可能性が高いからです。その分、候補者との継続的なコミュニケーションから、互いの認識をすり合わせる密度については徹底しています。

佐藤:確かに、継続的にコミュニケーションするところは重要ですね。基準を作りつつ、本質はそこなのかな、とも思います。

――最後に、各社に入社することで体験できることのアピールをよろしくおねがいします。

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湊谷:Ubie Discoveryの組織形態はホラクラシーを採用しており、自分が興味のあるところに手を伸ばして挑戦していきやすい環境です。私たちの事業に興味さえあれば、やれることは無限にあります。

佐藤:「一緒に背伸びしませんか?」というのが率直な気持ちです。いま、heyは背伸びしなければ実現できないことが山ほどある状態なので、その環境を活かせば、必ず成長することができると思います。人の許可を待たず、どんどん自分で舵をとって事業を拡大させていきたい人をお待ちしています。

横手:ミラティブは、『わかりあう願いをつなごう』というミッションを掲げた企業です。その言葉の中には、事業の方針はもちろん、いかにいいチームを創るかという問いも内包されていますから、その言葉に共感できる人ならきっと働きやすいと思います。あ、ちなみにエンジニアだけでなく採用担当も積極採用中です!(イベント参加者に向けて)

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エンジニア採用のリアルな現状を共有した三社。イベント当日は、参加者から具体的な施策などについての質問も飛び交い、採用担当者たちの課題が明らかになった。
今回登壇した各社の詳細、採用について興味をもった方は、下記をご参照ください。

■Ubie

■hey

■ミラティブ


※登壇内容や登壇者肩書は、発表当時のものです

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