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決意のようななみの音

4月後半の日記です。元気です。

4月20日(土)
 はるちゃんと一緒にサカナクションの復活ライブへ行った。彼女とサカナクションを見るのは、大学二年生ぶり。「大人になったねえ」と言い合いつつも、当時の写真を見返すと、ふたりとも今とほとんど同じ顔つきをしていた。
 LINEを遡ってみたら、七年前も今日みたいにわたしが電車を乗り間違えて遅刻をしていて、そういうところは変わっていてほしかった、と恐縮する。海浜幕張は思っているよりいつも、ちょっとだけ遠い。

 爆音につられるようにして跳びはねたり、大好きな歌をたくさんの人たちと一緒に大声で歌ったりするのが久しぶりで、たのしくて、ライブ中、身体中に血が巡っていくのを感じた。
 ところどころで波の音の演出があったのだけれど、途中、お客さんたちの拍手も波の音に聞こえて、どちらの音なのかわからなくなって、いいな、と思った。

 帰りがけにはるちゃんから、「七成は、ライブの演出とかやりたそう」と言われてうれしかった。実はずっと、すごくやりたい。うれしかったのに、はぐらかした。
 吉野家で夕飯を食べながら、吉野家に似合わない人生の話とかして、明日もまたあるから、すぐに解散した。

4月21日(日)
 サカナクション復活ライブ、二日目。昨日より若い整理番号だったので、気合いを入れてすこし早めに待機した。
 ライブがはじまるまで、恋バナなどをしてた。はるちゃんが今のパートナーとの会話の中で、敬語をやめた瞬間の話を聞いて身悶えた。よすぎて、彼女の肩を何度もパンチしてしまった。

 長らく待機した甲斐もあって、昨日よりしっかりと演出を見ることができ、感動が五十倍くらいだった。
 『ナイロンの糸』という歌で「この海に居たい」という歌詞をしきりに繰り返すのを聴いて、ちょっと泣いた。十九歳の頃にはまだ、わからない歌だったのではないかと思う。

 かっこいい大人を見ると元気が出る。わたしもかっこいい大人になりたい。

4月27日(土)
 はじめて誰かと一緒に新宿の珈琲ピースに入って、はじめて頼んだ飲み物を飲んだりした。

4月28日(日)
 部屋の掃除をして、録りためていた『光る君へ』を焦って観たあと、シャークさん、愛さん、ずーみんさんと渋谷で夜ご飯を食べた。
 文集が欲しいと言ってくれた人たち。出会ったばかりの、こんな素人が書いた文章を読みたいと言ってくれるだなんて、恐れ多いなあと思いながら手紙を添えて持って行った。

 みなさん、とてもいい人たちで、こんな出会いがあるのだから、ポッドキャストをやっていてよかったと思う。
 共通の好きなものの話をして声が大きくなったり、各々が好きなものの話を渡し合ったりして、ワハハと笑って、この輪の中に入れてもらえている幸せを噛み締める。出てくる豆腐料理がおいしすぎて、食べるたびにいちいちみんなで感動しながら、本当にいろんな話をした。
 なんて健康な会なのだろう、と毎回思う。表には出さないけれど、わたしはこの人たちにすごく好かれたいので、いつもちょっと緊張している。

 帰ってすぐに、みなさんが文集の感想を送ってくれた。良いとか、悪いとかではなく、「好きです」という言葉で文章をほめてくださるのがうれしかった。
 シャークさんから「縦書きが似合う文章だと思ったよ」という言葉をもらって、こんなことを言われたのははじめてだったのだけれど、なんてすてきなほめ言葉だろうと思った。

 今日はなんだか心がほくほくして、終わらせたくなかったので、ちょっと夜ふかしをした。わたしはよく、恋と好奇心を混同して間違えるのでいけない。

4月29日(月)
 待ちに待った『テレビ千鳥』のイベントへ行く。会場に着くと、物販の列の長さに腰を抜かしそうになった。
 タオルが目の前で売り切れてしまって焦り、我慢しようと思っていたタバコ型ペンライト(二千八百円)を代わりに購入。グッズのラインナップを見て、ここまでガラクタだらけなのもめずらしいな、と思ってにやにやした。

 イベントは最高だった。笑えないことがあった日の夜、『テレビ千鳥』を観て笑ったことを思い出した。
 最後に披露してくれた漫才で、会場の人たちを笑わせるため、というよりも、ただふたりがたのしくてたまらない漫才をしている姿を見て、すごく満たされた気持ちになった。
 やっぱりわたしはお笑いが好きだなと、なにかを決意するようにそう思った。

 会場を出たら、他人のつくったご飯が無性に食べたくなったので、近所の大阪王将に寄って帰った。回鍋肉とご飯中盛り、ごま団子を注文。
 べつに自分がめでたいわけでもないのに、イベントがたのしすぎてめでたい気持ちになり、奮発してしまった。家に着いたらめちゃくちゃ胃がもたれた。
 昔からごま団子が好きで、あれば必ず頼むのに、ごま団子が好きだということをわたしはよく忘れる。

4月30日(火)
 大崎清夏さんの『私運転日記』を読み終わった。よすぎてまだ心臓がバクバクしている。
 おすすめしてくれたすてきな人に、丁寧に、大切にことばを紡いで感想を送ったら、すぐに返事がきた。

 今日はこれから、美帆ちゃんが家に遊びにくる。


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