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【読書記録】真の「平等」を求めたわけではなかったフランス革命。処刑台に上がる権利だけは与えられた女性たち。



この本はフランス革命を語るうえで名前が出てくる女性たち、また名前が出てくる男性に影響を与えた女性たち11人を取り上げています。池田理代子先生は35年前に「大げさともいえるほどの激しい怒りを抱いて」この本を書き上げた、と述べています。何に対する怒りか?「自由・平等・友愛の思想を高く掲げて旧体制を裁こうとしている」男性革命家たちが女性を平等なものとして考えていなかったこと、フランス革命の中で生まれた「人権宣言」、“人間と市民の権利の宣言”と訳されているものの原題は“Déclaration des Droits de l'Homme et du Citoyen”で「人間」と「市民」に当てられている単語は男性形の名詞のみであること、このことに対する衝撃からこの本は生まれました。

『ベルサイユのばら』を描いた時には、そういう革命家の男性たちの女性蔑視にまで思いをいたすページ数の余裕もありませんでした。この『フランス革命の女たち』で、私は漸く、フランス大革命の持つ負の一面、言い換えれば未熟な一面について、存分に描くことができました。
『フランス革命の女たち』「おわりに」より

この本に取り上げられている女性の一人、ロラン夫人はこう書き残しています。

現在の風俗では、まだ女性が目に立つ行動をすることが許されているとは思われません。女性は、善なるものを鼓吹し、祖国にとって有益な感情を養い、燃え立たせるべきなのであって、女性が政治に関わっているいるように見えてはならないのです。
『フランス革命の女たち』「ジロンド派の女王 ロラン夫人」より


裕福な家庭に生まれた彼女は、幼いころから恵まれた才を発揮して父を喜ばせ、古今の思想書や哲学書を読み漁ってずば抜けた教養を身に付けます。その彼女がこのような言葉を残すということは、知識と教養を身に付けることそれ自体は奨励され、賞賛されても、それを社会で、男性と同じ立場で役立てる機会は与えられていなかったということ。

ユーミンが体現しているもの

今朝の新聞の書評コーナーで、山内マリコさんの「すべてのことはメッセージ 小説ユーミン」が取り上げられていました。ユーミンの生い立ちから最初のアルバム発表までを小説にしたものです。

12月18日付 愛媛新聞より
裕福な呉服店の娘として生まれ、幼いころからピアノや三味線を習い、私立の女子高に進んだユーミン。そんな“恵まれた人”が成功した話は一見、共感しづらいもののようにも思える。だが「女が学校で学べる自由はあっても、学んだことを実社会で活かす自由はひどく限られていた」時代にあって、ミュージシャンという夢を持つこと自体が「それだけで物語の主人公のよう」と山内さんは捉える。
12月18日付 愛媛新聞「新著の余禄」より

身に付けた教養を革命の崇高な理念の中で活かすために、巧みに男性の陰に隠れて、政治参画を果たしたけれど、最終的には「処刑台にのぼる権利※」の方は認められて断頭台の露と消えたロラン夫人

女性である自分が持つ感性を存分に生かして才を発揮し、時代を代表し、間違いなく後世に名を残すアーティストとなったユーミン

200年の時の流れが感慨深いです。

※「女性は処刑台にのぼる権利があるのだから、議会の演台に上る権利も持つ」と女性の参政権を求めたオーランプ・ド・グージュの言葉

今回のインクは「堂鳩」

今回使用したインクは、MOOK本の付録インク。巷で言われるように「ガラスペンは一回どぶんとつけたらA4の1ページぐらいは書ける」ようには使いこなせていませんが、つけた直後に太くなりすぎる問題は、少しペンを寝かせ気味にして書くことで改善され、そうするとインクの持ちも多少良くなりました。くるくる回しながらインクが残っている面を活用して書くコツもつかみつつあります。何より色のチェンジが気軽にできるのが、うれしいですね。色んなインクを使いたい→読書記録を書きたい→読書冊数が増える、、、、一石二鳥♪

今回もお読み頂き、ありがとうございました。




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