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配偶者控除と配偶者特別控除

確定申告と年末調整でよくお世話になる控除制度について解説します。
今回は配偶者控除です。所得控除の中ではメジャーでかつ自分は会社員で年末調整しているから関係無いと思っている方も多いと思います。

しかし、特に配偶者「特別」控除は実務上でもけっこう損している方が多いのが実情です。また、個人事業者や不動産所得の有る大家さんなど自分で確定申告をしている方もミスしやすい部分です。源泉徴収票や過去の確定申告書をお手元に置きながら最後までご覧ください。

所得税のおさらいと所得控除

先ずは、所得税の計算過程についておさらいをします。こちらをご覧ください。
① 収入ー 経費= 所得
② 所得ー所得控除=課税所得
③ 課税所得✕税率=所得税額
収入から経費を引いて所得を出し、所得から所得控除を引き課税所得をだします。所得控除には社会保険料や今回のテーマでも有る配偶者控除や次回のテーマで取り上げる扶養控除も含まれます。

②で算出した課税所得というのが、税金を計算するに当たり元となる金額です。③では課税所得に税率を掛けて所得税額を算出します。基本はココまでですが、住宅ローン控除や配当控除などが有る方は、更に税金を引いてもらえます。これを「税額控除」と言います。

④所得税額ー税額控除(住宅ローン控除など)=納税額

収入から必要経費を引いて所得を出すまでの計算過程は、給与所得の方、個人事業者の方、年金収入の有る方、更には株の売却した方など所得を得るための種類に応じて計算過程が変わります。

では、配偶者控除や扶養控除も含んでいる「所得控除」というのはどう言うものでしょうか?
収入から経費を引いた金額…つまり所得が、本来の税金を計算する際の基本となっています。しかし、一律で同じ計算をしてしまうと、養っている家族が多かったり、その家族に障害者が居る、事情があって一人で子供を育てているなど、生活をする上で通常よりコストが多くかかっている方には税負担が大きくなります。そういった方を税金を安くするという形で支援をしましょうという支援制度としての側面。

そして、生命保険や地震保険料控除、iDeCoも対象になっている小規模企業共済掛金控除のように納税者が自分の経済的なリスクに対して自助努力をする。国でも推進したい。推進している制度を利用している人には税金を安くしましょうといった、優遇制度の側面もあります。こういった国の支援制度と優遇制度を税金という形で実現しているのが所得控除です。

配偶者控除と配偶者特別控除

配偶者とは自分の結婚相手のことです。この控除の計算上は内縁や事実婚は対象に入れておりません。この配偶者控除の対象になるには「生計を一にすることと、年間の所得が48万円以下」が条件です。

配偶者の収入形態が給与のみであれば、収入で換算して103万円以下であれば配偶者控除の対象になります。また、この給与が個人事業者の「親族」に対して支払われる「専従者給与」だったり、白色申告の「事業専従者控除」の対象になっている方であれば、配偶者控除やこの後お話する配偶者特別控除は受けることができません。

また、生計を一にするとは同居をしているか、別居していても仕送りを受けているなど生活費の面倒をみてもらっている状態のことを言います。

年間の給与収入が103万円以上でも配偶者「特別」控除が受けられます。配偶者の給与によって段階的に控除額が下がりますが、給与収入が約201万円までは配偶者特別控除が受けられます。収入ではなく所得で換算すると48
万円超133円以下となります。

控除される金額は、配偶者控除の場合38万円です。ただし、配偶者の年齢が確定申告をする年の前年…この記事の作成日を基準にすると令和4年12月31日時点で年齢が70歳以上の配偶者の場合は控除額が48万円になります。配偶者特別控除の場合は38万円から1万円と配偶者の年間の所得で段階的に引き下げられます。特別控除の場合は70歳以上など年齢による割増はありません。

所得が高いと控除が受けられない

ここまでが、配偶者控除・配偶者特別控除の基本になりますが、確定申告や年末調整を受ける本人の所得が900万円を超えると配偶者控除・配偶者特別控除共に控除される金額が減ります。そして、1000万円を超えると控除が受けられません。給与収入に換算すると10,950,000円を超えてから控除の金額が減っていき、11,950,000円超えると控除を受けられなくなります。

本人の所得、配偶者の所得別の控除額は国税庁のホームページの一覧表で確認できます。こちらをご覧ください。一覧のリンクは概要欄にも貼っておきます。

控除忘れの多い事例

この配偶者特別控除を知らずに、配偶者が120万円くらい稼いでしまったから控除が受けられないと勘違いをして年末調整の申告書や確定申告書に情報を書かない方がたまにいらっしゃいます。社会保険の扶養も維持できる範囲であればもう少し稼ぐことができますので、一度、配偶者の源泉徴収票を確認して先程表示された表と照らし合わせてみてください。



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