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植物をしっかり見る ~生育診断の基本~ (農業)

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。今日は栽培初心者向けの生育診断の基本についてお話いたします。生育診断というとどうしても葉や茎、花など 野菜のパーツに目を向けがちです。 しかし 大事なことはまず全体を捉えることです。まず、全体を見て雰囲気で良いので株の状態を一言で表現してみることです。「勢いがある」、「ごちゃごちゃしてる」、「なんだか頼りない」、「苦しそう」などなど、何でも良いので自分の言葉で株の状態を表現しましょう。

その後でなぜそう感じたのか細部を詳しく見ながら検証していくのです。例えば、すっきり見えたのは葉がコンパクトで間から茎や地面が見えたから。葉が光り輝いて見えたのは、葉の表面に照りがあったから、とか葉先から出た露が朝日を受けて光っていたから、といったことが分かってきます。
このように、まず最初に全体を見ることで細部を見るだけでは見逃しやすい全体的なサイズ感や各パーツのバランス、株の勢いなどにも自然と目が向くようになります。
また株の印象を一言で表現することを繰り返していると自分なりの株の見方ができるようになります。さらに目の前に株がなくても株の姿がイメージできるようになって、次に畑に行った時に前回との違いに気づきやすくなるのです。

では 次に 細部を見るときのポイントを紹介しましょう
①     葉の様子
葉がその野菜その品種らしい素直な形をしているか、変に反り返ったり、逆に立ち上がったりしていないかを見ます。表面の質感や香りも調べます。葉にツヤがありしなやかに葉が 180度曲がるのが良い状態です。栄養状態、水分が足りているか、要素欠乏症が出ていないかなどがわかります。

②     茎の太さと節間
太い主茎が細い側茎を支えている状態になっているか、節間の長さがほぼ均等かを確認します。株が一定のリズムで生長しているか、途中で天候不順などの影響を受けていないかなどがわかります。

③     花の咲いた位置と花数
茎の先端(生長点)から 一番上の開花した花までの距離、またはその間にある葉の数を見ます。同時に花の形や花の数が適切かどうかも見ます。草勢が強すぎたり衰えたりしていないか、花芽が順調に形成されているかがわかります。

④     果実の様子
大きさや数が適切か 形が乱れていないかを見ます。トマトのように複数の花房を順に付けていく野菜では花房同士を見比べることで生育状況の推移を見て取れます。葉で作られた養分が順調に転流しているか、生理障害などが起こっていないかなどがわかります。

生育診断を行い際にはまず全体を見てイメージを捉え、その後細部を見ていくように心がけて、植物の”観察眼”を高めていきましょう。


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