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野菜ごとに水の要求量が違う!(農業)

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。
人間は暑くなってくると水分をたくさん取りますし、寒くなるとあまり水分を取らなくなりますが、植物を栽培する上で水はどれぐらいあげればよいのでしょうか?
養液栽培では日射量に比例した潅水など新しい技術が広がってきていますが、土耕栽培の場合、まだまだ潅水量の標準的なモデルが確立しているとはいいがたいものがあります。それは各地で土質が違うからです。排水性の低い土質だと水をたくさん上げると根腐れなどが発生してしまいますし、排水性の高い土質だと多めに水を与えても水はすぐに地中に流れてしまいます。
各地で土質は違うので、まずは植物の特性をしっかりと理解し、植物がどのように、どれくらい水を欲するのかを把握したうえで、土質を勘案して水の与え方を考える必要があります。

そこで今日は格植物の水の要求量特性を見ていきたいと思います。

〇トマト
トマトの原産地である南アメリカのアンデス高地は雨が少ない乾いた土地です。そのため 本来、トマトは乾燥に強く根は深さ1m、幅は 3m以上に伸びて水分が安定している下層から水を吸い上げることができます。ただし作土層が浅い畑や地上付近で水分が得られる多湿の日本ではそれほど深く根を張りませんので、夏の暑い時期は水やりが必要になります。

日本での土耕栽培の場合、水やりは第3花房が開花する頃から始めます。それまでは雨が降らない日が続いても水やりは控えます。(もちろんカラカラに乾いていて樹が萎れているような場合は湿らせる程度には与えてください)
トマトの場合、生育初期に水や肥料をやりすぎると草勢過多になりがちで異常茎の発生や 着花不良が起こりやすく中盤以降の生育も弱ってしまいます。

第3花房が開花する頃になれば第1花房の果実はピンポン玉ほどになっており、光合成で作られた同化産物は果実の肥大に使われるので、草勢が強くなりすぎることがありません。逆にこの頃から積極的に水をやって肥料を効かせ、生育を活発にしてやれば収量アップにつながります。水やりは適当な湿度を保つように定期的に行います。乾燥した状態から急に土壌の水分量が上昇すると果皮が避ける原因になるので乾燥させすぎないことが大切です。

トマトの蒸散量は夏の晴れた日で1株あたり 2~3ℓといわれているので、その分を補うように水やりをすると良いでしょう。同じナス科のピーマンも乾燥には強いですが、実が取れ始めたらトマトと同様の量を与えましょう。
トマトは1日2~3ℓの蒸散をするのでそれを補うように水やりをするのですが、ドバっと一度に2~3ℓ与えると、トマトは吸水しきれずに水を地下に逃がしてしまうので、2~3ℓを数度に分けて水やりを行い、トマトが蒸散した分をしっかりと吸収して補えるように水やりをしましょう。

〇ナス
高温で雨の多い地域が原産の夏は大変水を好む野菜です。特に梅雨明け以降は株が大きく育ち、蒸散量も増えるため、 雨が降らない日が続くとすぐに萎れてしまいます。花が咲いても実がつかずに落ちてしまうのは水不足の証拠です。艶のないボケナスや果実の日焼け も土壌水分が足りないと発生しやすくなります。こうした夏場の着花不良を防ぐために行われるのが更新剪定というものです。


収穫を一旦休み、枝葉を落として蒸散量を抑えることで疲れた株を復活させる技術ですが 水分の安定供給ができれば更新剪定を行う必要がなく夏の間ずっと収穫を続けられます。取り始めたら乾きすぎないように気をつけ、本格的な水やりは梅雨明け後から行います。2~3日おきに1株 3ℓ程度の水をやりましょう。株元にやるのが効率的ですがナスの根は 加湿による酸素不足に強いので畝間に水が溜まるぐらい撒く方法もあります。その場合、夕方に水をやって夜の間に土壌に浸透させれば日中の蒸散がスムーズに行われます。日射が弱くなり雨が多くなる 9月中旬以降は水やりが必要はありません。

〇キュウリ
キュウリは葉の面積が大きく、それが株全体に展開するため蒸散量は野菜の中でもトップクラスです。一方、根が浅くその大部分が地表を近くに分布するため、土壌が乾燥すると影響がすぐに出てきます。1日の吸水量は植え付け直後は40~60ml程度ですが、収穫が始まる頃になると1.5 ~2ℓの水を吸い上げるようになり、最盛期には4~5ℓにもなります。 キュウリの果実90%以上が水分で水で太らせると言われるほどたくさんの水を必要とします。


そのため実が突き出すと吸水量がクンと上がって水が不足しがちです。水不足は曲がり果や尻細り果などの原因になります。これを防ぐために収穫が始まったら水やりを行いましょう。
晴れた日は1株 2ℓ 以上が目安になります。

このように作物ごとに水の要求量は違います。適した水分量を与えるように心がけましょう!


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