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第四回 未来をつくるケアマネcafe

令和6年4月15日 第4回未来をつくるケアマネcafe(通常のkaigoカフェと同時開催)

4月15日(月)には、「ケアマネが集まる事業所をつくるには?」というテーマで、マロー・サウンズ・カンパニー代表の田中紘太さんから貴重なお話を伺いました。
 
始めに、介護業界や居宅介護支援に関わる法改正のポイントついて触れた後、居宅介護支援事業所数の減少やケアマネジャー不足の課題についての共有がありました。
 
ケアマネの人材不足が深刻化している東京都では、独自の取組みとして、処遇改善手当の替わりにケアマネへ1万円の手当をつけたり、事務職員の雇用助成金や法定研修費用の補助、さらには家賃補助も行い、手厚い支援を始めている、というお話がありました。田中さんの事業所は東京都と千葉県両方にあり、手当を東京都の職員だけに支給することはできないとのことで、この4月から一律1万円、給与アップをさせたとのこと。また、国の介護報酬だけではなく、東京都や労働局のキャリアアップ助成金や研修助成金等を活用し、賃金アップや福利厚生に充てているとのことでした。


 

続いて、詳しい事業のお話へと続きます。

 マローサウンズカンパニーは併設の事業所を持たない単独の居宅介護支援事業所として平成23年に設立されました。同社では、真剣にケアマネジャーとしての仕事を学びたい、知識を身に付けたいと考える人を採用し、全員を常勤として雇用しています。江戸川区から始まり、舞浜のケアマネ不足に課題を感じ、原付バイクで通いながら利用者さんが増え、事業所も増加していきます。 特にケアマネジャー不足が深刻な地域には積極的に事業所を配置しており、地域にも貢献する欠かせない企業である、いうことを強く感じました。

会社の特徴として、①単独型の居宅介護支援事業所、②低い離職率、③ケアマネジャーの在籍人数が多いという点を挙げられていました。 私自身も現在経営をしており、スタッフを雇用していますが、離職率を下げるには、給料を始め、風通しの良い会社というだけでは足りず、同時に仕事へのやりがい、一人一人の個性を大切にした関りなど様々なものが求められると短い経験ではありますが感じており、生半可な思いでは、とてもできないものだと感じています。

 中でも、2018年から8年間一人も退職者がいない状況をつくるのは、相当な工夫と努力をされていることを感じました。働きやすさという工夫にもICTを活用した業務効率化を重視し、チャットワークを導入することで、業務プロセスを向上させている点がありました。 また、インターネットを通し社員紹介などを公表することで、会社の透明性を高め、求職者が来やすい環境を整えている点にも工夫を感じました。地域に向けた勉強会や動画研修、YouTubeチャンネルを通じた情報発信など、積極的な地域貢献活動や社内教育に力を入れている姿勢も素晴らしく感じました。月に一度のミーティングでアーカイブを残し、スタッフがいつでも情報を確認できるようにするなど、コミュニケーションと情報共有の仕組みにも注力していました。


良いケアマネジャーや居宅介護支援事業所の定義には、利用者や多職種、保険者の様々な視点で整理し、それぞれのニーズに応えるサービスを提供する姿勢を感じました。教育面では、新人未経験者に対する手厚いサポートや、先輩との対話の時間を確保する取り組みが、持続的な成長とチームの連携強化に役立っていることが伺えました。 

最後に、対話の中で参加者から多く関心を集めていたのが、手当の充実でした。法定研修費用の会社負担や時間外研修手当として、研修に参加すればするほど手当が増額される制度、認定調査手当、加算手当など、ケアマネジャーならではの制度を重視しており、加算を取得した場合には、その分を給与に反映させることで、スタッフのモチベーション向上やスキルアップに貢献しており、思わず自分も働きたいと感じました。

 この会社に入れば、スキルアップができ、スキルアップが評価につながり、給料に反映されると実感できる会社創りと、社員の生活との両面を考えてくれる会社であり、そんな会社に人は集まるのだと感じました。私も、業態は違えど、人が集まる事業所づくりに邁進していきたいと思っています。 

graphic recording by Hideyuki Okada


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記事執筆 黒澤 智尚
病院、在宅医療現場にて、計6年の医療ソーシャルワーカーの経験から、在宅を支えるケアに魅力を感じる。デザインスクールがきっかけで介護の世界へ。3年の現場経験を得て、小規模多機能ホームゆかい西野を札幌市で開設し、今に至る。 現在、kaigoカフェイナンクル(アイヌ語で幸あれ)も運営している。映画、漫画、アニメで物語に触れるのが好き。

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