「梅の花」~駐妻記番外編~#シロクマ文芸部
梅の花、というと、和食レストランの『梅の花』を思い出します。
普段使いには少し高い、お祝いごとや法事の時などに使うお店として有名です。本社は福岡だそうですね。
実はこの『梅の花』、私がタイにいる間にタイに進出してきました。
調べたら2011年にバンコク1号店がオープンしたそうです。
タイに行ったばかりの頃も、日本料理のお店は沢山ありました。
当時の駐妻に馴染みのお店と言うと『葵』や『歌行灯』(バンコクでは老舗でしたがついに2021年に撤退したそうです)、『天翠』『菜の花』『鮨忠』などが印象に残っています。お正月にはおせち料理なども出していました。
在タイしていた数年の間に日本料理店は出店ラッシュになり、カジュアルな大戸屋はあちこちにできましたし、大戸屋系列の高級路線『みつもり(旧おとや)』などもできて、次々に日本から日本料理店がなだれ込んできました。そんな中、『梅の花』もオープン。その後、オークラホテル系の超高級懐石料理『山里』や高級居酒屋『笹弥』などもできて、レベルも格段に向上していきました。
『駐妻記』でも少し触れましたが、当時2000店舗に届く勢いだった日本料理店は、現在はさらに数が増え、いまやタイ全土で5000店舗を突破したそうです。
日本価格より少しだけ安かった、という記憶がありますが、駐妻の金銭感覚はだいぶおかしくなってますので、実際はどのくらいで食べていたかあやふやです。帰国して8年も経つと、やはり記憶は薄れていくものですね。
でもあのころ『梅の花』の出店は本当に嬉しかったです。駐妻の間で話題になり、こぞって食べに行ったのを覚えています。日本では(高くて)食べたことが無かったので、外国で日本と同じメニューが食べられるというのが、しみじみ有難かったです。
駐妻は毎日毎日高級なランチをしていると思われているかもしれませんが(中にはそうした人もいたかもしれませんが)、子供がいる駐妻は少なくとも、そんなことはありません。
やはりなにか特別な集まりの時にそういったお店を使うことはありましたが、普段はもう少しカジュアルなレストランを利用していました。もちろん、毎日でもありません。
攻める駐妻は果敢に屋台での食事にも挑戦していましたが、これはかなりの冒険家。やはりお腹を壊す率も高く、一般的な駐妻は屋台からの「持ち帰り」が多かったと思います。持ち帰りならば、少なくとも食器などからの感染は防げたと思います。
今、急に、良く行っていたタイレストランのシンハービールとトートマンクンとラープ・ムーを思い出しました。珍しくマッサマンカレーも常時食べられるお店で、味のある店内の装飾が懐かしいです。店主が南のほうの出身だったのでしょう。お店の名前がどうしても思い出せません。
考えてみれば、昼間からビールとか頭おかしいわと言われても仕方ありませんが、南国のビールはヨーロッパのワインと同じ、のどを潤す飲み物として日常でした。あっついですからね。シンハーも安かったですし。お酒の苦手なママや妊婦ママたちには、果物系のジュースが人気でした。
タイ料理よりも和食の方が安全、と思われるかもしれませんが、私が派手にお腹を壊したのは、日本人の経営するレストランで、でした。タイ料理の屋台やタイ料理レストランより、日本料理店で「あたる」人は結構多かったと思います。
生ものを使うことが多いのに、食材の管理などの面で全く日本と同じ環境というわけにはいかなかったということもあるでしょうし、日本のように衛生管理責任者などの資格が無くても簡単にお店を出してしまえる事情などもあったと思います。
色々なお店で色々な噂がありましたが、私がいる間は『梅の花』はそういう噂もなく、安心して食べられるお店でした。
バンコクから帰ってきて、同じくバンコクに住んでいたことのあるサツキさんと出会いました。
ある時、横浜某所の二人の住まいから比較的近いところに『梅の花』があるというので、懐かしいから行ってみようか、という話になりました。
日本のお店なのに、バンコクの思い出ばかり蘇り、思い出話に花が咲きましたが、それにしても—―
「高かったね」
「うん、高かったね」
「バンコクで、よくもまあ、行ってたね」
「バンコクの『梅の花』はそんなに高くなかったよ・・・と思うよ」
「でもお茶とか有料じゃなかったっけ」
「忘れたけど、やっぱり日本ほど高くなかったかも」
「美味しいけどね」
「それは間違いないけどね」
「うーんやっぱり、なんかお祝とか法事とかで来るとこだよね」
「だよね、普段来るとこじゃなかったわ・・・」
「バンコクの梅の花に行きたいね」
「でも今はたぶん激高だよ。円安だもん」
「だよね・・・」
帰り際は、ついつい値段の話ばかりでした。
思わずふたりで、苦笑いしてしまいました。
追記:良く行っていたタイ料理のお店。マッサマンカレーじゃなくてカオソーイの店でした。カオソーイは北の料理。どこかのお店と混ざり合った記憶だったようです。失礼しました。
レギュラーメンバーなので早めにお題をいただいております。
今回はエッセイで参加いたします。
よろしくお願いします。
前回の「つぶやき」でAdobeの不具合にショックを受けたことを書きましたが、あれからも結局元には戻らず。
ああこんなこともあるんだなあと思いましたが、でも怪我の功名と申しましょうか、別のPDFソフト(PDFelement)が案外使えることがわかったので、気を取り直してそちらで頑張ってみることにしました。
やっとAdobeに慣れたところでしたが、ちょうどそういう時に、新たなハードルがやってくるものなんですね。
改めて、コメントのお返しに参りますね。
お待たせしてすみませんでした。
『駐妻記』を出版して1年になります。
本として販売しているのにnoteで記事が読めてしまうのが、バランスが悪いと感じるようになってきたので、いよいよ、noteの記事の方は有料にしようと考えています。お試しで読んでみたい方は、いまのうちに(笑)。
kindleのほうの『駐妻記』もよろしくお願いします。
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