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YOASOBI「勇者」 /TVアニメ『葬送のフリーレン』MV考察

メタファーが沢山散りばめられている勇者のMVですが、私なりに考察してみました。自分用のメモも兼ねているので、雑多なのはご容赦ください。
見たのはアニメ版のみで原作は読んでいないので、読んだらまたイメージが変わるかもしれません。


シンボルや花言葉の意味

MVでは多くの花や植物、シンボルが登場しているので、一つずつ書き出してみる🐦

◆シンボルの意味
・赤いツバメ=「幸運」を運ぶ象徴。勇者達。
・蝶=仏教では人間の生と死、復活、輪廻転生の象徴。死者の魂が宿るとされる説もある。また、「成長」のシンボルでもある。

ツバメはラスト(3:05)で4羽登場し、色は赤、青、緑、黄。赤はフリーレン。蝶は2羽で登場するシーンが多く、意味的には死後の世界のヒンメルとフリーレン?

◆花言葉の意味
・バラ=愛の象徴(0:00-0:07)
・ツタ=花言葉は「永遠の愛」「結婚」(0:00-0:07)

バラ、ツタ

・シロツメクサ=「約束」「幸運」(0:34)(2:25)
・菜の花 / セイヨウカラシナ=「小さな幸せ」(1:27)

シロツメクサ

・花畑のポピー=「恋の予感」「思いやり」(1:50)
・花畑のパンジー?=「私を思って」(1:50)

ポピー、パンジー

・黄色のスイセン=「もう一度愛してほしい」「私のもとへ帰って」(2:28) / ラッパスイセン=「報われぬ愛」
 フリーレンが投げキッスをするシーンにて。おふざけシーンではあるものの、ヒンメルとの思い出が過ぎ去った過去の記憶である事の暗喩表現。

スイセン

◆上下の飾り枠
《上段》
 └ ツバメ=「幸運」の象徴
 └ 蓮=花言葉は「清らかな心」「神聖」
《下段》
 └ 2羽の蝶=生と死の象徴、または成長
 └ マーガレット?=花言葉は「心に秘めた愛」「真実の愛」
 └ 花の無いバラのツタ=" 心に秘めた愛 "であるため花がない
枠が縦にレイアウトされたシーンから見ても、上段がフリーレン、下段がヒンメルを現していると思われる。

◆右側の飾り枠(0:08)
・大きな蝶はヒンメル、小さな蝶2匹はハイターとアイゼン?何の草花か不明。


シーンの考察

■冒頭(0:08)
・花の無いバラのツタ、蜘蛛の巣など=廃れた雰囲気、喪失的な世界

■序盤(0:20)
・エーラ流星=50年に一度の流星群。フリーレンにとって長い人生の中のほんの一時の物語が始まるという予兆
・フリーレンは目を開いて光が差し込んでいくが、ヒンメルは目を閉じて影が増していく=ヒンメルの死の連想(0:48)

■中盤(1:07)
・『知りたいんだ』のテロップと光るエフェクト、サウンドがマッチしてて素敵。ヒンメルの像の意味を知り、涙の意味を知りたいと、フリーレンにとって大切な気付きを得たと言う演出(1:07)
・フリーレンの像が描かれているのは、いつかヒンメルと同じように像を残したいと思う人が出来るって事かな。フェルン?

・そういえば2人の英語名表記が「FRIEREN」「FERN」で、一致しないアルファベットが「I」のみで、未来で「I(わたし)」が居なくなったのがフェルン、みたいに思えてきた…。でもフリーレンの方が長生きするし、深読みかもしれない。

・『きっと見つけられる』というテロップと、鏡蓮華、その背景に四葉のクローバーが2つ=幸運はきっと見つかるという示唆(1:16)

・魔王を倒して平和を勝ち取ったが、ひとりぼっちになったフリーレン(1:43)
アニメーションや映像技法として、右側は過去を、左側は未来を現していて(多分ディーンの法則みたいなの)、ヒンメルは平和を勝ち取り左側=未来を向いているが、フリーレンは取り残されたように右側=過去を向いている。
また、すぐ後のシーン(1:47)では、ヒンメルは目を開けているがフリーレンは目を閉じていて、2人の心境の違いが表現されている。

■終盤(2:04)
・冒頭でヒンメルの像にとまっていた赤いツバメが、空へ飛び立つ(2:04)
ヒンメルと別れを告げ一人旅立つフリーレン。

・沢山の人々との出会い。(2:09)
飾り枠がスライドして画面が広がっていく=フリーレンの世界観の広がり。

皆で左側=未来を向いているが、目を閉じると思い浮かぶヒンメル達との思い出が…。
『誰の記憶から消えてしまっても』と言う歌詞と共に黒背景になり、思い出の映像も狭く小さく、遠のいていくような雰囲気。テロップも、光の風がさらってフェードアウトする。

・過去(ヒンメル)を未来へ連れて行くと決心する(2:20)
『私が未来に連れて行くから』
左側=未来を向いていたフリーレンが、振り返って右側=過去へと手を差し伸べる。その先には、かつてヒンメルが手を差し伸べてくれた思い出が。
これは二人の思い出でもあるため、過去シーンへの切り替えの際に2羽の蝶を入れている。

視点もフリーレン視点→三人称視点へと転換。(フリーレンだけの記憶から→皆の覚えている思い出へ)

また、上下の黒い帯(=勇者の歴史が忘れられそうな状況)がカットアウトし、彼を消したくないという想いの演出。画面いっぱいに色鮮やかな思い出が広がっていく。
ただ、思い出は時間帯が朝→夕暮れの順序になっており、時間は戻せず進んでいくものという表現かも。

・フリーレンが過去から未来を向くようになっていく(2:40)
冒頭ではフリーレンが逆さまの状態で右側を向いており(1:03)、ヒンメルの死により気持ちが後ろ向きになっていたが、終盤(2:40)では左側を向いて微笑み、未来を向けるようになった事が表現されている。


テロップの演出

MVのテロップには様々な演出がされており、それぞれを考察してみたい。
テロップに関しては不明点だらけなので、ほぼほぼ仮説。
まずは演出の種類をざっくりと。

❶丸い図形
❷四角い図形
❸大きな十字線、×印
❹フェードアウト

❶丸い図形 = ヒンメルの象徴
「君」「終」「残された目印(勇者像)」など、ヒンメルや勇者の死を連想させる時、また思い出に関するシーンなどで使われる。

❷四角い図形 = フリーレンの象徴、もしくは過去の象徴
「君の手を取った」「優しく微笑みかける」など、2人の思い出の場面で❶丸い図形と同時に描かれる場合が多く、最初はフリーレンの事かと思っていた。

「知りたいんだ」=これもフリーレンの感情だし、
「私を変えた出会い」で四角が回転している演出も、フリーレンが様々な人と出会って変化していく様子を表現しているようにも見える。

ただ、他のシーンでは「勝ち取った平和の証」「悪」「勇者」など、フリーレンと関連のないワードにも付けられているので、単純に過去について触れる時に描かれているのかも…?

❸大きな十字線 = 十字架 = 死の暗喩?
「そこに君はいなくとも」の「君」に十字が刻まれ(1:14) →「君」だけ消失

❹フェードアウト = 消失、薄れていく記憶など

他にもスラッシュや×印、細かい十字線、ベタ塗り、キラキラ輝く縦ラインなどなど…多数のエフェクトが描かれている。
図形が一重から二重になっていたりなど、色々な意味がありそう。


最後に

細部までほんとうに丁寧に創られていて、熱量と技術が詰め込まれているなぁと感動したMV。(何目線…)
演出の意図が分かってから見ると、より一層楽しめると思います。

まだ不明な所が沢山あるので、ここは違うんじゃないかとかあれば是非教えてください。

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