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【体験談】宮崎、新築戸建で竣工インスペクション

こんにちは。2022年に宮崎に家を建て、家族で移住しました、若橋未央です。

ホームインスペクション=住宅診断、ご存じですか?

欠陥住宅を発見/防止するため、工務店と利害関係がない第三者に、住宅の状況を検査してもらうことです。(ざっくり)。

私たちは今回、このインスペクションを、注文住宅竣工時に依頼しました。
その探し方や、結果、満足した点をシェアします。

なぜインスペクションをしようと思ったのか

私達は、家を建ててもらう工務店さんは、「実直に、しっかりと家づくりしてくれる」ことを大切にして、わりと保守的に選びました。

会社規模や財務状況、長期優良住宅はじめ性能評価取得の姿勢など…。

↓工務店さんを選んだ理由、くわしくは私たちの自己紹介記事で。

したがって、「欠陥工事されているのかも…」という不安は、契約前・後・竣工・入居1か月後の2023年1月現在、すべて通して、ありません。

そんな工務店さんを選んだのに、さらにインスペクションを入れようと思った理由は2つあります。

①将来の売却価値を高める一手と思った

私たちは、2020年の新型コロナを機に、リモートワークの働き方を手に入れた夫婦です。
そのおかげで、仕事はそのまま、夫の故郷・宮崎への移住が現実となりました。

一方で、残りの人生全てを宮崎で暮らすという縛りは、持ちたくありませんでした。

子育ておよび、夫のお母さんの介護を考えると、今後15年は宮﨑居住がベスト。

その後は、その時にまたベストな居住地を探して移住したいと思っています(宮崎に継続して住みたい心境なら、もちろんそれもあり)。

そのため、「築15年で売却するときに有利になること」は、できるだけやっておきたいと思いました。
その1つが、新築時のインスペクションです。

「建てた時、中立の第三者専門家がチェックした物件」
「そこまで考えている、ていねいなオーナーの物件」
これは、慎重に物件を選ぶ人には魅力になると思ったのです。

②超遠方施主で現場訪問が難しかった

家づくりの成功のためにやるといいこととして、「施主が頻繁に現場見学する」はよく言われます。

施主だからこそ発注施工ミス(依頼と異なる点)を発見しやすいということがありますし、現場で施工する皆さんが「オーナーは、家ができるのを楽しみにしてるんだな」と実感→緊張感・モチベーションアップすることが期待できます。

しかし、私たちは、東京在住で、1000km先の宮崎に家を建てる施主…毎週現場に行くわけにはいきません…。

建設工程の最後には施主検査がありますが、途中経過をしっかり見ていないのに、数時間の検査で私達が十分チェックできるのかという不安もありました。

竣工時のインスペクションを依頼すれば、この不安をカバーできるのではないかと思いました。

なお、インスペクションは、私達のように完成後の1回限り、チェックできる範囲にとどめて行うものから、建設途中で工程ごとにチェックしていくものまで様々です。

もちろん工程ごとの方がしっかりチェック&対応できて、その分費用もかかります。
最大手のさくら事務所ホームインスペンションのHPでくわしく、わかりやすく整理されています。

具体的にインスペクターさんを探した方法

ここからは、どのようにインスペクターさんを探し、依頼して結果を得たのかご紹介します。

ちなみに、具体的にインスペクターさんを探し始めたのは、着工後〜上棟までの間でした。
(着工するまでは、プラン確定のあれこれに追われて、探す余裕がなかったというのが正直なところです…。)
私たちは竣工後の1回インスペクション希望だったので、このタイミングで十分間に合いました。

もし、工事中の各工程でチェックを入れたい場合は、その分早い時期に契約が必要です。

ちなみに、建設途中のトラブルで施主がビルダーに不信感を募らせて、急遽、第三者のインスペクションを入れるということもあるそう。
(依頼したインスペクターさん談。)

①日本ホームインスペクターズ協会の会員リストをチェック

日本でホームインスペクションといえば、開祖?にして最大手のさくら事務所。
NHKでドラマ化もされたマンガ「正直不動産」の監修も担当しています。

ここに頼めればバンザイ!なのですが、宮崎はもちろん営業エリア対象外。

そこで、その創業者長嶋修さんが理事長を務めるNPO法人・日本インスペクターズ協会の会員リストをチェックしました。
HPで、認定会員のホームインスペクターさんを都道府県別に検索できるようになっています。


②中古リノベ不動産屋さんに推薦依頼

当時、上記HPの宮崎県リストには8名のお名前がありました。さて、ここからどうする…。

ここで私たちが頼ったのが、宮崎への移住相談および、土地購入でお世話になった、デキる不動産屋さんのSさんです。

Sさんの所属する不動産屋さんは、中古住宅の買取とリノベーション販売もしています。

メールしてみたところ、8名のうちの半数程度の業界内評判をご存知でした。
さらに、そのうちお1人に、中古住宅買取時のインスペクションを依頼しているとのこと!

気になるお値段は…税別30,000円!
大手さくら事務所の約半額…。い、いいの?

私たちは即決で、その方にお願いすることにしました。

このお値段は、お願いしたインスペクターさんが
・本業は工務店の工務部勤め
・家づくりがとにかく好きで、勉強熱が高じてインスペクターの協会員に
・会社公認で副業インスペクションをしている
とういう、商売っ気がない方だからだと思います…。

宮崎は人口規模が小さいうえにインスペクションの需要も小さく、皆さん工務店勤めが本業の方ばかり。独立のインスペクション1本で生計をたてる方は、2022年時点ではいないのだそうです。(Sさん談)

余談 アテがないときの絞り込み方

私たちは頼れるSさんの目利きがありましたが、そのようなアテがない場合どうするか?

協会リストから先の絞り込み方として、「インスペクター自身がブログなどで発信をしているか、その発信内容がわかりやすく、人となりが自分たちにあいそうか」というのも有効です。

これは、SNSで精力的に発信されているインスペクター・関谷春樹さんが、Twitterスペースでお話ししているとき、質問して教えていただきました。ご参考まで。

さあインスペクション実施!

工務店の営業さん、現場監督さんには、上棟式でお会いした際に「インスペクターさんを探していること」「竣工時にインスペクションをしたいこと」をお伝えし、了承を得ていました。

おそらくインスペクションを入れたいと言い出した施主は工務店さん初ケース…。
驚かれましたが、「きちんと施工・管理していますから、チェックいただいて差し支えありませんよ」と言う姿勢で、二つ返事でOKしてくださいました(こういうプライドお持ちのところ、好き)。

(準備)現状に近い、修正メモつき図面の用意

インスペクションを実施するには、敷地や建物の図面が必要です。

インスペクターさんからは、できるだけ修正事項がわかる「最新」の図面があるとよい、と要望をもらっていました。

それはそうですよね。
チェックの拠り所にする資料が現実と離れていては、突き合わせ検査の質が下がります。
(私は編集という職業柄、修正指示が印刷用データに反映されているかのチェックを多くしてきたので、突き合わせ資料の大切さはよくわかります)

…でも、施主の手元には、契約図面、役所の建設確認申請に使った図面しかありません。

実際には、着工後に工事が進むにつれ、現場の指摘→現場監督さんから施主に修正事項確認→都度施主承認、が次々に発生していました。
※このような小変更は、Twitterで施主仲間さんのツイート見ていてもよくあります。おそらくどの現場でも起こることです。

2022年夏、私達と工務店さんのLINE。この時は、洗濯機排水口の位置を変えました。

そこで、お願いして、現場監督さんが施工管理に使っている図面(随時手書きで修正点を書き込んでいるもの)を、竣工検査前の段階でコピー・ファイリングしてもらいました。
通常は、工務店さん保管で、施主の手元には渡らないものです。

ファイルにとじてもらいました
図面の修正書き込み例。建物位置調整で、一部軒の出が変わりました


これまた、「そんなこと頼む施主はじめて」案件で、戸惑っているようすでしたが(苦笑)、

「施主検査を補完するインスペクションなので、できるだけ最新の情報がはいった図面を使いたい」
「それに自分の家の最終図面を持っていたい。次の住み手に譲りたい」
「工務店さんが万が一倒産したら、手に入るかわからない」
などの気持ちをお伝えしたところ、ご了承いただけました。

なお、図面の修正書き込みには工務店さんの企業秘密的なことも含まれるそうで…。
ファイルは施主の所有物として管理とし、インスペクション時のみインスペクターさんに貸し出し・施主返却とする、複写厳禁との要望をいただき、了承しました。

(実施)インスペクション総評◎、一部指摘アリ

スケジュールを調整した結果、私たちの施主検査と別日で、インスペクションは実施されました。

夫が立ち会ったので私自身は現場を見ておりませんが(残念)、
外回りの目視や計測、天井裏や床下にも入って、しっかりチェックしてくれていたとのこと。

結果は総評◎、大変きれいに仕上がっていると評価いただきました!

それでも、部分的な指摘として、
・天井裏で、ボルトの緩みが1点
・玄関ポーチのタイル浮き
・サイディングの割れ

などをもらい、これらは引っ越し前に工務店さんに直してもらいました。

報告書は、インスペクションから数日で、協会の書式にのっとったものが届きました。
一部加工。

竣工インスペクションをお願いしてよかった

インスペクターさんは、新居について、
「仕上がりも、現場も非常にきれい。インスペクションが入るとわかっていたので、とても気を遣って丁寧に施工していたことがうかがえます」
と言っておられました。

現場監督さんは、インスペクションの報告書をお渡しするとき、
「どうでしたか?問題ありませんでした?(総評◎を知って)いやーよかった!実は緊張で胃が痛かったんですよ〜
と笑っておられました。

私たちにとっても、施工不良の有無は専門知識があるインスペクターさんにお任せできたので、施主検査を、施主が検査すべきこと=要望が実現しているかに集中して実施できました。
(そのおかげで、勝手口ポーチの想定外の仕上がりに気づくなど、快適な暮らしにつながる発見がたくさんありました)

まとめると、インスペクションのおかげで、

・インスペクションをしたという付加価値
・緊張感UP→施工精度UP
・施主検査の精度UP

3倍うれしい結果となり、たいへん満足しています。

インスペクション、興味のある方の参考になれば嬉しいです。


若橋家の家づくりについて、住み心地や工夫の「うわぁ言いたい!」を、Twitterの「若橋未央」アカウントで随時ツイートしています。

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若橋 未央

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