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写真・ショートムービー

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私が撮影した写真やショートムービーを掲載しています。
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陽当たりのよすぎる部屋に住んでいた、あの頃のフィルム写真

随分昔のことだけど、陽当たりのよい部屋に住んでいた。 古いマンションの最上階だったその部屋は、南向きの角部屋で周囲に障害物もなく、窓から見える景色が素晴らしかった。 南側にあったリビング兼寝室は陽当たりが良いを通り越し、窓際で昼寝をしようものなら日焼けするくらいだった。 そして夕方になるとキッチンには強い西日が差し込んだ。 とにかく、1日を通して陽当たりの良すぎる部屋だった。 当時、写真に夢中だった私は会社帰りに写真学校や写真ワークショップにせっせと通う社会人兼学生だ

「私にとって写真とは何か」を考えるー『浅田家!』を観て

映画「浅田家!」を観た。 写真とは長い付き合いの私にとって、この作品は映画として楽しんだだけでなく、写真について考える良い機会となった。 私にはかつて、写真を真剣に学んでいた時期がある。 その経験を生かし現在もカメラマンとして仕事をすることもある。 そんな私がこの映画を観ながら考えたことは「私にとって写真とは何なのか」という根本的な問いだった。 映画の主人公である浅田政志(二宮和也)が、自分のスタイルを確立するきっかけになったのは、写真学校の卒業製作のお題「もし1度きり

灯に惹かれて

夜の灯 人々は吸い寄せられるように灯の下に集う 魅惑の灯 こんなご時世だから人はまばらかと思いきや、そんなことはなかった 人は灯にあらがえない 久々に立ち寄った駅で、飲み屋街を歩いてみたくなった 灯に誘われてブラブラと 「どこかの店に入ってビールを飲んだら美味しいだろうな」 そう思った でも灯の下をもう少し歩きたかった もうすぐ夏が終わるというのに実感がない そりゃそうだ 家に閉じこもってばかりで 夏がいつ始まったかもわからないのに、終わりに気づくはずも

本当に花が撮りたいか

一眼レフでもスマホカメラでも、花を見かけるとなぜか撮影している。 その度に「本当に撮りたいの?」と自問自答する自分がいる。 「とりあえず」じゃないけれど、花を見るとシャッターを切るのは、習慣というか、もっと言うと惰性みたいなもの。 もちろん、心から花を撮りたいと思う時もある。 そういう花に出会う事は確かにあるから。 でも、多くの場合、何かを撮りたいのに撮るものがない時に、しかたなく花を撮っている気がする。本当に撮りたいものに出会えない時の「花頼み」的な。 ところで、

Underground

かつて撮影したフィルム写真の整理に精を出す今日この頃。 初めてNYに行った時の写真を数多発掘。 知らない街で知らない人を観察し、その風景を切り取った写真群を並べて考えるのは、当時の自分のココロの在り場はどこだったのかということ。 この写真はNYの地下鉄で。 きっと自分の向かいに座っている人を撮った。 どうして居眠りしていたその人に向けてシャッターを切ったのか。 なぜあまり治安が良いとは言えない地下鉄で、わざわざ一眼レフをカバンから出してシャッターを切ったのか。 その理

いつもの場所で

空の色は何色だったか

太陽の花

コーヒーブレイク

モノクロ写真の現像 ILFORDの印画紙たちに愛を込めて

かつて撮影したフィルム写真を整理していたら、印画紙(ILFORD)の箱を積み上げた写真が出てきた。 20代半ば過ぎ、写真の勉強をしていた頃の一枚。 当時会社員だった私は、仕事後、夜間の写真専門学校に通っていた。 写真やカメラとはまったく関連のない業界に勤めていたにも関わらず、どうしても写真を基礎から学びたくなったのだ。 特に白黒のフィルム写真に興味があって、写真表現はもちろんのこと、フィルム現像も写真引き伸ばしも、印画紙への現像も、モノクロ写真に関する技術の全てを身につ

雨の休日

ある夏の日

この部屋で、このカメラと

そこにいる事が日常だった