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schoolTakt活用術㊸具体的操作の強みを。

今回は算数の実践紹介。
ちょっと難しい話になりますが、心理学や神経脳科学の発展により、ヒトの脳は系統的に発達していくことがわかってきたんですね。
赤ちゃんとして生まれてから、徐々に身体的な感覚や運動を通じて世界とコネクトできるようになります。
次第に頭で考え、物や言葉を操作することで、世界とコネクトできるようになるのです。これが大体2歳から7歳と言われています。
小学校に入る年齢になると、物を操作しながら、論理的に物事を考えられる段階になります。
そして、中学校に入る年齢になるところで、抽象的概念を使ったり、仮説を立てて考えたりできるようになるのです。
これはピアジェの「発達段階説」としても有名ですね。

ここでいつも疑問に思うことがあります。
「小学校って、具体的な操作をする段階なんだよね?そのわりには、特に算数ってやたら抽象的なものを扱わせていない??」
確かに、低学年のうちは実物やタイルなどを使って、「具体物→半具体物→数などの抽象概念」と段階を追って説明します。
しかし、中学年以降になるとその頻度が極端に減ってはいないでしょうか。
その理由はいくつか考えられるのですが、ちょっと考えてみましょう。
(1)数が大きすぎて、実際にあるものが使えない。
(2)時間がかかりすぎる。そんなことに時間をかけられない。
(3)数字をパズルのように使えば(公式に当てはめるなど)できてしまうので、必要性を感じていない。
あたりなのではないでしょうか。
しかし、これが今の算数における課題を生んでいるんじゃないかと思っています。

たとえば、今の子たちには「量感がない」と言われます。
面積や体積をあてはめる問題で、全国的に顕著に点数が下がるのです。
また、「応用が利かない」とも言われます。
教科書の例題に出てくるような問題や、公式に当てはめるだけの問題なら、世界的に見てもかなり点数が高いのですが、ちょっとだけひねると驚くほどできなくなる傾向があります。
そして、算数嫌い。
苦手になって、ついていけなくなる子が多いのも算数の特徴ではないでしょうか。
これらの課題は、実は脳科学的に見て、もっと具体的な操作をした方がいいんじゃないかというのが私の仮説です。

この流れでいくと、意外に思われる方も多いかもしれませんが、私はICT教材がブレイクスルーの鍵になるんじゃないかと考えています。
バーチャル空間上だと、大量の半具体物を準備するのも容易で、実際に感覚的に動かしながら思考できるんですよね。
物を回転したり、分けてみたり、試しに動かしてまた戻したりすることも可能。
場合によっては実物よりも効果のある操作ができてしまうんです。
たとえば、下の課題テンプレート。

よくある、円の面積を求める公式の考え方ですね。
円を何本もの直径で切断し、平行四辺形に組み替える操作です。
これは紙で実際にやる教室も多いかと思いますが、とれて1時間、そしてゴミが大量に出るw
この操作を、納得いくまで子どもたちにさせてあげられるのが、スクールタクトのよさだなぁと感じています。
実際、私のクラスでも、宿題として家で取り組んだ子もいました。

早く答えを出してくれるのもICTの強みではありますが、一方で試行錯誤に付き合ってくれる、その過程を通して思考を鍛えてくれるICTの使い方もあるんだよなと感じています。

1つのシェアが、学校作りには大きな力となります。少しでも共感していただけるようでしたら、お力お貸しください!