タロウ

障害者30年のプロ障害者。マイノリティであることを活かして発信します。

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  • 「マイノリティスポットライト」によるインタビュー!

    タロウ、まき、春田の有志による先天性身体障害者へのインタビュー企画です。不定期更新です。健常者へはわかりやすく、障害者には共感を得られるように記事を投稿します。

  • 月刊マイノリティマガジン

    • 2本

    障害にまつわる問題に身体障害者であるTaroと春田かリアリズムの視点で発信していきます。

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遊びの師匠が私に教えてくれたこと

#一人じゃ気づけなかったこと 人生において後から「もっと早く気づけばよかった」と思うことは誰にでもある。もし誰かの発言で早い段階でそれに気づければそれは大きな益であり幸運だ。もっとも自分自身がそう言った他者からの益ある発言を受け入れる器がなければならないのだが... 私にとってそういった経験は高校2年生の時だった。私は生まれながら筋疾患があり小学校の時から体育の見学はもちろん体力が必要なことはやったことがない。ステータスで言うならば身体障害者である。5歳時の時点で「身体障

    • 「らしさ」とはなんだろうか?

      先日、snsの友人から「障害者と防災をテーマにリモートで話す場を作りたいのでアシスタントとして共同ホストをやってほしい」と言われ、普段お世話になっているのもあり快諾した。 この座談会は身体障害者向けの単発の企画であったが参加者は18人で予想以上に盛り上がった。 このような多人数でのリモートはなかなか発言がでないことも多いために珍しい。 私自身は正直、防災に興味はなかった。けれども、それは私だけで他の障害者たちは生きることに貪欲な方たちだった。 彼らと話しても私には生に執

      • 筋ジス協会で働く50代女性が「仲間」に向けるメッセージ

        オフラインでは一般論として年齢の上下関係が根強く残っている。これは儒教の名残かと私は嘆いていた。 反面、SNSでは会うまで容姿や年齢がわからないことが多い。それゆえ親子ほど歳が離れていても交流ができる。これもSNSの醍醐味であろう。 今回も私と仲間が行なっているインタビュー企画「マイノリティスポットライト」にゲストを招いた。 これは先天性障害者にインタビューし、障害を掘り下げる人間的探求である。 今回、お話を伺ったのは日本筋ジストロフィー協会某支部で働く50代女性の宮永(

        • noteの創作対大賞2024にエッセイ部門で投稿しようと思ってます。

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        記事

          タロウのプロフィール

          noteを訪れていただいだ読者にわかりやすいために自己紹介記事を貼っておくことにした。 タロウ 1993年生まれ Xアカウント @riichimahjong 首都圏在住 持病の筋疾患(先天性ミオパチー)の進行により大学中退 趣味は聖書を学ぶことと身体障害について調査すること。ヘブライ語や英語を勉強中 noteコンテスト大賞受賞歴有り。 noteでは身体障害にまつわることを中心に発信していく。 バリアフリーなどの社会モデルよりも障害や障害者に関心を持っている。 執筆

          タロウのプロフィール

          [書評]「語りの場からの学問創成 当事者、ケア、コミュニティ」

          京都大学学術出版会では西洋古典叢書というシリーズがあって私は何冊か本棚に置いてある。 西洋古典が好きな人間なら一冊は持っているややマニアックなシリーズだ。年配の方は京都大学と言えば左翼をイメージする方もいるかもしれない。 実は京都大学学術出版会ではマイノリティ向けの本も出版もされている。 「語りの場からの学問創成 当事者、ケア、コミュニティ」は先日出版されたばかりの本だ。 本書は複数の著者により書かれているがその中には当事者研究で有名な熊谷晋一郎がいる。 本書は当事者研

          [書評]「語りの場からの学問創成 当事者、ケア、コミュニティ」

          障害歴30年目に私が伝えたいこと

          私は先天性の障害を抱えている。 先天性ミオパチーという筋疾患で2023年に芥川賞を受賞した作家市川沙央が抱える持病として知名度を上げた。 私は今年で30歳になったが31年も障害者をやっていればわかることもある。そしてそれは意外にも障害者にも健常者にも通じることだった。 先天性にしろ中途障害にしろ、はたまた癌にしても「クジ」を引いてしまった人たちは「なぜ自分が?」と思う人は多い。 理不尽に対する怒りである。 しかし、無情なことに生まれつき障害を持って生まれたり、あるい

          障害歴30年目に私が伝えたいこと

          悲しき障害者

          まえがき現代社会の人々はいつからか自然よりも社会に重きを置くようになりその結果、自然の摂理から離れるようになってしまった。 障害者は英米を起源とする社会モデルという考えによって障害の負の側面を社会に責任転嫁した。 これはマイノリティによるコペルニクス的転換と言える。しかし、障害者たちは社会のバリアを破壊する代償として宇宙における立ち位置を見失うことになってしまった。 同時に障害の本質をも見失ってしまったように思える。 それは真理と真実から遠ざかることに他ならない。 この

          悲しき障害者

          また炎上!車椅子インフルエンサーの「クレイジー」な振る舞い

          車椅子インフルエンサーがまた「放火」したようだ。 ここ数年、Xの障害者界隈で車椅子インフルエンサーが障害について社会に問題提起して炎上するのは珍しいことではなくなった。 この記事で取り上げるのは先日のイオンシネマ某店舗と車椅子インフルエンサーにまつわる一件である。 最初は問題提起であったイオンシネマ側の対応は早く謝罪文を公開したことで炎上は本格化しXのトレンドにランクインした。 こちらが炎上の原因となった元の投稿である。 炎上した張本人である車椅子インフルエンサー中嶋

          また炎上!車椅子インフルエンサーの「クレイジー」な振る舞い

          暗闇に呼ばれて

          日本においてもっとも有名な障害者と言えば乙武洋匡であることは間違いない。 著書である「五体不満足」は希望を与える(障害者にではない!)本と言える。 この本にはなぜか障害者である著者が苦労する描写が極端に少ない。 障害はあるが家庭環境を含めていかに自分が恵まれているかに描写の比重が傾いている。 そしてはっきりとではないが裕福であることが本の中で示唆されているのも見逃せない。 「五体不満足」は障害者にではなく健常者に「障害者だけど頑張っている」という後ろ向きな希望を与える本で

          暗闇に呼ばれて

          少し前に投稿したエッセイを手直して投稿します。

          少し前に投稿したエッセイを手直して投稿します。

          30歳で英語の大切さを悟った話

          「日本なんだから日本語でいい」「英語は使わない」という書き込みをよくネットで見かけます。 英語が必要でないというのは本人が英語が必要でない環境にいるということです。 今まで必要なかったのに何かに挑戦しようとすると英語が必要なる…この記事の趣旨はそんな感じです。 私は現在、古典語の勉強をしているのですが辞書は英語ですので古典語の単語を調べると英語で単語の意味が出てきます。また辞書のイントロダクションなどの文章も英語で。 つまり古典語の意味を調べるために英単語の意味を調べな

          30歳で英語の大切さを悟った話

          身体障害者の心理学[2]環境と適応

          まえがき障害を持って生きることは困難を伴う。生きていく中で大なり小なり障害が人生の障害となる。 私は先天性ミオパチーという筋疾患を持っていて今でこそ外出の際は車椅子を使うが大学一年生で中退するまでは自分で歩行していた。 だからこそ持病がら足の疲れと息切れは日常であったし障害のある身で学校生活を送るにはさまざまな努力が必要であった。 中退後、障害について調べて執筆しようと思い立った時ふと疑問が起こった。 「自分以外の障害者は障害を抱えて生活していく中でどんな工夫をしていた

          身体障害者の心理学[2]環境と適応

          [note書き初め]障害者は障害の専門家である

          #note書き初め 皆さんあけましておめでとうございます。 2024年となりましたがこれを契機に新しいことを始めたいと思う人は少なくないでしょう。 私もしばらくnoteを更新できていなかったので今年の活動を簡単に話させてください。 私は身体障害者についてインタビュー調査をしたりアンケート調査をしたりこうやってnoteで執筆をしたりしています。 しかし私は障害者にまつわる問題について特別思い入れがあるわけではありません。 他の分野では健常者に対して圧倒的に不利な立場で

          [note書き初め]障害者は障害の専門家である

          身体障害者の心理学[1]introduction

          まえがき 私はこれから幾度かの記事に分けて身体障害が人間の心理に与える影響について考察するつもりである。 これを「身体障害者の心理学」と呼ぶことにする(私は身体障害者心理学とも呼んでいるがこちらの方が発音が良い)。noteではいくつかの記事に分けて投稿する予定である。 私は以前から障害が人間の心理に与える影響について興味を持っていた。 電子書籍出版を視野に入れていたが30歳という節目の年になり、また持病を考えればいつ何があってもおかしくはない。 感染症から肺炎への重症化は

          身体障害者の心理学[1]introduction

          [1]「優先エレベーター問題」とは何だったのか

          2023年は何の年だったかと聞かれればそれは人によりそれぞれ答えが異なるでしょう。 ただし、障害者の界隈に限って言うなら「優先エレベーター問題」がある種、「流れ」を形成したように思います。 優先エレベーター問題の盛り上がりは記事の中にある車椅子インフルエンサーであり自称車椅子ギャルさしみちゃんの炎上以降も複数の障害者がX(旧Twitter)で「優先エレベーターに乗れなかった報告」を行うことによって継続しました。 よってこの問題は2023年における障害者の界隈で最も盛り上が

          [1]「優先エレベーター問題」とは何だったのか