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いもうと

「あかちゃんがうまれたよ」
お父さんがやさしいこえでおしえてくれました。
「いもうと?」
「そうや、女の子」
みぃちゃんはホッとしました。
うれしくなりました。
とびはねたくなりました。
「つぎは『いもうと』をうんでね」と
お母さんにおねがいしていたのです。

なつのあつい日、『いもうと』はうまれました。
名まえにはみぃちゃんとおなじ字がひとつ入っています。

まぶしいさかみちをのぼって
みぃちゃんはびょういんへむかいました。
へやに入ると、お母さんはやさしいかおでわらっていました。
「お母さんありがとう」
みぃちゃんはそっと「いもうと」をみました。
ちいさな、ちいさな、「いもうと」
手も足もこんなにちっちゃい!
みぃちゃんは、「いもうと」のほっぺたや手や足を
そっとつつきました。

「ハゲてるな」
とつぜんのお兄ちゃんのことばにみぃちゃんはびっくりしました。
ホンマや、かみがすくないわ・・・
みぃちゃんはしんぱいになりました。
「どうしてかみがすくないの?だいじょうぶやの?」
「だいじょうぶや、ちゃんとかみは、はえてくる、しんぱいないよ」
「お母さんのえいようががたりなかったのかもな」
お父さんとお母さんはわらっています。

お母さん、たいへんやったんやな・・・
みぃちゃんはお母さんをじっとみつめました。
ちいさな『いもうと』をだいじにしたいとおもいました。
かみがすくなくてもいい・・・なんでもいいから、
この『いもうと』をまもる・・・
みぃちゃんはそっと『いもうと』をなでました。

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