とある企画演奏会を運営した話

こんにちは。
先日、好評の中終演した「母親」みたいなゲームタイトル音楽オンリー演奏会で、惜しくもエンディング直前に泣いてしまった主宰です。
普段は一般企業でwebエンジニアをやっています。

私がこの演奏会を立ち上げてから当日を迎えた話や、得た学びの話をつらつらと書かせていただけたらと思います。
記事を書き慣れていないものあって文章が読みにくいかもしれませんが、何卒ご容赦ください。

また、やってよかったなと思うことが書いてありますが、全ての楽団や企画に対して「こうでないと!」と言っているわけではございません。念のため、誤解のないように…🙇‍♂️

▷企画立ち上げ

Twitterには、普段からさまざまなゲーム音楽を吹奏楽で演奏する界隈が存在しています。2020年某日、その中でも仲良くしている友人2名と話している中で「MOTHERシリーズオンリーの吹奏楽演奏会、やりたくね?」と話が挙がり、当企画は発足しました。

私個人として、特に初代MOTHERの音楽に感銘(*)を受けていたので「これはやるしかない!」と使命感を感じたのを覚えています。
(*)感銘の詳細については次項に…。長いので読み飛ばしていただいて構いません。

我々のMOTHERシリーズ知識には偏りがあったので、まずはMOTHER合宿を実施しました。テレビの前にWiiUと男3人。5日ほどかけてアレコレ言いながらMOTHER1~3をクリアしました。

無事クソデカ感情を抱えながらMOTHER合宿は解散。楽曲洗い出しや演奏会に向けた準備に取り掛かるのでした。



▷私とMOTHERの思い出(ここは読み飛ばしていただいて大丈夫です)

(長い自分語りに入ります)(適宜読み飛ばしてください)
中学2年生の頃、私は典型的な引きこもりでした。そんな私が近所のゲームショップで適当に買い漁っていた中古GBAソフトの一本が「MOTHER1+2」でした。

~初代MOTHERで無事に挫折

「スマブラのやつじゃん!RPGならのんびり遊べる(*)!楽しみ!」と意気揚々に挑んだものの、のらイヌに噛みちぎられるわ、おにいさんとおじさんにボコボコにされるわで涙目になったのを鮮明に思い出します。
(*)…MOTHERとの出会いはスマブラで、近所のお兄さんのPKファイアーPKサンダーにボコボコにされて拗ねてた思い出でした。

ポケットモンスター ルビー・サファイアの新設設計に慣れ切っていた自分にこのゲームは難しすぎたのです。ドラゴンクエストⅦと同じくらい心折れてました。初代MOTHER、最序盤のちかしつのカギですら自力では見つけられませんでした。結局攻略サイト頼りに…。

ちなみに、当時の攻略サイトを見ても図解はありませんでしたから、迷子も迷子。サンクスギビング北の岩は砕けずにロイドと共に線路を歩き続けてレインディアへ。アナを仲間にする頃にはニンテンはスーパーヒーリングが使えていました。

心折れながら色々調べた結果「MOTHER百科」なるものの存在を知り、親に頼んで通販で買ってもらいました。これがまぁ最高の本なんですが、ひとまずこれのマップのおかげでなんとかクリアできました。この時の初代MOTHERの感想は「きっといい話なんだろうけど、よく分からんなぁ…」でした。疲れてしまってMOTHER2はやってませんでした。

~ボーカルサントラとの出会い

少し時は流れて中学3年生。ニコニコ動画で弾幕を楽しんでいた折に、MOTHERのボーカルサントラに出会いました。本当に運命でした。それまで洋楽とは縁もゆかりもない育ち方をした上に、クラシック音楽といえば惑星か幻想交響曲か「のだめ」。JPOPも周りが歌っているものだけ。ゲーム音楽はドラクエのオケCD。ジャズ?シングシングシングとA列車!スウィングガールズ🤗みたいな子でした。

なので、ゲーム音楽といえば、どこかの誰かがオーケストラにするか吹奏楽で演奏するか、たまに激ムズピアノピースが売ってるくらいだよなぁ。というなんとも偏っていた世界観を、このアルバムはポップス方面に一気に押し広げてくれました。「え?何このかっこいい音楽?なんでこんなに声がかっこいいの?え?私もこんなガラガラ声になりたいんだが?」(The Paradise Line 初聴の感想)

ボーカルサントラの歌詞和訳を調べて、また衝撃でした。あまりに心が荒んでいたので、そのあまりのストレートさにむず痒くなりながらも心躍らせていました。今でも色褪せることなく、いつ、どの曲を聴いても「新しい!」と感じさせてくれる本当に素敵なアルバムです。今でも全部の曲が大好きです。

~小説とサントラを携えて再度「MOTHER」に挑む(+余談)

そしてついには小説版を発見し購入。これを読んだ後、いてもたってもいられずにMOTHERをもう一周したんですが、まあ面白いこと面白いこと。キャラクターは表情豊かに会話しているし、誰が何を考えているかわかるのです。

ホーリーローリーマウンテンの山小屋のシーンでは、子供ながらよく分からないあのぐっちゃぐちゃで支離滅裂な恋愛感情がBGMに…とかマセたこと考えてた気がします。マジカントの消滅の際には頭の中で「Wisdom of the World」が勝手に流れはじめ、お布団に包まれながら号泣。

(こうして、想像を膨らませながらゲームをする悦びを知りまして、ドラクエⅠ, Ⅱ, Ⅲ, Ⅴ, Ⅶは全て小説を読んでゲームをやりました。うろ覚えですが、小説版ドラクエⅦの髪の毛を切ってもらうシーンありましたよね?キュン死です。あとはテイルズウィーバーとか…。)

そんなこんなでMOTHER2もプレイ。これはゲームとしてとても楽しめました。MOTHERの音楽は鬼だった。の記事との出会いもこの辺り。ニコニコ動画にあるMOTHERのMADも楽しんでいました(smooooch・∀・ は可愛くてお気に入り)。MOTHER3は高校生の時にプレイしましたがお城に潜入できずに詰み、ちょうど部活も忙しくなっていってそのままどこかへ…。

大学〜社会人にかけて、MOTHERの漫画をニコニコ漫画(静画?)で更新してくれてる人もいて、根強い人気だなぁと思い直したこともありますし、大学の後輩とMOTHERの話で仲良くなれたのも良い思い出です。

~改めて「MOTHER合宿」

といった具合に、MOTHERファンとしては浅く、たまに思い返してはボーカルサントラを嗜む程度の社会人になっておりました。

そして今回、企画の話が挙がった時にあったのは、間違いなくボーカルサントラを聴いた時のあの熱い気持ちでした。もしかして、MOTHERの音楽にこんな思いを燻らせてウズウズしている人たち、もっといるんじゃないか?って。浅めの自分ですらこんなにワクワクしているのに、もっとコアなファンがこの企画を耳にしたら絶対喜んでくれるんじゃないか?って。そんなことを考えていました。

MOTHER合宿では初代MOTHERをプレゼン担当してました。プレイ担当には思う存分迷ってもらいつつ、あまりにも外れそうならヒント出すくらいにして。進行した分は漫画MOTHERやボーカルサントラと一緒に楽しみながら。

MOTHER2も3もプレゼンを聞きながら、ゲームとBGMを楽しみ尽くしました。「い〜や、これは演奏できないでしょ!!笑」「どーすんのこの変拍子!!!笑」みたいなことをギャーギャー言ってたかな…?

と、ここまでが私のMOTHER遍歴で御座いました。



▷組織の土台作り

さて、いよいよここから始動なのですが、何から手をつけて良いか全くわかりませんでした。幸いIT企業に勤めていたのもあって、タスク管理ツールやオンラインミーティングについては多少勝手が分かっていました。そのため、会議の進行だけは私が先陣切って行っていました。

~何を決めるか決める

ゼロベースではなく、まずは成功している例から学ぶこと。
我々はまず、偉大な先人たちの型に沿って進行してみることにしました。

どんな演奏会にしたいのか、運営で意見を出し合いました。

  • 何回の練習でどんな演奏にしたいのか

  • お客様は何人集めたいか

  • いつ演奏会を実施するか(他の団体の告知状況は?)

  • 楽団名は

  • 全楽曲洗い出して、メドレーにする順番を決めなければ

  • 予算はいくら使えるのか(他の団体の相場は?)

  • どんな奏者に集まってほしいか(他の団体の基準は?)

  • 権利はどうなっているのか

  • アレンジはどうするのか、指揮者はどうするのか

  • コミュニケーションを取る媒体は

などなど…

~計画を立てて進行してみる

大まかにゴールが見えたところで、タスク管理ツールは色々模索しました。

スプレッドシートでガントチャートを引いてみたり、Torelloつかってみたり、GoogleDoc議事録の最後に最新のタスク状況を書いてみたりしましたが、最後の最後にはnotionのデータベース機能でタスク管理してました。

ただ、今からもう一回やるなら何を使うか、と言われたらかなり悩みますね…。

  • ある程度荒い粒度の親タスクで期間と進捗が確認できる

  • 親タスクの中に子タスク追加ができて、気軽に経緯や資料も残せるもの

となるとnotionで頑張るかJIRA使うかとなって、結局その他機能が便利だからnotionになりそうな気がしました。もっと良いツールがあれば是非教えてください!

と、情報整理を行いながら各々「我々が何をどのように作り上げたいのか」を言語化していきました。

~やっぱり発生するトラブル

そんな中、このチームで確認していなかった重要なことがありました。

「おふたり、前に立って企画を引っ張りたいと思ってる?」

というのも、ノウハウのない我々ではどうしても各所各所で経験豊富な方を招き入れてお力を借りる必要がありました。

私自身「この人数で運営やるって言ってるんだから、それぞれが積極的に色々と考えて動けるでしょう」と甘い考えでした。友人二人がこの楽団で何をしたいのか、どう関わりたいのかのヒアリングを一切していなかったのです。そのため、(あえて書いちゃいますが)お二人とも「指示あったこと以外はどう動いて良いか分からない」と受け身の状態で、例えば、熱く誰かを勧誘しなければいけないような文面もどこか事務的にみえました。

これはアカンと思いつつ、私自身プライベートもバタつき、世間もコロナが流行り始め…という泣きっ面に蜂状態…。「あくまで運営3人が前にいるスタンスは変えずに、代表的なことだけは自分がやる。まず二人には色々な方面の仕事振るから、団との関わりを探ってみて欲しい」「ただ、ちょっと自分自身に覚悟を決める期間が欲しい」と、決意すると共に、少しお休みをいただきました。



▷人集めからのアクセルベタ踏み

~休息明けの再始動

休息から半年ほど時間をいただいている間にアレコレ頭を悩ませ、生活の落ち着きと共に各方面の方針を整理しておりました。再始動の際は「私の名前で代表をやるなら」ということで色々と提案させてもらいました。

当初は指揮も編曲もファンメイド、みんなでお祭り感覚で…などとそれこそトンデモ思考を巡らせていたのですが、「やるなら楽曲ほぼ網羅的に。長丁場のプログラムをファンの皆様に最高のクオリティでお届けすることが最優先だ。」と方針変更。

~権利問題

ついては、各方面アマチュアではなく腕のある方々をお招きしたいと考えました。そこでまず頭をよぎったのは楽曲の権利問題です。ここをある程度クリアにしておかないと、何かトラブルがあった際に招いた方にご迷惑がかかってしまいます。

他の団での対応を聞いて周り、我々は以下で実施判断としました。

  • 演奏会利用については任天堂公式からおふれが出ているのでOK

  • 但し、動画投稿・配信については触れられていないのでやらない

  • JASRACにも利用楽曲について申請&利用料を支払う

…簡単に書きすぎですね、詳細はHPに書きましたのでそちらを…。
(関連の著作者様には編曲についての連絡はとりました)

~声かけ

権利が確認できたところで、各方面プロの方に声かけを開始しました(ここでもトラブルあって団の意思伝達と情報共有を根本から見直しました。Discordがたったのもこの頃)。

また、今まで自分達が立てていた計画がいよいよ動き出すとなった時「このタイミングで〇〇ができているべき」など状況を俯瞰して見ていただけるポジションの方が絶対に必要だと感じてしました。そこで、ゲーム音楽吹奏楽団の団長を勤めている方を運営監督としてお招きしました。

~ホールを抑える

指揮者の方と連絡をとりながら演奏会のホール抽選に。

この時私は関西に移り住んでおりましたので、お2人に手分けして行ってもらってました。それがどうしたことか、両方当選という嬉しい悲鳴…。片方は3人で割り勘してキャンセル。
これ、みんなどうやってるんだろうな…。流石に効率が悪かったです。

そして、時期は早かったものの、ゲネプロの分まで同ホールを確保することができたので非常にラッキーでした。

指揮の先生にすぐ連絡して日程を確定していただけました。

~さらに、声掛け

いよいよホールも確保出来たのでここからは時間との勝負です。必要なポジションの方にどんどん相談しました。

主に運営監督のご紹介のお力もあって、以下のようなとても心強いメンバーをお招きできました。

  • デザイナー:ゲーム音楽合唱団の団長でドット製作に長けている方

  • ステージマネージャー・サブステージマネージャー:プロアマ問わず舞台進行に関わっているご夫妻

また、練習には欠かせない練習会場係で友人を3名。そして、演奏会には欠かせない打楽器の面倒を見てもらえるように、界隈で活躍されていて非常に頼りになる方にお声をかけさせていただきました。

~準備万端

この頃には演奏会で求められる技術のレベル感も見えており、奏者にも事前に知ってもらうため、事前音出し会をやる事に決まりました。
(また、技術やクオリティ関係なく、楽器演奏できるファンを集めてMOTHER楽曲演奏したい!という思いもありました)

この音出し会の日を会場係と指揮者と相談し、編曲者にも納期をお伝えし、デザイナーにもTwitter用アイコン等を依頼し、特設HPを作成し、と怒涛の日々でした。(この準備と並行して、演奏会の練習会場とりも必死に駆け回っていただいておりました。)



▷事前音出し会

~音出し会に向けて

募集もひと段落したので、とにかく会に向けて何をやるかを詰め始めました。
綿密に打ち合わせができているほど当日はスムーズですし、細かすぎることでも話しておいて一切の損はありません。
監督にアドバイスをもらいながら、友人たちと、当日何をしていくべきか割り振っていきました。

そしてプロの編曲家、クオリティと納期のタイトさがすごかったです。
これらの曲をこんな感じで、をスケジュール管理しつつあそこまで表情豊かな作品に仕上げる技術と知識に大変感動しました。
どう進行すれば依頼者が安心するのか、を的確に押さえた進行で、これがプロなのかとわからされました。

エンジニア目線として、やはり「これは〇〇日くらい欲しいんだけどいいかな?」を確固たる技術のもとで提案するのは理想像です。
チームをもって動いてらっしゃるという話も伺いまして、ジャンルは違えど働き方のお手本だなと強く思いました。

~音出し会当日

私はなかなかの記憶力の悪さなのですが、この日のどのタイミングで何が起きていたか、というのは今だに鮮明に思い出せます。
初めての打楽器レンタル担当にドギマギしていたり、
会の進行が無事かどうかハラハラしていたり、
どんなサウンドになるのかなとワクワクしていたり。

Gather にてオンライン打ち上げを実施しましたが、個人的にはこれ大好きだったのでまた使いたいなぁ。。。

本当に良い1日でした!
前に出るのは友人たちと3人で、と決めていたので、私は裏方にいました。ここで挨拶が行き届かなかったのが少し心残りですね…w

~反省会、そして…

順風満帆に練習開始に向けて!ともいかず、やはり運営で不調和が…。
なぜかって?そうです。
「まず二人には色々な方面の仕事振るから、団との関わりを探ってみて欲しい」
この状態で放置してしまっていたにも関わらず、横断的な業務を振りまくっていたからです。これは数ある私の失態の中でも大きなものの一つでした。

ここまでの取り組みを通じてどう関わりたいのか、再度お二人と会話しました。
結果、お二人こんな結論になりました。
Aさん「ぶっちゃけ、横断的な業務は難しかった。どこかの係専属にして欲しい。」
Bさん「積極的に前に出てしっかり運営として存在感を出したい気持ちはある。でもサポートが欲しい。」

というわけで運営としては私とBさんを軸にする体制にシフト。また、これを機に私が明確に代表というポジションに立つことになりました。

(ここからお二人の後日談を先に書いちゃいますね)

Aさんは会計係に移動し、どこまで細かくやって欲しいか、作業手順や連絡などを伝えながら、最後までしっかりこなしてくれました。
Aさんは、私からの支出報告をひたすら受け続けて、計算や辻褄があってるか確認して。私も、逐一帳簿の内容を一緒に確認して。と肩組んでバリバリ進行できました。どの係もトラブルなく実行できたのですが、特にこの係が大きな問題なく完遂できたのは非常に嬉しかったです。
Aさんのマメさや、上手く型にハマった時の「今やって出したるわ!」という爆発力は本当に頼りになりました。

Bさんに対しては、引き続き横断的に業務を投げつつ、必ずアウトプットに対してレビューを返すようにしていました。
「ちょっと誤解を招く文言かも」「次はこんな点を考慮してみるといいかも」「〇〇と言われるかも知れないからこんなことを考えておこう」などなど、どんな風に前に出て行こうか?というのを二人で考え抜きました。
色々悩んでいるだろうな、ちょっと気持ち折れそうかもな、などと文面から感じた時には声をかけました(といいつつ私も大分心配させて声かけてもらってましたが…笑)。
どれだけ迷いそうになっても「堂々と前に出るために」と方向が定まれば奮起してタスクをこなしていく姿はいつも私の励みでした。
最終的にはレビューなしでお任せできるタスクもどんどん増え、代表がやらなきゃいけないこと以外はわりとBさんにお任せ、という体制でした。
私は考えすぎるし、Bさんはスルースキル高めなので、本当にバランス良く議論しながら進行できたかなと思います。

この件をまとめると、組織づくりの上で「あなたはここで、どんな風に何をやりたいですか?」という意志が一致していること。いろんな会社でよく言われること(要出典)ですが、これを実感値、肌感として得られたことが、私にとって宝物のような経験になりました。

(後日談は終わり。演奏会の取り組み開始に時間を戻します。)



▷練習開始

時間を戻します、と言いつつこの項目については時系列ではなく、練習期間にこだわっていたことについてお話させていただこうと思います。

~奏者募集のこだわり

これは奏者のみなさまには大変なご迷惑をおかけしました。
事情があって練習日公開を躊躇ってしまい、事前に参加予定を全てお聞きした上で都合がつきそうな方を…などという大変な暴挙を行ったこと、この場を借りてお詫び申し上げます🙇‍♂️
(普通は、練習日程を公開して参加者側で都合つくのかどうか判断してもらうのが一般的かと思います…)

その他、以下のような観点で募集を行いました(全てを満たす、ではありません)

  • 広報や渉外関係の活動に前向きな方(運営で全ての演奏会関連業務が回せると思っていなかった)

  • オンラインのコミュニケーションに前向きな方

  • 参加費等の入金が問題なくできる、経済的に余裕のある方

  • 演奏技術や歴(任意で、明確に個人の演奏がわかる動画も募集)

  • 合奏指示を共有すること、されることに前向きな方

楽器界隈の中では結構厳しめな要求であったと思いますが、感染症の流行懸念もあって、多い回数で時間をかけてのんびり…とやるわけにはいきませんでした。
そして、短期集中の取り組みでもクオリティを担保するためには「ある回で練習した(打ち合わせた)内容をそれ以降の回で再度拾い直す、ということをどれだけ減らせるか?また演奏会で発揮できるか?」が最重要課題でした。

そんな観点で募った奏者の方々は本当に頼もしい人たちばかりで、とっても幸せな取り組みになったと思っています。

(といいつつ、この後のこだわりも含めて考えるとミスマッチは少々あったので、もっとキッチリ応募フォームを組むべきだったと大きく反省しています)

~練習スタンスへのこだわり

上記最重要課題がなぜ重要だったか、取り組みの途中で数名の奏者の方と壁打ちさせてもらって言語化しました。

「クオリティの担保=打ち合わせ内容の再現度」として、
これに沿って打ち合わせ内容を把握して再現に努める奏者がいるとします。
ここに、打ち合わせ内容を把握せずに合奏参加する奏者が加わると、再現に努めていた奏者も「あー、クオリティって言ってるけど、その程度でいいのね…」と精度の担保を諦めてしまうでしょう。
結果、緻密な打ち合わせ成果の発表ではなく、当日ステージ上での自由演奏大会になってしまうことは容易に想像できます。

そのため、この団としては上記方針や、打ち合わせ内容をパートで共有しておいてね!という発信を数多く実施しました。
(ゲネプロや本番前にも、指示共有の時間を確保しました)
(スムーズな振り返りのために、雑務係の方には大変な労力を割いていただきました。。)
(これを大変窮屈に思う奏者もいらっしゃったかと思いますが、申し訳ございません。。)

結果、打ち合わせたことがひとつ、またひとつとお客さまに対して発表できている感覚のある、練習の全ての回が活かされたステージに仕上がったと実感しています。

~音楽を考えることへのこだわり

私自身「吹奏楽ならこんなサウンドが好きだ」というこだわりがありましたし、回を重ねるごとに奏者からも音楽に対してのこだわりが出てくると思っていました。
なので、団として「ニュアンスとかは指揮者と編曲者に全てお任せ!各個人で好き勝手やってるのでなんかあったら指示よろしゅう!」とはしたくありませんでした(なんか悪い意味で受け身な学生バンドみたいで…)。

きっと、どんな状態がパートでまとまった状態なのか良し悪しのわかる人たちだと信じていましたし、指揮者も専属でなくバンドの各個人を把握できる訳ではありませんし、練習回数が限られている中で全ての曲の各個人の演奏を見れる訳ないですからね。

そのため、仲間内で「ああ思った」「こう思った」があればどんどん声をあげてもらってました。
パート練習やセクション練習に話を持ち込んでもらったり、時には指揮者や編曲者まで、どんどんバンド側から確認したいことを投げました。基礎合奏(バンド全体のサウンドチェック)に昇華した話もありました。

色々な音楽経験をされてきている人の集まりでしたし、合奏に参加してバンドのサウンドを気にかけてくれる非常に前向きな人が何人もいてくれて、本当に嬉しかったです。

~ゲネプロを早めに実施したメリット

練習会場は割と響かない点に対して、ホールは非常に響きのある場所でした。
ゲネプロから本番まで時間があったおかげで、これに合わせてサウンドのバランスをとっていけたのは非常に大きなメリットでした。
ホールの響きは会場によりけりなので、なるべくゲネプロと本番で同じホールを。違うならせめて響きが似ている会場を。と学校の先生や周囲の方が言っていた理由が恐ろしく理解できました。

本当に潤沢に予算があれば、取り組み中期に一回、本番前に一回、本番、なんで贅沢なことができれば良いのですが…😅

~ここまでのまとめ

楽器の上手い下手ではなく「練習にしっかり出て指示を再現できるように頑張っている方や、音楽的なコミュニケーションを積極的にとれる方」を取り組みの軸に置いて拡散してもらう方針にしたため、非常に安定した取り組みになりました。

また、後半では「ここってこういうことでしたっけ?」みたいな確認する声も各所であがっており、とっても嬉かったです。

私の中で思う「みんなで一つのものをしっかり突き詰めて作り上げたい!と思った時の取り組みライン」はここなんだなって改めて実感できました。
(記事冒頭の繰り返しになりますが、全ての楽団の取り組みはこうでないと!と言っているわけではございません。念のため、誤解のないように…🙇‍♂️)



▷広報・集客

いよいよ演奏会も近づいてきました。
このフェーズになると、集客と向き合うことになります。
自分達が必死に作り上げた演奏を、一人でも多くの方にお届けしなければなりません。
我々の取り組みを順番に報告させていただきます。

~実施内容と成果のご報告

広報・集客活動については、さまざまな打ち手を実施しました。

  • 奏者による演奏界隈内での拡散

  • 演奏会宣伝プラットフォームへの掲載依頼

  • 司会をタレントに依頼

  • 奏者による店舗へのチラシ掲載、配置

  • 作品ファンサイトやコミュニティーへの掲載依頼

  • 作品ファンをフォローすることで気づいてもらう

  • 駅改札前の電子広告に掲載依頼

  • 祝電の送信

  • (その他、バズツイートにぶら下げていただいたり、著名な方にRTしてもらったりと助けられたりもしました!大感謝です🥲)

どの経路からもご来場いただいたお客さまがいらっしゃいまして、係の関係者みんなで頑張った成果が出たと思います!

特に効果があったなと実感したのは
「作品ファンをフォローすることで気づいてもらう」
です。
これに関しては理に叶っていると思っておりまして、

  • 組織に財力がない

  • 組織の目的が単一で明確

であることから「メインユーザーをピンポイントに絞って動く方が効率が良い」ということが数字上でも体感できました。
(ある地域に根ざした、とか、何百万何千万と予算がある、とか、広い層に刺さる、とか、とにかく莫大な母数を確保できるならばそちらの結果も見てみたいです。興味。)

具体の結果としては、来場者数700人という規模の演奏会を実施できました!
作品ファンがこんなにも集まってくれたという事実が本当に嬉しいですね…涙



▷演奏会準備

と、準備はこれだけでは終わりませんよ。
ここからは、演奏会をより楽しく飾っていただいた各企画についてご紹介します。

~ホームページ・ツイート

広報っぽいですが、これらは少し役割が異なります。
メインミッションは お客様の「演奏会楽しみ!」を維持すること でした。

「せっかくチケットを取得したけれど、なんかいまいち熱も伝わってこないし、情報も出ないし、いくのやめようかなぁ…」
となってしまっては勿体ないです。

ホームページの拡充、ツイート内容の検討を軸に、さまざまな発信を行いました。

広報やこちらの維持活動の成果もあって、海外のファンコミュニティ(しかも2カ国!)まで反響があったことに正直驚きを隠せませんでした。嬉しい!

~各種演出など

  • グッズ展示
    作品タイトルが絞れている企画だからできたことかな?と思っています。
    レアなものばかりで、正直めちゃくちゃ興奮してました…。
    後から揃えたというわけでもなく、当時ものとして思い出で保管されている方々の思いが詰まったグッズたちでした!

    こちらは、グッズの棚卸をして友人にディスプレイを検討してもらって、と段取りを組めたので大変スムーズに実施できました!

  • ゲームキャラクター再現展示
    主人公の行手を阻むおじゃまキャラ…の看板を関係者以外立ち入り禁止のドアの前に設置しました。
    「作品ファンならここから先には進めないと気付くだろう」という目論見に気付いたお客様のツイートを拝見し、終始ニヤニヤしておりました😏

    こちらも材料や実現方法を制作担当者と検討し、最高の展示になりました!

  • チラシとパンフレット
    最高でしたね…。
    広く世に出回るものなので、キャラクターモロで利用するのは控えましょうという無茶振りから、デザイナーさんと私とで検討をしました。
    キャラクターの未来を描いたデザインに仕上げていただいたときの感動と興奮は忘れられません…!
    そしてパンフレットでは、チラシと比較して製作が完成するようなイラストに仕上げていただきました。ドットだけではなく、その他イラストや写真の採用箇所など本当に絶妙で「これが磨かれたセンス…!」と終始武者震いでした。
    文言や校正は奏者のお力を借りることで、大変クオリティの高い一冊に仕上がりました。
    (余りがあるので配りたい…みなさんにみてほしい…)

  • ゲームキャラクター再現アナウンス
    作品では、主人公の父親がたまに心配して電話をくれるんです。
    初めは口調だけ似せてもらおうと思っていたのですが、やはり着信音も…と思い、奏者の方にお願いして音声を用意していただきました。
    しかもPCだけでなく外部デバイスで簡単に再生できるように機材用意までしてくださって…本当に感謝感謝です。
    そして何より、女性なのに父親役でアナウンスまで引き受けてくださったタレント様に多大なる感謝を!さっとアドリブでフォローいれたりと、プロの技を垣間見ることができました。

  • ゲームキャラクター再現演出
    電話のほか、唐突に写真家が出てきて主人公たちを撮影する謎の演出があるんですよね。
    これは、他団体で実施していたという話を聞いて、リスペクトの思いを込めて採用させていただきました。
    カメラの用意やタイミング合わせ、現像して張り出しなどなど、当日ギリギリまで段取りが確定せずにドキドキしていたのはここです(爆)
    各種段取りを詰めてくれたスタッフの方々、またもや謎の役を担当していただいたタレント様、諸々機転を聞かせてくれたスタッフの方に感謝です。

~段取り打ち合わせ

演出だけでなく、演奏会を問題なくスムーズに進行するためには、段取りを決めておく必要があります。
ここについて多大なるご尽力を賜りました、ステージマネージャーのお二人と受付側チーフに改めて感謝を申し上げます。
他企画のタイムスケジュール・舞台配置図をベースに運営でたたき台を作成し「この項目抜けてない?」「これ備品必要だから用意するよ」「この進行だと流れの効率が〜」などさまざまな観点からのレビューをいただいたお陰で、とてもよい資料になったかと思います。

ステージ側も受付側も、打ち合わせの上で実施を完全にお任せできていたので、奏者である運営2人が当日考えることは「打ち合わせ通りに進行できているかな?」だけでした。そして何も起こらずに無事進行できていたので、運営としてはイレギュラー対応はほぼ何もせず、演奏に120%集中できたと言っても過言ではありません。

進行関連を専任でお任せしておいてよかった、と心から思いました。



▷演奏会

ここまで読んでいただいたみなさまはお分かりかと思いますが、何もいうことがない、私だけのエゴではない、一人一人の想いが詰まった、本当に本当に最高の演奏会をお届けできたのかなと思います。

いただいたアンケートにも全て目を通しております。反省点は多々あるものの「作品ファンの方々が一堂に会して、共通の音楽にいろんな思いを乗せながら楽しむ空間」をみんなで作り上げることができたのだな、と思うと今でも目頭が熱くなります。

本当にありがとうございました。



▷あとがき

ここからは後語りになります。
全体で見ると80人弱の関係者の組織になりました。
なんとか問題なくやり切れたのも「団のどこで何があるかを常に私が把握していて声が届く状態」を維持できたからかなと思っています。

最初は何から何まで「自分が頑張れば…」と思っていましたが、やりたいことが増えていくうちにすぐガタがきました。
「もしかしたら自分の理想にはクオリティや検討が足りないかもしれないが他の人にパスしても良いか?」を基準に、積みタスクをどんどん分けていきました。

この辺りで運営のBさんや妻、会場担当の友人まで巻き込んであれこれ動いてもらうことになってました(雑務係)。

「この件に関しては最終ゴールと方向性、手順だけ伝えるから〇〇さんがリードしてね」を各所お願いして、自分は結果を見て何かあれば声を上げる。
という体制を色々な箇所で組めたのでなんとかキャパオーバー寸前で耐えることができました。
(私生活が諸々犠牲になりましたが…)

ちなみに、次は権利をなんとかして配信利用して海外にも、とか、別の地方も、とか、作品を絞って本当に全曲、とか、色々頭には過るんですよ。
でも、まずはこんな限界生活を支えてくれた妻に対して精一杯の感謝を体現することが先だろうと。生活基盤であり応援してくれた会社に貢献することが先だろうと。
そんな感じですので、一旦次の話は無期限冷凍保存中でございます。

一人の家庭をもつ社会人として、少しでも自信を持って生活していけるように精進していきます。

この取り組みは、私生活からプライベート、仕事のことまで全部に学びを見出すものになりました。
ここで起こった成功や失敗は、全て私の胸に深く刻みこまれています。
*この記事に書けてないことも色々あるんですが、忘れてません。ちゃんと覚えています、ご安心を。

これも、関わっていただいたみなさまがいたからこそ経験できたことです。

みなさま
忙しい日々の時間の中で、少しでもこの企画に意識を向けてくれたこと、本当に嬉しかったです。最大限の感謝をみなさまに。



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