自説を述べる簡単な一文の書き方

 久しぶりの note 投稿をしてみます。

 在米の神経学者である、ずかし師が「パラグラフライティング講座」を note で執筆されており、大変に参考になります。一読をお勧めします。このずかし師の記事と同じように、ちょっとした文の書き方を今回はまとめてみたいと思います。

 名付けて「自説を述べる簡単な一文の書き方」。
 パラグラフライティングは、ずかし師の note にあるように組み立てて行くのがよいと思います。木の山では無くおうちをつくる方法。

 今回はちょっと別の観点から、「論理構成と接続詞の使い方」に着目して短文を作成する方法を述べてみたいと思います。


基本的な文の組み立て方

 これについては完全に、ずかし師の note と同じモノを基本型として採用します。すなわち以下の形式になります。

図1

 どうしてこうなるのかは、ずかし師の「パラグラフライティング講座」を読んでくださいね。理由は3つである必要はないことなども書かれていますよ。

文を書く際の要素

 さて、今回は「自説を述べる簡単な一文の書き方」をまとめているのでした。自説を述べると言うことは、

 ① まずは自分の述べたい・主張したいことがある(結論)

のは当然のことながら、

 ② なぜそれを述べたいのか(動機)
 ③ どうしてそう主張できるのか(理由)
 ④ それを主張するに至った背景(背景)

などが有るわけであり、そして、明確にこれは繰り返しですが、

 ⑤ 述べたい結論(再度結論、相手を説得する、納得させるべきコト)

が有るわけですね。いずれにせよ、読んだ人に文の背景と内容を理解してもらい、そして結論を納得してもらうという、説得のプロセスが文に入ること、これが大事なわけですね。

主張したいこと、結論までの流れをみてみる

 繰り返し宣伝しながら行きますが、ずかし師の「パラグラフライティング講座」を読んでいただくと、構成は理解できると思うのです。

 今回は、「Twitter では議論をすべきではない理由」という形で文を書いてみたいと思います。

 まずは今回は ①・⑤にあたる結論、これは明白で、「Twitter では議論をすべきではない」ということになります。
 次に、理由がなくては当然主張できませんので理由を挙げておきます。

 1.Twitter は140文字が基本で、効果的・論理的に伝えるのが困難
 2.Twitter では文の構成が読み取りにくい
 3.Twitter では書き通す前にクソの様なリプライが入り邪魔
 4.Twitter にいる人ってそもそも議論できない人の方が…
 5. …

 ま、理由はなんでもよいのですが、自分の結論をサポートするものをまずは用意します。そして、論点が正しいかどうかとかは今回はどうでも良いのです。あくまでも文の構成のための例示です。

理由を元に結論文を書く

 理由の項目をサマライズし、論理的につながるようにして結論を書いてしまいます。シンプルに読みやすくが良いですよね。
 今回の解説では、接続詞も大切にしたいと思っていますが、とりあえず、結論の文では、「よって」を使うことを基本、としてみます。ここは、このように、などでも行けます。

 よって、Twitter は一つのつぶやきは140文字を基本として短文形式であり論理的に説明を行うには非常に短いことが問題となり、文の構成も読み取りにくい。また、書いている文の途中でどうしようもないリプライなどが入ることも冷静に読ませることを阻害する。さらには、根本的なことであるが、Twitter にいる人は議論ができない人が非常に多く、そもそも論理的な文を提示し議論をする場所ではない。Twitter では議論をすべきではない。

 接続詞を大事にしたいと思います。理由の解決策も盛り込んで書くのが大事ですが、今回は全否定の結論なのでとりあえず一文でしめています。あくまでもこれは構成の話。

各パラグラフを組み立てる

 理由を述べるパラグラフから参りましょう。
 理由については論点を明示することが重要。
 そして引用や具体例を挙げること、これも重要になります。

 Twitter の一つのつぶやきは140文字までである(引用)。通常、一文の長さはコレコレであり(引用)、アレコレを述べるにはコレコレ程度の長さの言葉が必要とされることが多い。短い文字数では十分に言いたいことを述べることができないことが多い。

 説得力は今回はなくてよいのです、あくまでも構成の話。
 さて、続き、次のパラグラフもやっつけましょう。

 Twitter は文字数制限があるのみならず、文の構成が読み取りにくくなることが多い。ツリーと言われる構造を持たせて延々と文を書くこともできるが、文字数の多いプラットフォームに比べると読みやすいとは言えず、内容も伝わりにくくなることが多い。

 「Twitter は文字数制限があるのみならず」は前のパラグラフをうけての移行部分(transition)になっていますが、まぁこういうテクニックは、ずかし師の note の続きを待ちたい。

 また、つぶやきを連続で投稿していても、間に余計なリプライなど他者のつぶやきが入ってくることもあり、論理的に冷静に読ませることを阻害することも多い(事例を挙げられるとなおよい)。

 理由はいくつあってもよく、おなじ構成でやっていきます。

 そもそも、Twitter でつぶやいている人は冷静に議論したり論理的に思考したりする人が多いというわけではない(引用または事例等)。そのような場所でいくら論理的に物事を述べようとしても、まともに受け取られることはなく、労力の無駄となることが多いのは明白である。


書き出しのパラグラフへ

 書き出しのパラグラフは、方向性を示し、全体をまとめ、結論を端的にt述べてしまう、これが大事になります。

 Twitter では多くの論争や炎上がなされているが、これらが有益であるとは言えない。Twitter は文字数をはじめ形式的に論理的な議論を行うのには適しておらず、論理展開を阻害されることも多く、端的に議論には向かない。また、そもそも Twitter にいる人は論理的に議論できる人が多いということもなく、まともな議論が成り立たないことも多い。Twitterで議論することは無益である。

 各パラグラフ内でも論理構成は、

図1

 これになっていて、入れ子構造ですね。ここもずかし師の note が重要。

検討と説得力アップのための構成

 さて、ここまでは前振り。ここからが本番です。
 自説を必死にのべ、その結論をサポートするのに肯定的な意見・事例ばかりを羅列することについてどう感じますか?きわめて一方的にとらえられるでしょう。

 そもそも、議論するときには、意見があり、反対意見があり、というように、究極には反対意見、そうでなくてもさまざまな視点からのとらえ方があるものです。それらを無視して一方的に自分の主張を述べるのは、議論ではないですし、そもそもそういう人は浮きます。説得力もない。

 というわけで、反対意見、というものを考慮して、それらを踏まえても、こうやって説得するよ、ということ、これを一文のなかでやってしまうことが非常に効果的になる場合が多いのです。それをやっていきましょう。

 ゴールを先に見せてしまいます。こういう形式を目指します。

図2

 反対意見の紹介、再反論、もう一押し、というものが加わっています。これを見ていきましょう


反対意見の紹介

 たいてい何でも主張すること(テーゼ)については反対意見(アンチテーゼ)があるものです。今回の文例で行ってしまえば、Twitter で議論するのは有益である。という結論になるような言説・理由はすべて反対意見反対立証ということになってきますね。

 こういった反対意見を一切無視して一方的に自己の主張を書き連ねるのは一方的で押せ押せで説得力も今一つ、むしろ強引さと幼稚さ的なものが目立ってしまうことにもなりかねないわけですね。そこで、反対意見との対話的なもの、反対意見を無視していないよという態度、反対意見も検討しましたよという議論部分を明示することをしていきます。


反対意見紹介は、接続詞「たしかに」で始める

 ここまでは、結論、理由①・②…、と述べてきましたが、反対意見をここで紹介し、それについて検討するということをやります。なので、反対意見を紹介するパラグラフを用意することになります。
 パラグラフの内容は、反対の結論となる部分を明示し、理由、と同じで、反対意見をサポートする事例等を上げていきます。
 そして、このパラグラフを始める際の接続詞としては、たしかに、を用いると効果的なのです。
 やってみましょう。

 たしかに、Twitter でも議論は成り立つという意見もある。Twitter の形式は短文であるがうまくツリーをつなぎ、パラグラフライティングの要領を応用して明確な論理構成を行うことも可能であろう。また、Twitter には多くの人がおり、その中には文意をくみ取り冷静に議論できる人もいる。書き方と相手を選べば議論が成立することもある。

 こういう感じです。自分の結論とは逆の、反対意見であるとか違う視点からの意見を、たしかに、を用いて紹介します。


やられっぱなしではいけない、意見のキャッチボール

 反論されたらされっぱなしではいけないわけです。なぜなら、これは、「自説を述べる簡単な一文の書き方」なのですから。究極的に相手を説得することを目指しているわけで、反対意見は論駁していかなくてはなりません。そこで、再反論を行います。
 再反論については、たしかに、ではじまった反対意見に対応するように、それに反論していく、または、それを踏まえても、自分の結論のほうが総合的に妥当となる事例を紹介する、等、議論を展開します。
 今回は議論の展開が目的ではなく、文の構成の話なので、あくまでも構成だけで行きます。

 しかし、実際問題として140文字をつらねた形式でわかりやすく論理展開できる人は限られている。空気どころか文も、文意も読み取らないクソリプラーはあふれており議論の邪魔となるのも事実である。そういった議論できない人も多く、これらの邪魔も非常に多い。結局、Twitter での議論が成り立つことは少ないように思える。

 このように、自説結論・理由→反論→再反論 と組み立ててきましたが、これだけであると、対等程度になることも多いのですね。そこで次です。


もう一押しのために

 テーゼがあればアンチテーゼがあり、シンテーゼが…などということはやりいません。論理学や修辞学については別の機会に。あくまでもここは文の構成について考えています。

 組み立てとしては、そうなるともう一押しというパートです。
 このパートは、反論と再反論という議論を行ったうえで、さらにまだ自説を補強する余剰部分や、ちょっとメタな視点から、またできれば別解を示すような形で議論をまとめて自説の結論を説得力のあるものにするものです。
 接続詞はいくつも考えられますが、さらには、などで補強することも有用でしょう。
 このパラグラフで述べたことを、最後の結論・しめのパラグラフにも追記していくことで全体の構成の整合性をとりましょう。

 さらには、Twitter で議論を始めると多くの人がよってきて「炎上」することもあり、本来の議論の目的や方向性が失われることも多くある。まともに議論できる人の割合などを考えてもコストパフォーマンスが良いとは言えない。そして、Twitter 以外にも言説を表明することのできるプラットフォームはいくらでもあり、よりよい質の論者がいるものもあるわけである。

 というわけで見返してみましょう。

文の全体像

 最終形態はこんな感じになります。
 これはあくまでも構成の話、としてやってきましたので、議論の内容は今回はどうでもよく、構成を見てください。

図3

 この構成をとることで、自説・主張をのべ、議論相手の意見もくみ取り考慮し、そして反論したうえで、なおかつ自分の意見の優位性も示し、説得をしよう、というそういうことを目指すことができるわけです。

 今回はなぜならなどは使っていませんが、接続詞を意識すると論理構成が見やすくなることにも注目しつつ、なのですね。

 というわけで成果物。

 Twitter では多くの論争や炎上がなされているが、これらが有益であるとは言えない。Twitter は文字数をはじめ形式的に論理的な議論を行うのには適しておらず、論理展開を阻害されることも多く、端的に議論には向かない。また、そもそも Twitter にいる人は論理的に議論できる人が多いということもなく、まともな議論が成り立たないことも多い。Twitterで議論することは無益である。

 Twitter の一つのつぶやきは140文字までである(引用)。通常、一文の長さはコレコレであり(引用)、アレコレを述べるにはコレコレ程度の長さの言葉が必要とされることが多い。短い文字数では十分に言いたいことを述べることができないことが多い。
 Twitter は文字数制限があるのみならず、文の構成が読み取りにくくなることが多い。ツリーと言われる構造を持たせて延々と文を書くこともできるが、文字数の多いプラットフォームに比べると読みやすいとは言えず、内容も伝わりにくくなることが多い。
 また、つぶやきを連続で投稿していても、間に余計なリプライなど他者のつぶやきが入ってくることもあり、論理的に冷静に読ませることを阻害することも多い(事例を挙げられるとなおよい)。
 そもそも、Twitter でつぶやいている人は冷静に議論したり論理的に思考したりする人が多いというわけではない(引用または事例等)。そのような場所でいくら論理的に物事を述べようとしても、まともに受け取られることはなく、労力の無駄となることが多いのは明白である。

 たしかに、Twitter でも議論は成り立つという意見もある。Twitter の形式は短文であるがうまくツリーをつなぎ、パラグラフライティングの要領を応用して明確な論理構成を行うことも可能であろう。また、Twitter には多くの人がおり、その中には文意をくみ取り冷静に議論できる人もいる。書き方と相手を選べば議論が成立することもある。

 しかし、実際問題として140文字をつらねた形式でわかりやすく論理展開できる人は限られている。空気どころか文も、文意も読み取らないクソリプラーはあふれており議論の邪魔となるのも事実である。そういった議論できない人も多く、これらの邪魔も非常に多い。結局、Twitter での議論が成り立つことは少ないように思える。

 さらには、Twitter で議論を始めると多くの人がよってきて「炎上」することもあり、本来の議論の目的や方向性が失われることも多くある。まともに議論できる人の割合などを考えてもコストパフォーマンスが良いとは言えない。そして、Twitter 以外にも言説を表明することのできるプラットフォームはいくらでもあり、よりよい質の論者がいるものもあるわけである。

 よって、Twitter では議論をすべきではない。Twitter は一つのつぶやきは140文字を基本として短文形式であり論理的に説明を行うには非常に短いことが問題となり、文の構成も読み取りにくい。また、書いている文の途中でどうしようもないリプライなどが入ることも冷静に読ませることを阻害する。さらには、根本的なことであるが、Twitter にいる人は議論ができない人が非常に多く、そもそも論理的な文を提示し議論をする場所ではない。コストパフォーマンスも考え、他の議論に適したプラットフォームもあるわけで無理に Twitter を使う必要はない。Twitter では議論をすべきではない。


おわりに

 というわけで、ずかし師の「パラグラフライティング講座」 note に乗っかる形で簡単なまとめとして、「自説を述べる簡単な一文の書き方」をまとめました。今回も無料 note としておきたいとおもいます。
 ご指摘や反論、議論については、Twitter (@minesoh)までお願いします!

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