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第34回東京国際映画祭に通ったリアルすぎる感想【2021】苦言になりました……

第34回東京国際映画祭が本日終了しました。実は今年から、開催会場が六本木から日比谷・銀座地区へ移転しています。

今年の開催概要は、こちらの記事にまとめています↓

今年から、コンペティション部門のプログラミング・ディレクターも変わり、リニューアルした東京国際映画祭。

自分の仕事の都合上、4日間しか会場に通えず、鑑賞できた映画も7本でした。(昨年は13本)
今回、とても正直な感想を書こうと思います。

東京国際映画祭は、「東京都民に知られていない映画祭だなぁ」と改めて感じてしまいました。
もっと、盛り上がってほしいなぁ。と。
日比谷に移転したら、「お祭り要素が増えるかも?」と思っていたのですが、実際はそうでもなかったです。

まず、昨年までの六本木のTOHOシネマズでの一箇所集中ではなく、主に5つの映画館で参加作品が上映されたことで、銀座を歩く時間が追加されたわけです。
会場は、TOHOシネマズシャンテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネスイッチ銀座、角川シネマ有楽町、読売ホールと、離れているといえば離れてますが、苦にならない範囲ではあったかなと個人的には思いました。

ただし、わたしは銀座を歩くことが好きだし、映画館の場所も把握しているので、歩くのは苦にならないのですが、今回はじめて参加する人や、あまり映画は見ないけどやってきたという人には、場所が離れているというのはかなり不親切だとも思います。

ミッドタウン日比谷には、TOHOの超立派な映画館があるのですが、あえてそこに一極集中しないように配慮したのでしょうか。

また、チケットブースの場所が、有楽町駅前だったのですが、それも場所がそこでいいのか?と疑問には感じました。ミッドタウンの広場のほうがいいのではないでしょうか?
野外映画館になっているから場所がないのかな……。

有楽町駅前を通るのは映画を鑑賞し終わった夜だったので、どのくらいの賑わいがあったのか、チェックできなかったのが残念です。
場所が複数に分かれてしまうと、どれだけの人たちが映画祭に参加しているのか、より分かりづらくなるなとは思いました。

六本木の会場は、ヒルズのTOHO前の広場にチケットブースがあり、「へえ、こんなのやってるんだ」と足を止めてポスターを見るカップルがいたり、海外から来日中の女優さんや監督たちが、広場のカフェスペースに座っていたりして、ちょっとドキドキする瞬間があったりしたのですが、銀座という広いエリアでは、そういう刺激的な体験は難しいですね。

また、日比谷&銀座という常に混雑している場所なので、そこで「東京国際映画祭が行われている」ということを、「どれだけの人たちが認知しながら銀ぶらしているんだろう?」という疑問は感じました。
コシノジュンコさん監修の目を引くポスターも、ミッドタウン日比谷には大きく掲げられていますが、シネスイッチ周辺では、通常の光景だったので、もう少しアピールしてもよかったのかなとは思います。

東京国際映画祭は、東京都民にあまり認知されていない映画祭でもあるんですよね。
実は文化庁が支援して、東京都と経済産業省が協賛している映画祭でもあります。コンペティション部門のグランプリは、(東京都知事賞)でもありますし、なぜ、もっと東京都民にアピールをしないのかという疑問は今までも持っていました。

今のままでは、一部の映画関係者と、一部の映画ファンが参加する映画祭になってしまいます。
東京都民は500円引きとか、それくらいのサービスをしてもいいではないでしょうか。もっと、東京都民に興味を持ってもらう映画祭にしていってほしいという思いがあります。
人が殺到して、チケットが取れなくなってしまうのは残念ですが、新たな映画ファンを開拓していくことが重要だと思うのです。

個人的な意見ですが、観客として通う東京国際映画祭の一番の醍醐味は、映画鑑賞後のアフタートークにあると思っています。
監督や俳優たちなどの、映画製作の秘話を直接聞けるチャンスは、かなり貴重で、毎回楽しみだったので、チケットを購入して鑑賞していました。

昨年のコロナ過の開催でも、魅力的なアフタートークがたくさんあったのですが、今年は、「行きたい」と思うイベントがかなり少なかったです。
もちろん、海外の関係者が来日できないというのが一番の理由ではありますが、昨年はそれでもワクワクするイベントがあったのです。

今年のオンライントークは、回線のトラブルが多くて、せっかくの貴重な話が聞き取りづらく非常に残念でした。

来年は、海外の監督たちも来日できると思うので(そうなってほしい)、ぜひ、もう少しアフタートークイベントに力をいれてほしいです。

また、今回女性監督のノミネート数が過去に比べるとダントツに多かったのですが、東京国際映画祭でもジェンダーの平等を目指すという体制に変化していくようです。
このような公式発表がありました。

映画祭の選考委員、作品の監督・キャスト・スタッフなどについての男女平等を推進している「Collectif 50/50」という国際的活動があります。応募作品の監督などの男女比の統計調査、選考委員の男女比の公表、映画祭の実行役員の男女比の公表などを明文化した同団体の誓約書に署名することを検討してきた結果、東京国際映画祭も3月8日の国際女性デーに合わせ署名を行いました。この誓約書には既に、カンヌ、べルリン、ヴェネチアを初め世界の156の映画祭が署名済ですが、アジアの映画祭としては東京国際映画祭が初めての署名となります。

ただ、映画界でのジェンダー平等の問題は、女性監督の映画を増やせばよいというだけでは、進まないと思うのです。
もちろん、形として、女性監督の割合を増やすというのは重要ですが、ぜひともそれだけで終わらないようにしていってもらいたいなと思います。

上映する映画は女性監督のものを増やしましたと発表しても、運営する側のスタッフの幹部に、意見を言える女性がいなかった意味がないです。
運営側の改革も行っているのであれば、ぜひそれも発表してほしいです。

昨年から、アップリンク、ユジク阿佐ヶ谷、立誠シネマ、出町座などのミニシアターの問題が告発されています。
「文句を言わず無給でも働かなくちゃ映画愛がない」という圧力をかけられた従業員たちが一番懸念しているのは、「労働者の権利をないがしろにされた従業員が働く映画館で、上映しているのが平等や貧困を扱う社会派の映画だ」という告発に、わたしは胸が締め付けられてしまって、しばらく映画を映画館で鑑賞したいという気が失せてしまいました。

この問題は、決してミニシアターだけの問題ではありません。
もっと大きな映画館や、映画祭、映画製作の現場でも存在することだと思ってます。
映画ファンの中にも、「その意見には映画愛がない」などど上から目線で言ってくる偉ぶった人もいます。
映画愛って本来は、強制したり圧力をかけるものではないはずです。
この問題を解決していかないと、日本の映画そのものを楽しめなくなってしまうという危機感も感じています。

だから、今回リニューアルした東京国際映画祭の今後の行方には注目しているのです。
どのように変化していくか、東京都民としても注視していきたいです。

※鑑賞した映画について紹介しようと思ったのですが、こんな苦言になってしまいました…… 。

次回、映画について楽しくご紹介させてください。


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