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喜んで喜ばれる世界へ 〜西表島・石垣島の旅〜 ⑤

2023.5.19

朝早く目が覚めた。夜中に雨が降った後、何だかいろんな生き物の声が聞こえて熟睡できなかった。せっかく早く目が覚めたのだからと早朝散歩することにした。

生き物や植物の気配が強い朝

鳥やカエル、虫、いろんな生命が1日の始まりを祝うように歌ってる。その声に圧倒されながら散歩していたら私も様々な生命の歌声と一緒に歌いたくなって、この景色に合う歌を口ずさんだ。


散歩しながらたくさんの鳴き声と共に歌ったら何だか落ち着いて部屋に帰って少し眠った。

この日は西表島の西部地区から東部地区まで移動する日。農作業はせずに部屋の片付けと掃除をすることになっている。お別れの日というのもあって朝食の卵焼きを作った。

結局卵焼きしか作れなかったが…。

2日間使わせていただいた部屋を掃除し、トイレやシャワールームを掃除して東部から迎えに来てくれる友人のリョヲちゃんと大富売店のアイさんを待った。リョヲちゃんから、この日アイさんが大浜農園の卵を買い付けに行くこと、この日が誕生日だと聞いて一緒に迎えに行くと聞いていた。

お昼過ぎに迎えに来てくれたリョヲちゃん。初めましてのアイさん。荷物を積んで、アイさんが卵を購入して出発すると、リョヲちゃんが「アイさん今日誕生日だし、峰子さんも5月誕生日だからお昼ご飯をご馳走したい!」と、祖内の子午線モニュメント近くにある「リストランテ テラ・イリオモテ」に連れて行ってくれた。

ここで西表島ワンポイント知識。私が住む兵庫県の明石に日本の標準時子午線東経135度がある。それは皆さんご存知であろう。そして、この西表島の祖内には東経123.456789度という冗談みたいな場所があるのだ。

これは2018年の写真
東経123.456789度

そんな稀有な場所にある「リストランテ テラ・イリオモテ」

まるで都心のレストランのような店内から見えるのんびりとした西表島の景色がいい。

テーブル席と景色を眺められるカウンター席があります
世界遺産 西表島 × 全世界 = 地球

ランチコースは3種類あり、3人とも真ん中のコースを選んだ。

まずは西表島で採れた新鮮な野菜たちとホロホロになるまで煮込んだ鶏肉のスープ。お口の中でいろんな味がする。いろんな味がするけど、ひとつひとつの素材の味が出ているのに繊細で調和された奥深いお味だった。

スープ美味しかった!

メインのパスタは島カボチャとツナのオイルパスタ。島カボチャ以外にも様々な島野菜が入っていて、薄くスライスされたカボチャはまるで茄子のようで意外な味わいだった。カボチャのパスタといえばクリームソースが定番なところをオイルパスタに! そんな新鮮な感動がある美味しいパスタでした!

島野菜もたっぷり

そしてデザートはジェラート! 数種類のジェラートの中から、私は西表島の塩ジェラートを選んだ。お塩は西表島の海水からできた塩を使っているそうです。

驚いたのはオリーブオイルがソースとしてかかっていること! ジェラートにオリーブオイル!?と驚いたのですが、なかなかどうして、コレが本当に美味しい!! オイル無しのジェラートは爽やかな塩バニラ味なんだけど、オリーブオイルがかかると俄然コクが生まれる。コレは大人だからこそわかる味わいかも知れないけど本当に美味しい!! リョヲちゃんが頼んだ黒糖ラムジェラートも一口いただいたけど美味しかったー。

西表島の塩ジェラート

こちらのお店はランチとディナー営業をしていますが、単品のジェラートも店内で召し上がることができます。西表島にしては価格設定がお高いかも知れませんが、それはきっとオーナーシェフの鄭さんが西表島や西表島の食材に価値を感じているからこそ。ひとつひとつ丁寧に作られた美しい料理を是非とも堪能してほしい。


舌も心も満足した我々。次に私が17年前に西表島に住んでいた干立村に立ち寄った。

無形文化財の節祭が行われる場所でもあります

まずは御嶽に帰って来たことと集落を散策させていただくご挨拶をしてから、懐かしい浜に出た。

鯉のぼりがいた
しばらく海に足をつけた
リョヲちゃんと

たった1年しか居なかったけど、ここで過ごした1年に様々な思い出が詰まっている。子どもの頃に体験したかったことが体験でき、失敗を恐れてばかりだった私の殻をバキバキ剥がされた大切な場所。

しばらく思い出の地へ浸っていたらトイレに行きたくなり、ここから近くの公衆トイレは…と連れて行ってもらった場所もまた思い出の地でした。

祖内
まるまぼんさんと慕われる孤島

仕事終わりにスーパー星砂でビールを買ってはこの浜まで歩き、まるまぼんさんを見ながら歌を口ずさんでいた。トイレに立ち寄っただけなはずが「ココだな!」と思った。

実はリョヲちゃんから、アイさんが誕生日だから、どんとの「おめでとう」を歌ってほしいと頼まれていたのだ。浦内川の展望台がいいかなと思っていたのだけど「ここしかない!」という直感のままリョヲちゃんに耳打ちした。

アイさんにはさりげなく「ここでよくビール飲みながら歌を口ずさんでたから歌いたくなっちゃって!」と言いながら徐ろにギターを出す私。

まるまぼんさんを見ながら、まずは3曲当時の私とまるまぼんさんに向けて歌った。それからアイさんへの誕生日を祝って、どんとの「おめでとう」を歌った。

アイさんの誕生日を祝い捧げた「おめでとう」

アイさんは「こんな誕生日は初めてだ」と喜んでくれた。最後に成長した私をまるまぼんさんに見て聴いて欲しくてオリジナル曲を歌った。

西表島への感謝の気持ち、この場所で祝わせて歌わせてくれたリョヲちゃんとアイさんへの感謝の気持ち、ここまでこれた自分への感謝の気持ち、いろんな気持ちな静かに湧き上がった。

アイさんへの誕生日プレゼントミッションを終え、東部へ移動する最中に車から綺麗な夕暮れが見えてきた。アイさんとリョヲちゃんがあそこがいいんじゃないか? と夕暮れを見に連れて行ってくれた。

西表島東部の夕焼け

夕焼けを見た展望台近くに牧場があったので、ひと通り夕焼けを堪能してから牛がいる場所へ行った。牛を眺めていると何故か牛が一頭一頭近寄って来る。しかも何だかアイドルの握手会みたいに、しばらく私の前で立ち止まっては退いて、律儀に次の牛がやって来るというミラクル。

牛がめっちゃくる
順番に訪れる牛

リョヲちゃんやアイさんのところには来ず、何故か私のところに列を成す牛が面白くて、リョヲちゃんが「峰子さん、牛に歌ってみたら? どうなるか見てみたい!」と提案した。

オーデェンスは牛
牛に向けて歌う

牛をオーデェンスにして歌う。何ともシュールなシチュエーションに笑えたけど、この牛たちは恐らく食用にされる。そう感じたら、その生命に真摯に歌を届けたいと思った。途中から心持を変えて歌ったら、何だか牛がじっくり歌を聴いてくれているのが肌で感じた。

牛が聴いているのを感じたのは私だけではなく、リョヲちゃんもアイさんも感じていた。すごく不思議な時間だった。

日が暮れる前に大富に着き、夜はリョヲちゃんのお家でご近所さんも交えてゆっくり話して夜がふけていった。

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