みなとせ はる

20.8.18〜小説🖊創作大賞2023中間選考通過。noteを始めて3年が経ちました。…

みなとせ はる

20.8.18〜小説🖊創作大賞2023中間選考通過。noteを始めて3年が経ちました。noteを通して「伝える」ということに向き合いながら文章を紡いでいます。メンバーシップ【Uraraka】は一周年を迎えました。連載小説「執事はバッドエンドを導かない」を隔日更新中。

メンバーシップに加入する

《只今、活動は休止しています》 ■何をするコミュニティ? 「Uraraka」では、今ある【感情を受け入れる】ことで「自分の大切さ」に気づき、自分を好きになることを目的としています。 ◎NLPプラクティショナー資格保持のみなとせが、週に二度、役立つ情報を提供します。 《例》・あなどってはいけない「言葉の力」・ 効果的な「目標」の作り方 ◎その他にも、気づきをシェアできるように掲示板に投稿していきます。 ■どんな方に来てほしい?  ・自分を否定してしまいがちな方。  ・自分の心と向き合ってみたい方。  ・表現や記事の公開に怖さがある方。など。 ■大事にしたいこと  安心できる【皆が心地良くいられる場所】を心がけていきましょう。

  • 【創作×感情を受け入れる×自分を好きになる】Uraraka

    ¥800 / 月

マガジン

  • 連載小説「執事はバッドエンドを導かない」

    書いた物語が実現するという不思議な「本」を持つ呪われた少女の専属執事となったカイン。 不気味なことばかり起こる孤島の屋敷で、彼は無事に試用期間を終えることができるのか。 遠い昔に忘れた「何か」に触れる物語。 (2024年4月~)

  • noteの栞

    これから読みたい物語の栞。主に創作大賞用の作品を拝読しています。 マガジンのお知らせに驚かせてしまっていたら、すみません🙇‍♀

  • 大切な思い出たち

    noteのつながりからいただいた、大切な思い出たち。 素敵なイベントや作品に触れさせていただいた思い出。

  • 連載小説「はつこひ」(全18話)

    蝶子の店には、今日も田中様がネイルにやって来る。娘のカイヤさんの誕生日に青色のネイルをプレゼントすると、彼女の腕の表面に痛みをみつけて……。(2023年12月~2024年4月)

  • 短編小説作品集1

    初期の短編小説集。物語の中の日常を伝えられますように。

最近の記事

  • 固定された記事

【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない 」第一話(創作大賞2024・ファンタジー小説部門応募作品)

※この小説は、創作大賞2024「ファンタジー小説部門」応募作品です。 プロローグ  遠い昔、村に魔女がやって来ました。  村の少女が「病気の母を助けてほしい」と懇願すると、魔女はこう言います。 「かわいいお前のためだ。その願いをきいてやろう。けれど、お前も相応のものを払わねばいけないよ。私が持っているいくつかの呪いのうち、一つをお前が代わりに引き受けてくれるかい」    少女は何だかとても恐ろしい気持ちになりましたが、母親に必要な薬を買うお金がすでに尽きていることを思

    • 【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十八話

      「じ、地震ですか~⁉」  アメリアは鎧像の一つにしがみつき、涙目になっている。  自身を覆う影が色を濃くしていることに気づき顔を上げると、コンクリートの天井が二人を圧し潰そうと迫っているところであった。 「ぎゃ~~~‼」  アメリアが叫ぶと、狭い室内に悲鳴が反響する。    とうとう扉は消え、四方を壁に囲まれてしまった。カインはアメリアを抱えて部屋から脱出するのを諦め、近くの鎧像の腰から真剣を抜き出す。 「天井を砕く」  そう決断すると、幅三メートル、奥行き五メートルほどあ

      • 【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十七話

         朝七時。カインはレイラの部屋へ朝食を持参した。 「おはようございます。レイラお嬢様」  銀のプレートの上には、今朝もセオの用意した温かい朝食が並ぶ。焼きたてのクロワッサン、スクランブルエッグ、そして特注のクラムチャウダー。レイラが偏食なのか、滅多に島に食料が調達されないためか、食事のメニューは変わることはない。 「……」  紅茶を白磁のティーカップに注いでいるカインの横顔を、ベッドから上半身を起こしたレイラがじいっと見つめた。 「ねえ、今日は何をするの?」  レイラの

        • 【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十六話(Ⅴ 新しいハウスメイド)

          Ⅴ 新しいハウスメイド  五日目の午前二時。風雨が窓ガラスを殴りつける音に混じって、誰かが玄関扉を強く叩く音がした。  カインは瞬く間に執事服を身に纏うと、二階の階段の手すりを軽々と飛び越えて、玄関広間の大理石の床に音もなく着地する。玄関からの侵入者を許さぬように佇む二匹のドーベルマン像の陰に身を潜めた。 ──ドン、ドン、ドン。  再び外から扉が叩かれ、ひんやり静まり返った広間に鈍い音が響く。  一体何者だ。未明に屋敷を訪れるなど只者ではない。泥棒目的の侵入者であれば

        • 固定された記事

        【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない 」第一話(創作大賞2024・ファンタジー小説部門応募作品)

        マガジン

        • 連載小説「執事はバッドエンドを導かない」
          18本
        • noteの栞
          19本
        • 大切な思い出たち
          84本
        • 連載小説「はつこひ」(全18話)
          18本
        • 短編小説作品集1
          52本
        • 短編小説作品集3
          2本

        メンバーシップ

        • はじめまして

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • メンバーシップ【Uraraka】今後の活動について

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • 今週の記事投稿について

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • こんばんは。

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • はじめまして

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • メンバーシップ【Uraraka】今後の活動について

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • 今週の記事投稿について

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • こんばんは。

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります

        メンバー特典記事

          【Uraraka】メンバーの皆さまへ

          「【創作×感情を受け入れる×自分を好きになる】Uraraka」に参加すると最後まで読めます

           皆さま、こんにちは。

          有料
          200

          【Uraraka】メンバーの皆さまへ

          【Uraraka】あなたへ贈る言葉:2023年もメンバーシップUrarakaをありがとうございました☺✨

          「【創作×感情を受け入れる×自分を好きになる】Uraraka」に参加すると最後まで読めます

           皆さま、メリークリスマス☺  今日はクリスマスイブ。いかがお過ごしでしょうか。  皆さまにとって、素敵な時間となりますように……🎄✨ *  さて、2023年の【Uraraka】も本日が最後の記事となります。  この一年も本当にありがとうございました✨  まさか、メンバーシップを始めて一年も続けられるとは……!  これも、皆さまの優しさや温かい思いやりのおかげと、心から感謝しています🌸 「応援は力になる」。  メンバーシップ【Uraraka】を通して、そのことを

          有料
          200

          【Uraraka】あなたへ贈る言葉:2023年もメンバーシップUrarakaをありがとうございました☺✨

          【Uraraka】自分を表現すること-10

          「【創作×感情を受け入れる×自分を好きになる】Uraraka」に参加すると最後まで読めます

           皆さん、おはようございます☺ 【Uraraka】は、年末の12月29日(金)と31日(日)の記事はお休みをいただきます。  2023年の記事は、今回を含めてあと2回となりますが、皆さまにお役立ていただけるよう精一杯お伝えしていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします🌸 *  今日は「自分を表現すること」の連載第十回です。  今回の連載では、「相手とよりよい関係を築く」ために、コミュニケーションの面ではどのように自分を表現し、「自分の気持ちを相手に

          有料
          200

          【Uraraka】自分を表現すること-10

          【Uraraka】自分を表現すること-9

          「【創作×感情を受け入れる×自分を好きになる】Uraraka」に参加すると最後まで読めます

           皆さん、こんにちは☺  今日は「自分を表現すること」の連載第九回です。  今回の連載では、「相手とよりよい関係を築く」ために、コミュニケーションの面ではどのように自分を表現し、「自分の気持ちを相手に伝えること」ができそうなのか、自分も相手にも優しく、適切な方法を一緒に考えています。  今回の記事からは、「自分を表現すること」の番外編として 「話を聴く」ということについて、数回にわたりお話していきたいと思います。  いきなり自分のことを話したり、自己表現をするというこ

          有料
          200

          【Uraraka】自分を表現すること-9

          【Uraraka】自分を表現すること-8

          「【創作×感情を受け入れる×自分を好きになる】Uraraka」に参加すると最後まで読めます

           皆さん、こんにちは☺   今日は「自分を表現すること」の連載第八回です。  今回の連載では、「相手とよりよい関係を築く」ために、コミュニケーションの面ではどのように自分を表現し、「自分の気持ちを相手に伝えること」ができそうなのか、自分も相手にも優しく、適切な方法を一緒に考えています。  今日の記事では、「自己表現をしたり、気持ちを伝えることってしなきゃいけない?」という、いつもとはちょっと違う視点から見ていきましょう。  もし良かったら、記事の最後までお付き合いくだ

          有料
          200

          【Uraraka】自分を表現すること-8

          【Uraraka】心をあたためること

          「【創作×感情を受け入れる×自分を好きになる】Uraraka」に参加すると最後まで読めます

           皆さん、こんにちは☺  すっかり寒くなってきましたね。    寒くなると身体が固くなって、呼吸も浅くなりがちに。  12月ということで、「もう年末!?」、「時間がない!」と焦りを感じていらっしゃる方もいるかもしれませんね☺ (私もそのひとりです(笑))  今回の記事では、「自分を表現すること」のテーマを一旦お休みして、 心をあたため、癒すことをしていきましょう🍊  もしよかったら、記事の最後までお付き合いくださいませ🐣

          有料
          200

          【Uraraka】心をあたためること

        記事

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十五話

          「セオさん」  キッチンで夕食の後片付けをしているセオに、カインは声を掛ける。 「はい、どうしました?」  セオは振り返り、いつもの屈託のない笑顔を向けた。 「……誰かをお慰めする時には、人々は何をするものなのでしょう。教えて頂きたいのです」  予想外の問いにセオは一瞬驚いた顔を見せたが、すぐにカインの元へ駆け寄って抱きしめる。 「わあ、初めてオイラに相談してくれましたね! すごく嬉しいです!」 「先日、分からないことは聞いてもいいとおっしゃっていたので……」  セオの

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十五話

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十四話

               * 『むかしむかし、一羽の烏がおりました。  群れの中で一番大きな趾を持つ烏は、羽を怪我した母烏の代りに、病気になった老烏のためにとエサを求めて飛び回ります。  ある日、烏は草原を歩く子羊を一匹さらって、家へ帰ろうとしていました。 『ねえ、ねえ、烏さん。なぜ僕を連れて帰るの』  子羊は背中をつかまれたまま、空を飛ぶ烏に尋ねます。 『悪いわね。私の仲間がお腹を空かせて待っているのよ』 『それはおかしいよ。なぜ烏だけが僕らを食べようとするの? 鷲たちは羊なんて絶対

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十四話

          【推したい創作大賞応募作品✨】どまんだかっぷさん「連載小説★プロレスガール、ビジネスヒロイン?」

          創作大賞2024への参加作品が続々と投稿される中、 今回は、応募作品の中から「私が推したい小説」を一つご紹介したいと思います☺ 今回ご紹介するのは、 どまんだかっぷさんの小説作品、 「連載小説★プロレスガール、ビジネスヒロイン?」です✨ どまんだかっぷさんと言えば、ビジネスの世界を楽しく、面白く、 誰でも読みやすいエンタメ・ストーリーに仕立ててしまう名手のお一人。 今回の作品は、 女子プロレス団体『SJW』に所属する練習生ミナミが、正当な評価がされるプロレスの世界を作り

          【推したい創作大賞応募作品✨】どまんだかっぷさん「連載小説★プロレスガール、ビジネスヒロイン?」

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十三話

           午後になると雨風が止み、珍しく曇り空となった。 「肖像画の手入れをするか……」  風のない日であれば窓を開け、絵画の塵や埃を払いながら、薬剤を使った簡単な修復作業ができる。気が抜けない仕事となるため、面倒なのは……。  カインは屋敷中を歩き回り、暫くレイラに後をつけさせると、一階の階段付近で忽然と姿を消した。 「ちょっと、どこに行ったのよー‼」  レイラは階段下にある玄関広間で右往左往し、カインの姿を探し回っている。しかしその頃、彼はすでに二階の十一番目の部屋に辿り着

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十三話

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十二話(Ⅳ 彼女の命日)

          Ⅳ 彼女の命日  カインが屋敷に来て四日目を迎えた。  二日目は毒草スープ、三日目は空飛ぶ鉄槍+突然の落雷という厄災に見舞われたが、四日目はまだ目立った事件も起きず平穏な時間が流れている。  今朝は朝食に毒が入っていないことをセオに何度も念押しされ、食べ始めるまでに時間が掛かってしまったが、予定通り午前中の仕事を終えられそうだ。  小雨の降る中、カインが庭の草刈りをしていると、レイラは今日もカインの後を追いながら物陰に隠れて様子を窺っていた。 「あれで隠れているつもりな

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十二話(Ⅳ 彼女の命日)

          ありのままでいることは難しい。だけど…(せやま南天さん『クリームイエローの海と春キャベツのある家』に触れて)

          「ありのまま」と聞くと、どんな状態を想像するだろう。 あるがまま、自分らしく、自由に、のびのびと……。 人によって異なるとは思うが、そんな感じのイメージだろうか。 私は最近、「ありのまま」というものにとても悩んでいる。 資格試験のために傾聴の練習(1対1での面談ロールプレイング)に参加しているのだが、 いつもフィードバックタイムに指摘されるのはこんなことだ。 「自己一致して話を聴いていない」 「次に何をクライアントに質問するか、頭で考えているのが分かる」 「真面目な性格の

          ありのままでいることは難しい。だけど…(せやま南天さん『クリームイエローの海と春キャベツのある家』に触れて)

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十一話

          「ええっと……。まあ、いいですわ。とにかく、オイラはカインさんを何かの恨みで追いかけてたわけでも、命を狙ってるわけでもないんです。それだけは分かってください!」  セオの必死の弁明に、ようやくカインは力を集中させていた指先を緩め、尻餅をついたままのセオに手を貸した。 「……とりあえず、後をつけていた理由は分かりました。私を殺し屋の『狼』と勘違いし、お嬢様の身に危険があるのではと、『心配』という感情からあのような行動をしたというわけですね」 「うーん。誤解が解けたのは嬉し

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十一話

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十話

          「ところで、セオさん」  雨の中を先に行くセオの背中に声を掛ける。 「はい、なんでしょう?」  セオは返事をしたものの耳を傾けただけで、よほど早く屋敷に戻りたいのか歩む速度を緩めない。 「このお屋敷や旦那様の近くで働く者は、皆『特別な者』ばかりなのでしょうか」   カインが良く通る声でそう言うと、ようやくセオの足が止まった。 「『特別な者』、ですか?」 「先ほどお会いしたジリアンさんは『元海賊』の操舵士だと伺いました。私も現在は執事という名目ではありますが、これまで裏の

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第十話

          創作大賞2024に向けて、noteイベントに行ってきました🌟

          5月6日(月・祝)、ゴールデンウィークの最終日。 東京・四ツ谷にあるnoteplaceにて開催された、こちらのイベントに参加してきました! なんと、昨年の創作大賞2023で別冊文藝春秋賞を受賞し、 5月8日(水)には文春文庫「ナースの卯月に視えるもの」を刊行される 秋谷りんこさんが 創作大賞2023にて審査員をされていた、あの新川帆立先生と対談されるということで、 イベントの発表があってすぐに参加の申し込みをしました。 当日の会場には、現役noteクリエイターさんが沢

          創作大賞2024に向けて、noteイベントに行ってきました🌟

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第九話(Ⅲ セオという男)

          Ⅲ セオという男  カインがここへ来て、三日目の午前九時。  ウェスト卿は仕事のため本島へ向かうこととなった。カインはセオと共に主を見送るため、船の係留場所までやって来た。 「旦那様、お仕事とは存じますが、本当にこの天候で本島まで船で行かれるのですか」  この日も朝から雨が降り続き、西からの強風で波は荒れている。カインはウェスト卿の頭上に傘を広げて、雨音にかき消されぬよう少し大きな声で尋ねた。 「大丈夫だよ。カイン君。天気はいつもこんな感じだし、この島の海域を抜けてしま

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第九話(Ⅲ セオという男)

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第八話

          「ええ⁉ 朝から何かの冗談ですか? ほら、見てください。オイラは完食しちまいましたよ。作ってる間にも何度か味見しましたけど、身体はぴんぴんしてますわ」  セオは空になった器の底を見せると、腕を曲げ伸ばししながら上腕二頭筋を上下させて健康な姿をアピールした。 「……」  何かがおかしい。『ラゴア』がこれだけ入っていれば、葉を直接食べずとも常人であればスープを一口飲んで即死だ。ここまでセオの行動に怪しいところはなかったが、この皿の中身だけがいつの間にか手品のように差し替えられた

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第八話

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第七話

           翌朝、早朝に目覚めたカインは、ベッドから起き上がるとすぐに執事服に袖を通して身支度を整えた。  空模様は相変わらず。激しい雨が窓に打ち付け、時折雷が光ると崖から岩が転がり落ちたような音が少し遅れて聞こえてきた。  嵐の中どこから飛んできたのか、窓の正面にあるモミの木には烏が群れて雨宿りをしている。「カア、カア」と言いながらこちらを覗き見ている姿は、まるで不吉を報せるようだ。 「今日の仕事を始めるか」  カインは鏡の前で口角を上げてから部屋を出た。  彼は感情の乏しい男

          【連載小説】「執事はバッドエンドを導かない」第七話