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僕の小規模な退職 その27

最近、毎週のように「行者ニンニク」を買っている。

この土地に来る前は存在も知らなかった。
だが、一度食べたらやみつきになった。
でも今の時期にしか見かけない。
なので見かける度に買い物カゴに入れている。

ジンギスカンに入れると美味しいのは、この土地での常識らしい。
確かに旨い。
でも毎週のようにジンギスカンをする習慣が我が家には無い。
家の中でやるにしても部屋中に匂いが充満する。
まきあがる湯気や煙とともに油が部屋中に飛び散るのも難点だ。
では一体、地元の人はどうしているのだろう。
ふと疑問に思った時期があったので数名に尋ねたことがある。
答えはこうだった。
「子供の頃は家の中でもやってた。特に冬」
「今は賃貸だから夏に外でかやらない」
「今でも気にせず家の中でやる」
「家でも外でもやらない。お店で食べる」
千差万別の答えだ。
まぁ、サンプル数が4人と少ないので統計としては不十分なのだが…。
どれがトレンドということも無いのだろう。
とりあえず我が家では
「家の中ではやらない」
という方針を採用したいと思う。

そうなると一体どうやって「行者ニンニク」を食しているのだ?
という疑問が残る。
簡単だ。お肉と一緒に炒めるのだ。

油を引いたフライパンに、まずは豚肉を入れる。
じゅ~じゅ~焼けてきたらお酒を入れる。
完全に焼ける前にお酒を入れるのだ。
お酒を入れることによって肉が柔らかくなる効果があるらしい。
さらに肉の臭みを取りコクと旨味が増すらしいのだ。
妻に教えてもらった手法だ。
最近は肉を炒める際には必ず酒を入れるようにしている。
肉が焼けてきてたら行者ニンニクを投入。
行者ニンニクは食べやすいサイズにカットしておくと良い。
だいたい4㎝程の大きさだろう。
そこに塩コショウを振りかける。
分量は適量だ。
適量って何だ。
何となく雰囲気だ。
味見して塩気や胡椒気が足りないと感じたら足せばよいのだ。
菜箸でザッザっとかき混ぜるように炒めたら最後に醤油も適量回し入れるのだ。あまり多く入れない方が賢明だろう。少なすぎても味気ない。
これも味見して醤油気が足らないと感じたら足せばよい。
なので最初から多めにしない方が良いのだ。
汁気が無くなるまで炒めたら完成だ。
物凄く行者ニンニクの香りが充満する。
ニンニクとニラとネギを足して割ったような匂いだ。
スタミナ感のある。
パンチの効いた。
白米がすすむ。
ビールがはかどる。
とにかく食欲をそそる匂いだ。
うまい。

それ以外の食べ方だと定番なのが天ぷらだ。
ボウルに小麦粉と冷水を1:1くらいの割合で混ぜておく。
そこに行者ニンニクをドボン。
行者ニンニクは切らずにそのままのサイズが望ましいだろう。
バットには片栗粉を用意。
ドボンした行者ニンニクにそこに入れ片栗粉をまぶすのだ。
そして熱した油の中に入れる。
パチパチと揚がる音を楽しもう。
良い感じで上がったらしっかりと油を切るのだ。
今の時期は他の山菜もスーパーに並んでいる。
こごみやタラの芽、ふきのとう。
これらも同じ手順で天ぷらだ。
舞茸なんかも天ぷらにしちゃおう。
どれもこれも美味しそうだ。
しっかり油が切れたところで食卓へ。
食通ぶって塩で食べる。
素材の味が口に広がる。
美味い。
でもやっぱりめんつゆが一番だ。
衣の油っぽさを、めんつゆの汁気と濃ゆい味わいが中和してくれる。
旨い。
天ぷらで食べると行者ニンニクのパンチ力は薄まる。
ニラとかネギとかニンニクの様な匂いを感じにくい(気がする)。
上品な味わいだ。
どちらかというと、こちらの方が好みだ。
お酒がすすむ。

炒めても揚げてもうまい。
行者にんにく。
もうしばらくは店頭に並ぶはず。
今週もまた見かけたら買おうと思う。

44歳。推定無職。行者ニンニク。

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