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辺境に笑みが溢れる日


今週土曜は今年三回目の「土合朝市」開催!

 「土合朝市」という上越線土合駅を舞台にした辺境無人駅マーケットを2021年の春から定期的に行ってきた。これまで計9回の開催と、そのスピンオフ企画として行われた「土合夜市」「土合雪市」「fromKIRYU」などのマーケット企画5回を合わせると、観光者を含まない純粋な駅の利用者10数人/日の無人駅に、述べ1万人に近い賑わいを創出したこととなる。それに伴う消費額は9,500,000円程度となる計算だ。

 また、この場では初見だった買い手が売り手に会いに実店舗へ再訪したり、隣で店を並べた出店者同士がその後コラボ商品を開発したり、実際に取引を行ったりというケースもあるため、この企画の経済効果はそれ以上と認識している。

 ローカルの企画においては、もちろん金額が全てではないけど、何もしなかったら生まれることのなかった9,500,000円+α。それが丸ごとローカルの事業者へ売上として還流され、新規の商品や事業の開発に使われたり、そのまま暮らしの糧とされる。それは意味のある経済であり、意義のある企画であると、手前味噌ながら考えている。

何故、辺境の無人駅でイベント開催しようと考えたか?

 まずは、何もない場に何もないからこその価値を見出し、それをカタチにするプロ集団「VILLAGE INC.」の志しに強く共感したことが一つ。”無人駅グランピング”の名のもと全国各地からファンを呼び込む手法と表現力はさすがで、みなかみは元より関東平野のどん突き(最奥の地)となるこの場所を訪れたお客様は、その帰りに地元の飲食店や日帰り温泉などの観光施設に立ち寄ることも多いため、地域への経済波及効果は少なくない。


 二つめに、かつてはヒマラヤへ続く登竜門として苛烈な登攀が繰り返された谷川岳登山、そしてその玄関駅として名を馳せた「土合駅」の歴史を、勝手ながらも紡いでいきたいと考えたこと。地域のシンボルは数あれど、”近代史”の視点で掘り下げると、古くは1931年の上越線開通から始まり、戦後の登山ブームによる栄枯盛衰、鉄道の電化や複線化に伴う駅機能の変化に至るまで「土合駅」は語るに足るトピックの宝庫だ。見合わない施設運営コストによって駅廃止の可能性もゼロではない地域のシンボルを、微力であっても時々の賑わいによって下支えしたい。おこがましくもそんな想いを持っている。

■土合駅からみた谷川岳山岳史については、
DOAI VILLAGEで常設配布しているZINE「I do(Vol.1~3)」に詳しく書いているので是非現地で手にしてもらいたい。抜粋版は下記にて

土合のZINE「I do」

お客様目線で見た土合朝市のパーパス
◎辺境の非日常的な「快疎」を手軽に味わえる
(人と人の物質的な距離はあるのに、精神的な距離は近く感じる)

◎山の朝の「超絶」爽やかな空気を吸い放題
(都会のそれと明らかに質の違う新鮮な空気が売るほどある)

◎「豊かな」食やグッズのレパートリー
(地域の特性や特色が活かされたお店のラインナップを楽しめる)

◎人の「あたたかさ」に出合うことができる
(地元が大好き、地元を褒められることが何より嬉しいおおらかな人たち)


これまで手弁当で企画から運営までを行ってきたが、そのモチベーションはお金やモノに代えがたい郷土愛(出身でないけども)であると断言できる。愛するまちのサステナビリティの一端を担うことができれば負担や苦労なんてのは微塵もなく、持ち出せるナレッジやマンパワーがあるならば惜しみなく地域のために差し出すことは本望。これもミナカミハートの一つのカタチであると言える。

無人駅で朝食を
どうぞ。

今回は年に一度の「土合夜市」と同日開催です。
朝から夜までまるっと、辺境の無人駅を愉しみましょう。

フードもお酒も超充実!土地の自慢のメニューが勢ぞろい!

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◎文:Kengo Shibusawa(GENRYU)

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