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詩「角待ち街唄」

夕べに音を聞いたんだ
あれはストリート
ミュージシャンの居場所で
その日は誰もいなかったのに
あの角では確かに草木が揺れた

街中の言葉が流れ込むようだった
丸い耳が少し毛羽立った
雑踏にはまるで
情緒を解さない人間ばかり
バスがそれを吸い込んでいき

音は 明滅した
その中には確かにてのひらを
叩く音がした
小さな男の子の手だ
それを握るお母さんの目のとじひらき

フラッシュシーンが流れ落ちてく
涙を拾って思い出にする
心臓がすべてぼくになる
ぼくの心臓の
音だけの角

ぼくの心臓の
音だけの角!
今 とおいこの街の
君の言葉が 確かに告げる
そろそろ冬だね


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