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詩「いつもこんにちは」

ぼくはまたいつか
触れたこともないカンカン帽を
都会の外れの古着屋で
手に取りながら思うのだ
ぼくはまたいつか

ぼくはまたいつか
帽子の手触りと街は
こぞって春を鳴らしている
喉にマックシェイクの質感
ぼくはまた いつか

ぼくはまたいつか
タワーの展望台で遠
くを見る親子を見ている時間にも
茎の間に生える蔓が絡まり
ぼくは またいつか

ぼくはまたいつか
旅人のような出で立ちの
東京都生まれ東京都在住の
怪獣みたいな生きる意欲に気圧されて
ぼくはまたいつか

ぼくはまたいつか
皆が春と夏の両端を結び始めた頃
春を冬から解く役目を一手に担う
その雨に手を添えて
ぼくはまたいつか

ぼくはまたいつか
君の髪型を探すだろう
そうして
そっとイマジナリーに散髪を始める
ぼくはまたいつか
そうやって君とであうだろう




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