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2020年「うちで踊ろう」が仕掛けたコミュニティデザインの魔法

うちで踊ろう/星野源 ×デザイン思考

うちで踊ろう ひとり踊ろう
変わらぬ鼓動 弾ませろよ

生きて踊ろう 僕らそれぞれの場所で
重なり合うよ

2020年を象徴するようなこの歌。
僕自身もこの歌に本当に楽しませてもらいました。

そんな星野源さんがこの歌について語った記事が「デザイン思考」のお手本のようだったので備忘録として。


歌が持つメッセージを、歌の仕組みが回収する曲に。

星野 源──「うちで踊ろう」悲しみの向こう 歌で手をつなごうより

…歌を作ろうと思ったけれど、この状況では応援歌みたいなものはあんまり意味がないし、僕はそういうタイプじゃない。そもそも応援歌が好きじゃなくて(笑)。だったら、“その歌が持つメッセージを、ちゃんと歌の仕組みが回収する曲を作ればいい“と思いついたんです。

タイトルを『うちで踊ろう』にして、家の“うち側“でも、仕事場の“うち側“でも、心の“うち側“でも楽しめるように、楽器や歌、ダンスやイラストなど、何でも重ねてSNSで発表し合って遊べる企画にしてしまう。参加する人も、タグを追いかけて見てるだけの人も、外出自粛期間を楽しめる曲を作ろう。そう考えたら、ひと晩で曲ができあがりました」


この企画、そして歌詞があらためて、しっかりとコミュニケーションの設計がされていることにまずは驚いた。

世の中が先の見えない不安にかられている中。ミュージシャンとして「音楽」を届けるという手段。音楽もアートも、一方的に伝えるだけではコミュニケーションは生まれない。

この歌の「うち」と「踊る」ということばの奥ゆかしさと温かなポジティブさも、ただ配信リリースされただけであれば、どう響いただろう?

かつて震災や災害時に、「がんばれ」ということばの隠れた強制力について話題になったことがあったのを思い出す。

人々が求めているのは何か。

その問いの本質に対して、この「うちで踊ろう」は限りなく広いターゲットに対して、心を励まし、身動きの取れず持て余した体と時間を埋め、みんなで楽しみを分かち合うというエンターテイメントに昇華させている。


うちで踊ろうにみるコミュニティデザイン4つのポイント

・他者を否定しない、傷付けないテーマである。
・共通のテーマであるにも関わらず、自由度が高く個性を表現しやすい。
・誰もが発信しても良いという心理的安全性が保たれている。

何よりコミュニティの持つ課題に対し、他者と積極的に関わることで解決へ導こうとする仕組みであること。これぞコミュニティデザインの真髄。


制約とクリエイティブの関係性


星野源さんは同インタビューでこうも語っていた。

「デビューしたころは本当に予算がなくて、できないことばかりでしたから。じゃあ、そのなかでなにをやろう、と考えるのがクセになっているかもしれません」

制約があるからこそ、その中でできることを考える。これもクリエイティブの本質をついている。

これについては、仕事柄お世話になっているforiioさんのこちらの記事がとっても素敵なのでリンクでご紹介。

クリエイティブにおける「制約」とは


コミュニティデザインは、職種に縛られない。世の中のコミュニティが無限にあればこそ、あらゆる立場の人たちがデザイン思考を持ち、アクションを起こすことで、コミュニティデザイナーになりえると私は思っている。

2020年、自分が志す「コミュニティデザイナー」が、意外なところにもいたという話。



おまけ


そんな私も参加した「うちで踊ろう」Bechoir ver。某有名な曲とのMIXアレンジが素敵なのでぜひ音楽好きな方は見てみてくださいね。

#うちで踊ろう #september  #Bechoir

うちで歌おう 悲しみの向こう
全ての歌で 手を繋ごう
生きてまた会おう 僕らそれぞれの場所で
重なり合えそうだ

当たり前だった日常に改めて感謝し、まずは収束に向かいますように。


今後も好きな音楽ジャンルのみならず「コミュニティデザイン」に関することや、大好きな銭湯・サウナについて不定期で発信していきます。

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