エメラルドグリーン#色のある風景
「信号、青になったよ」
私はつい口を出した。
他に車のいない海岸線の気持ちの良い道。
彼の白い車は行儀よく赤信号に停まっていたが、
青に変わっても彼の反応が少し遅かったのだ。
「あ、ああ」
彼は小さくうなずいて車を進める。
やがて車は新緑あふれる道に差し掛かる。
しばらく無言で走る。
「青、というより」
彼がぽつんという。
「グリーンに近くないかな。エメラルドグリーンに」
私は2秒ほどかかって、それが信号の色の話だと気付く。
「ああ、確かに。そうね、ほんと」
私はその後、さらに一時間後くらいに
その話が前振りだったのだと気付く。
五月生まれの私へのプレゼントを受け取ったときに。
*三羽 烏さんの企画に参加します。
なんだか柄にない話ですが思いついたので書いてみました(この言い訳も)。
こんな経験などないですけど…二月生まれだし…(^-^;
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