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詩 ” 月夜のお針の会 "【炭酸刺繡に寄せて】


月の光が差し込む部屋に

すずらんの夜露をこぼさぬように

静かに静かに集まった

どこかから

微かなリュートの調べ

それはたぶん白い小鳥の夢

ではお針の会を始めましょう


金色の針を月にかざせば

つやつや輝く絹糸が通る

それで指貫ゆびぬきをかがりましょう

加賀指貫かがゆびぬきを作りましょう

すべらかな糸が波の模様を作る

あなたの指貫には崩れた波の泡が

ぷつぷつ

ぷつぷつ

ぷつぷつ

さあ針を休めて目を休めて

爽やかになる飲み物を。

こんな夜中に紅茶はいけません

珈琲もいけません

そう、サイダーを飲みましょう

檸檬の輪切りを浮かべましょう

まるで月を映したような

そんなサイダーの

泡一粒ずつが星のように

喉を転げ落ちてゆく


出来上がった軽い軽い指貫は

月夜のお守り

あなたの月夜を守ります

月夜の悲しみから守ります

それを持って月が沈む前に

家のベッドに戻りましょう

すずらんの夢

白い小鳥の夢

リュートの調べ

波の泡



数年前に作った加賀指貫
絹糸でかがります
あまり上手く出来てません
きれいに出来たものは人にあげてしまいました
芯が紙なのでとても軽いです


藤家秋さんの素敵詩集「炭酸刺繍」に
参加お願いします✨


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