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アラサー独身、家を買う

 これはアラサー独身が家を購入した際の自分に向けた備忘録である。オール主観かつ上から下まで自我たっぷりの話なので、おそらく今後家を買おうという気概の人の参考には、特にならない。

 軽い暇つぶしにどうぞ。



 家を買った。新型コロナウイルス感染症が五類に移行するちょっと前の話だ。一軒家ではなくマンションの一室を購入した。
 家の購入を決めた理由はいくつかある。複合要因なので正直これ!とは言い難いが、「猫と共同生活を送りたかったこと」が理由の一つとして挙げられる。

 前提として、自分は東京で会社勤めをしていた。住居は賃貸マンションである。新卒で就職と同時に上京したため、最初の数年は賃料の安い会社の独身寮に入っていたが、こういった独身寮は25歳までとか30歳までとか、入居していられる年齢に制限をつけている場合が多い。例もなく年齢制限で寮を出てからは、自前で借りた賃貸マンションで一人暮らしをしていた。
 東京は家賃が高い。もちろん少し郊外に出たり、治安の悪いエリアを探したり、極小住宅に住んだり、災害リスクの高い土地に住むならその限りではない。しかし勤務先までドアtoドアで〇〇分以下、乗り換え回数〇回以下、ある程度の自然災害で詰まない……などで絞っていくと、おのずと住むエリアは限られてくる。
 特に自分は毎年都内で主たる勤務先が転々とする上に、週の半分は西エリアもう半分は東エリア……というように通勤先がたいそう変則的だったため、家賃が多少高くても交通の便がよい地域に住みたかった。大学生時代に片道2時間30分の通学を続けて、金で時間を買いたいと痛切に感じていた。
 そんなわけで副都心周辺の駅近、25平米で9万円の家賃を毎月払っていた。

 時は2022年10月。賃貸マンションの契約更新を意識し始める時期だった。2年ごとの更新で、更新の際にまあまあな費用がかかる契約だった。賃貸のメリットは身軽さだ。更新せずに新しい土地に引っ越すことを考えた。猫と暮らしたかったため、数件の不動産業者をめぐり、ペット可物件があるか調べた。
 全然なかった。
 といっても、都内なので件数自体はかなりある。単に自分の条件と合致しなかっただけだ。数回引っ越しを経験した身として、物件はタイミングなのでそれなりに時間をかけて探したが、物件探しにかけられるコストを鑑み、結局諦めた。
 ちなみに犬が飼育可能な賃貸マンションは相当数ある。反面、猫は壁をひっかいたりして資産価値を下げるから、OKを出す貸主は少ないそうだ。まあわかる。立地がよければ多少値が高くとも借り手は付くのだから、わざわざリスクを取ってまで猫可という付加価値を付ける必要はない。

 ここで家を購入するという選択肢を考え始めた。年齢的にも早いというわけではない。今後転勤や結婚などでライフスタイルが変化する可能性があるのに家を買うか? と思ったが、毎月高い家賃を払うばかりで資産にならないのは少々勿体ない気持ちもある。賃貸のメリットをしっかり甘受しておいてなんだが、出ていく金は素直に惜しい。宝くじ当たれ。
 ではどこで家を買うか? 基本的には家を買った土地を終の棲家にすることになるだろう。事故や病気や前述のライフスタイルの変化等で現実そうはならない可能性も高いが、住み替えにかかるコストを考えると一応一生住むという前提で考えたほうが良い。諸々考え、出身である関西に戻ることにした。あばよ東京!

 ついでに転職して、通勤圏内の大阪か京都に家を買うことにした。ついでと言ったが、転職自体はまあまあ大変だった。

 さっそく現地で不動産屋の予約を取り、物件を探した。物件を絞り込む際には、下記条件を立てた。
① ペット(猫)飼育可能物件であること
② 予算
③ 地域

 ①の条件についてはマストなので外すべくもない。②は自分の推定生涯年収から無理なく返済できる範囲とした。健康に働き続けられる保証は無いが、それは保険などで考えるものとする。③は利便性の高さ、災害の強さ、そして万が一家を手放すとしたとき、資産価値の下がりにくい土地とした。正直これは考えても仕方ない(現に自分の地元には数十年前はイケイケだったが今は落ち目という場所がいくらでもある)ので、どちらかというと自分の精神の安念のためだ。まあ最悪売ればいいし、と思っておけるだけで気持ち的に余裕がでる。この中途半端な臆病風がなければ家探しはもっと自由度が高かっただろうが、それ込みで自分なのでまあ仕方ない。
 何件か内見し、最終的に1LDKの分譲マンションに決めた。

 実は購入と並行して賃貸の方も探しており、いい物件がなければこの場所に住みながら2~3年かけて購入物件探しをしてもよかった。というかそうしたほうが絶対に良い。が、関西はペット可物件が東京に比べて本当に少なかった。さらに東京に比べて敷金礼金が爆裂高かった。東京は相当に競争力のある市場だったんだな、と今更に思うなどした。一旦ペット不可物件に住むことも考慮して探したが、タイミング的にあまり良いと思える物件に出会えず、購入に舵を切ることとなった。

 世間的には、転職と同時に家を買うことは非推奨とされる。理由は二つある。一つは、ローンの審査が下りにくくなること。二つ目は、純粋にやることが増えて大変なため。
 一つ目のローン審査については、直近一ヶ月分の収入やら源泉徴収票やらを求められることと、融資側がローンの利率を決定する際に勤続年数を考慮することが多いためである。自分でも実際にいくつかローン審査を申し込んでみたが、勤続年数的に足切りされてそもそも審査にたどり着けないか、金利があまりよろしくないことがほとんどだった。なおこれは大手不動産で物件を契約し提携先でローンを組む場合にはクリアできることが多いため、手数料とのバーターになる。自分もこの戦法で通した。
 二つ目については、自分は面倒ごとを一気に済ませてしまいたいタイプなのであまり気にならなかった。連日やらなければいけないことや新しく覚えること、調べることが多かったが、物件購入は家の引き渡しという期限が定まっているので、予定のコントロールもしやすかった。

 諸々を乗り越え、ついに憧れの我が家である。賃貸に住んでいる間は原状回復に常に怯え壁紙に画鋲一つ刺さずに生活していたが(なお一般的に画鋲は原状回復義務の対象外のため契約条項に盛り込まれていなければ使用しても問題ない)、ある程度は好き放題やれるのだ。
 正直物件の条件としては幾ばくか妥協したところもあるが、今のところ不自由はしておらず、住環境にはたいへん満足している。それにどうしても気に入らなければ、最悪売ればいいし。

 最近ではこれまで全く見向きもしなかったインテリアにも興味が出て、あれこれ調べるのが楽しい。
 ただ、まだ猫は迎えられていない。大物の家具もようやく一揃え終わり、そろそろ本格的に動き出したいところだ。

2024.2.5


ヘッダー画像)ランドマークタワーと桜 © Akiko_Kubosawa (Licensed under CC BY 4.0)




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