白いレースの手袋をして

指輪のバランス問題

 ここしばらく、ずっと指輪を探していました。というのも、昨年購入したバラの指輪(以下の記事のものです)

が華奢なイエローゴールドで、結婚指輪(プラチナ)と一本ずつ指にしていると、いまいちしっくりこないバランスなのです。イエローゴールドを足すか、プラチナを足すか、はたまたピンクゴールドを足してぜ~んぶ違う色にしてしまうか……。なんにせよ、自分の中で「イイ!」と感じるバランスにしたいと思っていました。

 どうしようか、またクアラントットさんに行こうか、うーんでも違うブランドも試してみたい、いっそアンティークジュエリーなどもいいな……と考えている時に出会ったのがこちら、Cece Jewellery さんです。

 Twitter(Xという呼び名、どーしてもまだ慣れません)で紹介している方を見たのが最初だったと思います。西洋の古い絵画のようなエナメルがあまりに美しく、心がぎゅっとなったのです。こうしてはいられません。試着です試着、とロンハーマンへいそいそと。ショウケースに飾られた美しい指輪の数々……ですが、なんか、思ったより大きいな……? と怯み。怯むな試着だけでもしなさい! と言いたいところなのですが、ロンハーマンのアウェイ感にすっかりノックアウトされたわたくし。もだもだとした結果、なぜか指輪ではなくネックレスの試着をさせてもらうことに。
(注:店員さんは優しくしてくださったのですが、店構えといいますか、醸し出されるアメリカ西海岸風のおしゃれ空間が自分のコンセプトとかけ離れており、場の空気に負けてしまいました😂)

 見せていただいたのは紫色の蛸が描かれたネックレス。いくつかあるモチーフの中で、一番私らしいかなと感じたのがこれでした。鮮やかな明るい青い海よりは、寒さを感じる暗い深海が好き。ハッピーが前面に押し出されたモチーフよりは、ほんのり毒っぽさがあるのが素敵だなと。

素敵な蛸さんネックレス(公式HPより


 その日は襟元にコットンレースのついた黒いワンピースを着ていたのですが、クラシックなワンピースにそのネックレスはよく似合いました。「あ、これ、出会っちゃったかもしれない……!」とウキウキしながら帰路へ。この日は、さて買うならいつにしようかな、今度の私の誕生日の頃にしようかな~といったことを考えていました。

ネックレス?指輪?

 さてさて、ネックレスを購入しよう! と意気込んだのはよいのですが、ここで持ち上がってくる問題があります。そう……資金繰りです!!!
 
見ていたのは昨年の冬のこと。その時はロンハーマンさんで教えて頂いた価格よりも、公式の通販でお誕生月割引を使い関税を支払う方がお値打ちになりそうな計算でした。じゃあ他もまあチラチラ見つつ? ほぼ決まりですけど? 次の誕生日を待ちますか~と考えていたら、昨今の金相場&円安を反映したのかしれっと公式が値上げ😨
 なにやら出鼻を挫かれたような感じがし、ネックレスへの勢いがしゅるしゅると萎んでいくのを感じました。すると、左手が私に囁きます。「アンタ元々指輪欲しいって言ってたじゃん」と……。ごもっとも。

 では一度フラットに、改めてネックレス又は指輪で再検討です。まずはハイブランドから……の法則で、有名ジュエラーのホームページを片っ端から見ていきます。
 ちなみにこの頃から、折角ならよいジュエリーを購入したい、という気持ちが出てきました。元々は左手をしっくりくる形にできればよかったのでさほど高価なものは考えていなかったのですが、いかんせん一度購入直前まで考えたネックレスが高価なものだったこと、最近のハイブランドの値上げスピードが凄まじいこと、金もガンガンあがっていてこのままだと10年後には「一生物ジュエリー」には手が出なくなりそうかも、という焦りがあったことから、一つくらいは子供に良いものを残したいな……と。
 子がそれを望むかどうかは分からないので押し付ける気は全然ないのですが、彼女が後々私のジュエリーボックスを覗いた時に、「あっちょっといいもの入ってるじゃんラッキー😉」と思ってもらえたらなんか嬉しいな~、なんて気持ちがちょっとあったり。

候補1 ギメル(未試着)

 憧れブランド! 知っている人は知っている国産のジュエリーブランド、という点が既にツボ。コンセプトが本当に素晴らしく、存在しないうるわしの故郷を感じて切ない気持ちになります。
 実は昨年、ネットで見つけて一目ぼれした指輪があり、これを一度諦めています(ゴールドにいくつか小さな色石が散りばめられているもの。雰囲気はポメラートのイコニカっぽい感じ)。今でもめちゃめちゃ可愛いと思っていて、何なら明日、急に庭から石油が湧いてきたら多分買いに行きます。私に似合ってなくてもええんですコレクションにするから。
 そのほか、リボンの形をした指輪が可愛くていいな~と思ったのですが、桁がひとつ代わってくるのでちょっと勇気が出ず……。同じシリーズの小さいサイズのネックレスならギリ頑張れそうだけど、リボンは指にしている方が可愛いと感じるので×。

超可愛いリボンの指輪(安心堂さんHPより

 星やハートにみっちりパヴェが細工されたネックレスも可愛いけど、でもちょっと私のコンセプトとはイメージ違うかも、うーんうーんとか考えていたら試着の機会を作れぬままジュエリー探しが終わってしまいました😂

候補2 ヴァンクリーフ&アーペル(試着済)

 夫が子を見てくれる日が決まったので来店予約をしようとしたら、半月先まで予約が埋まっていてびびりました。◯年前に結婚指輪探しに行ったときはつるんと入れてもらえたのに!? と軽いジェネレーションギャップ。
 取り敢えず朝一で来店して順番を取ってもらい、昼前に入店。見せてもらったのはゾディアックのシンプルなコインネックレスと、ペルレのスモールリングです。
 ゾディアックはふんふん、なかなか良い感じ。子が幼稚園にあがるので、育児ちょびっとお疲れ様記念で~と話したら、「記念ということでしたら何か刻印をすることもできますよ」と教えていただき、ぐっと気持ちが傾くなど。子の名前を入れたら、ここまでひーこら育児を頑張ってきた気持ちに寄り添ってくれる良い記念になるのでは……とちょっぴりドリーム状態に。

ひつじが可愛い(公式HPより


 ペルレは希望サイズと色全ては揃っておらず、取り敢えずあるものだけを(確かピンクゴールド)。控えめですが美しく、私の肌にも色が映えて素敵でした。重ね付けには確かにピッタリですが、サイズ変更ができないこと、主役というタイプではなく名脇役といったテイストのため、今回はちょっと違うかな……と見送り(予算が許せばいつか欲しい気はする)。

思っていたより華奢だったペルレ(公式HPより


 記念ということでしたら、ぜひ色々なブランドさんを拝見なさってじっくり決めてください、とおっしゃってくださった店員さんが優しくて嬉しくなりました。

候補3 カルティエ(試着済)

 当初の目的であるイエローゴールドとプラチナの指輪を馴染ませる、という意味であれば、ハナからどっちの色も入っているリングをすればいいんじゃないか? という安直な考えによりトリニティを試着。なんとなくここまでジュエリーを見てきた感じ、あまり太めのリングはそぐわない(見た目にも気持ちにも)ようなので、スモールと細い七連のタイプを。七連のタイプはネットで見た限り一番好きだったのですが、実際に指に嵌めるとスタンダードなスモールの方がしっくりくる感じ。

七本全部バラバラに動くのでちょっと嵌めにくかった(公式HPより
スタンダードかつおしゃれ(公式HPより

ファッションリングとして懐が深いというか、何にでも合わせられて且つアクセントになってくれそうとは思うものの、強いときめきはなかったので今回は見送り。どんな服でも、何歳になっても似合ってくれそうで便利な予感があるので石油が湧いたら(以下略)。サイズがなかったので中指に試着させてもらったのですが、「恐るべき子供たち」が好きなので、できればコクトーと同じ小指で試してみたかったな。

候補4 Cece Jewellery(試着済)

 昨年千駄ヶ谷のロンハーマンで試着させてもらった際、「今は千駄ヶ谷店にしかないんですけど、そのうち他店舗に散り散りになっていくと思うので、早めに検討された方がよいかもしれません」とお話いただいていたので、これ寧ろそこ(ロンハーマン有楽町店)に今ならあるのでは? と行ってみたら本当にありました🤣
 今度こそリベンジ! と思い指輪を一つと再び蛸さんネックレスを。指輪は柄がどうとか以前に、そもそも形が似合いませんでした。シグネットリングのようなボリュームある指輪はやっぱり駄目な様子。ネックレスは再び試着すると、やはり可愛い。確かに可愛いんですが、初回ほどのときめきはなく……。色々と試着をするうちに、どうやら欲しいものに変化が出てきたようです👀

候補4 クアラントット(試着済)

 結局バランスをとるならブランドを揃えていくのが一番よいのでは、と思い来店。好みや自分のコンセプトを考えて、当初はLibreriaという本棚のような指輪を見せてもらおうと思っていました。

重厚感のある本たち(公式HPより

 以前対応してくださった店員さんがいらしたので「イエローゴールドとプラチナのバランスをとりたくて、重ね付け用に指輪を探しているんです」と相談することに。すると、細めのもの、小ぶりなモチーフの付いたものを色々と出してくださいました。試着すると確かにうん、可愛い。でもでもコンセプト通りのものをまずは、と上記のものをお願いして試着してみると、あれ、なんかイメージと違う……?
 私の困惑を感じ取ったのか、店員さんが「インスタなんかでデザイナーは結構こういう大ぶりのものをコーデしているんですけど、慣れないと違和感が出てきちゃうんですよね。もちろんこれはこれで可愛いんですけど」と。だから最初から小さいものを紹介いただいたのですね……と、「私」を見てしていただいたその接客に大感動! 前に指輪を購入した際も思ったけど、めちゃめちゃ居心地の良いお店です。
 その他、地金がコンビのものをいくつか見せていただいてこの日は終了。一番いいなと思ったのはVenereという指輪でした。

金星がモチーフなんだそう(公式HPより

 これまで見ていたものよりちょっと太めなんですが、地肌が透けて見えるのであまり重々しさが出ないのがよかったです。

自問自答フェーズ

 あらかた目星をつけたものを試着したところで、さあさあJJGなら自問自答フェーズです。
 本当はあといくつか試着しようかなと思っていたブランドもあるのですが、何度かHP上で作品を見るうちに、「なんかやっぱりイメージ違うな」の気持ちが上回ったのでやめることに。ハイジュエラー、見たいタイミングで見られないことが多くて、ちょっと精神的なハードルが高く感じてしまいました。夫の仕事の都合がつかないと子どもを見ててもらえないのであまり先の予定は立てられないのですが、そんな自分の暮らしと来店予約のシステムがどうにも気持ち的に噛み合わず……まあこれも相性ということですね。

 正直、このままならVCAのゾディアックかな、と考えていました。今後値上げが続けば手を出しにくくなるし、VCAというブランド名を考えれば、「親のジュエリーボックスから発掘出来たらラッキー部門」でもなかなかの高得点を出せるでしょう。しかし、なんでしょう。もう今すぐ買いに行きたい! との熱量が湧いてこず、いまいち決め手に欠ける。

理由①:チェーンがちょっと長すぎる気がする。45~50cmくらいがいいなとぼんやり考えていたのだが「VCAとしては70cmでご提案しております」と言われてしまうと、他の長さをくださいとも、よそで買いますとも言いにくい。

理由②:天体モチーフ、刻印可能といった要素には惹かれるのだが、試着した時鏡に映った自分にときめきを感じなかった。

 ジュエリーは一番、「自分らしさ」を出せるパーツです。そう考えると、やはり❤ときめき❤が足りないものは買うべきではないのではないか? 現在の私は無職です。高価なジュエリーはいくつも買えるものではないのに、その貴重な枠を「将来子供が一番喜びそう」といった他人軸(しかも自分の想像する将来の子どもという半ば架空の存在)で決めてよいのか?
 悩んでは三越伊勢丹のラグジュアリー通販を開き、ジュエリーのページを高い順に並べ替えてはああでもないこうでもないと考えていました。セカンドハンドで見つけたシャネルのリボン指輪とかはどうかなとか、ついにはなぜかエルメスやらモラビトやらのバッグを見始めたりと迷走しかけたその時、ある出会いが降ってきました。

 えっ、何これは。可愛い、何???

 確かインスタの広告? おすすめ? だったと思います。黒い背景にずらりと並べられた魔法使いのような指輪たち。きらきらと輝く色とりどりの宝石が、夢のように並んでいます。日頃インスタのこうしたおすすめは開かないのですが、ついついぽちり。リンク先には愛らしいメリーゴーランドを模った指輪が目に飛び込んできます。なるほど、新作の指輪。え、メリーゴーランドの屋根部分に嵌められた宝石を選べるオーダー会? いつ? 今?
 多分、これまでの試着経験から言えばメリーゴーランドの指輪は似合わないと思います。でも、それもやっぱり試着しないと分からない。もし似合っていたら、購入することになるのだとしたら……オーダー会、逃したくない! 夫に子を託し、東銀座へダッシュです。

Mayuranoirへ

 私が出会ったブランドはMayuranoirさんといい、割と新しいブランドの様子。実店舗は昨年にオープンしたばかりらしく、それまでは展示会をメインに活動されていたようです。

 コンセプト、めちゃめちゃいいですね。アンティークジュエリー、物語、御守り……。どれも私のコンセプトにびびびとくる感じ。
 人でごった返す銀座の大通りを越し、でんと鎮座する歌舞伎座を曲がって進めば、次第に人もぱらりぱらりとまばらになってきます。ここまで来ると、大分静かです。ゆったりと時間が流れているような空気にうきうきしながら歩を進めるうちに、目的地にたどり着きました。
 こんなところに千疋屋があるんだな、歌舞伎座の役者さんたちへの差し入れとかに使うのかしら、などと考えながら入店(ビルの1階に千疋屋が入っているのです)。重厚感のある黒と赤の店内に一瞬怯むものの、にこやかに声をかけてくださった店員さんにほっとしながら、初めての来店であることを告げます。
 ちょっとしたご褒美ジュエリーを探しているんです、とお伝えすると、「それではまず、色々着けていただかないとですね!」と店員さんの目がキラリ✨ そこからは怒涛のように試着、試着、試着! ハイジュエラーでは「お探しのものはどれですか?」からのスタートでしたが(来店予約していない身では、あれもこれも見せてくださいとは言いにくかった)、こちらは何かをお願いする前にずらりと指輪が並べられていきます。

 着けてみないと何がお似合いになるか分からないので、とのお言葉通り、確かに色石は着けてびっくり試着が多かったです。洋服ではまず選ばないような淡い黄色や緑が似合うと言っていただき大変な驚き。黄色は苦手意識の強い色なので自分ではピンときませんでしたが、確かに緑は似合っているようで、淡い新緑のようなエメラルドの指輪は随分と指に映えていました。一方で、服では手に取りがちな濃いブルーは可もなく不可もなく……。服の色に近い分、かえって馴染み過ぎて華やかさが目立たなくなるのかも? と今更になって分析しています。
 ちなみに、気になっていたメリーゴーランドの指輪はダメではないけれど、やっぱりしっくりくるほどではありませんでした😭 まあこれは想定の範囲内。

 とはいえ色石は経験値が少なすぎる! 似合うもの、好みのもの、服とのコーディネートも全然考えられていないし、そもそもズボラの私が取り扱えるかも不明😂 ということで、今回は色石メインの指輪は候補から除外。続いてはお手入れの不安が少なそうなシリーズを。

マリーというシリーズ。超かわいい(公式HPより

 かーわいい!!!
 でもこれ、色石のリングの上に重ね付けする方が可愛いんです(試着させてもらった)。そうすると、結局はメインとなる色石の指輪を先に決めなきゃいけません。もちろん一本でもいいんですけど、より理想的な形を見てしまうとちょっと、妥協できないなって……(欲しい気持ちがあるのはヒミツ🤫)。
 続いてはこちら。

圧倒的美(公式HPより

 エッかわいっ、なにこれ!?

サイドにも細工がしてあります(公式HPより

 そういえばネックレスもご検討でしたね~、と店員さんがネックレスもつけてくださる。え~!!!!!!

 色々と指輪を試着させてもらってる時から全部可愛くてわけわかんなくなります……と言っていた私ですが、ここにきて完全に思考停止です。え~、なに、え~~~……。

 試着の場で惹かれたのはネックレスでした。その日は黒いブラウスを着ていたのですが、黒い布地の上できらきらと光る金色のペンダントトップは大変美しいものでした。チェーンも真っ直ぐではなく少しスパイラルしているためか輝きが凄くて、単なるチェーンなのに華やか。これ私のためのネックレスでは? と本気で思いました(Ceceでも同じようなこと言っていましたね)。もうこれは「買い」だな……と思いつつも、流石に即決はできず、取り敢えず今日は検討しますと伝えて帰ることに。
 なお、この日から私はインスタ検索の鬼となりました。Mayuranoirをお持ちの方がどんな合わせ方をしているのか、過去のコレクションでめちゃくちゃ刺さるのがあったりしないか(もし刺さったら再販を待ちたいので)、ちょっと引かれるくらい検索しました。ちなみに私は自分のこうした若干やばめな執念深さ、嫌いではありません😉

 すると、私が刺さったオフィーリアというシリーズの指輪をお持ちの方が出てきたんです。その方はシャンパンゴールドだったかな? をお持ちのようだったのですが、写真ではちょっと色が薄く、プラチナのように見えたんですね。そちらの投稿を見た後、再び公式のこの写真を見てみます。

もうこのビジュアルが好きすぎる(公式HPより

 あっ、白いレースの手袋だ、と思いました。指輪を試着した時には、単に「レースみたいで可愛いな~」くらいのことしか思わなかったのに、後になってからじわじわ染み入ってくるこの現象、なんなんでしょう。
 もちろん指輪です。金属です。でもこの瞬間から、私にとって、この指輪は手袋になってしまったんです。淑女の必需品なんです。私はレディなので、白いレースの手袋が必要なんです(錯乱)!!!

 あきやさんの日記で「街中でこの服を着ている方を見たらちょっとジェラシーを感じてしまうかも」とおっしゃっているのがありました。

 私、このレースの手袋(注:指輪です)をお持ちの方のインスタを見てガルガルした気持ちが生まれ始めたんですよね。

「これ私のなんですけど!!!」って(注:私のではありません)。

 さっきまで「ふんふん、なるほど……参考にさせていただきます……」って見てたのにですよ。温度差にもほどがある。
 なおもう一回投稿をよく見たらシャンパンゴールドって書いてあったので、もう一回「ふんふん、なるほど……参考にさせていただきます……」ってテンションになりました。気持ちの乱高下がひどすぎる。

清水の舞台から飛び降りる

 そんなこんなでネックレスに傾いていた心の天秤が、急にがくんと指輪へ傾きました。すると持ち上がってくるのがバラの指輪どうする問題です。
 当初、ジュエリー探しの目的は「指輪のバランスをとる」だったのになんでこうなっているんでしょう。不思議ですね。人生は複雑怪奇です。
 店頭で試着した限り、オフィーリアとバラの指輪の重ね付けはNGです。いかんせん、オフィーリアにボリュームがありすぎる。じゃあどうする? 簡単です、つける指を変えりゃええんです!
 元々バラの指輪は左手人差し指用として購入した物でしたが、まあ同じ人間の指だし、多少場所が違ってもいけるとこあるんじゃないか、とあちこちの指に嵌めなおしてみると、うん、右手の薬指(ちょっと緩い)と右手の中指(ちょっときつい)ならいけますね! いけるいける、これくらいなら大丈夫だって!!!!

 もうここまで来ると大分気持ちは固まっていたのですが、とはいえ金額が金額だけにやはり迷いはでてしまうもの。絶対後悔したくないとなると、やっぱり指輪……いやでもこの前試着した時はネックレスが……とうだうだしながら、来る日も来る日もMyuranoirさんのインスタやら公式やらを舐めるように眺めている妻にドン引いたのか、夫が言うのです。「もう、店頭でもう一回試着させてもらっておいでよ。それで決めればいいじゃん」と。いや、次行くときは買う時だから……GW中はお休みだからその間に自問自答をして……ともごもごしていると、夫と子が外出の準備を始めるではありませんか。

「じゃ、おれたち買い物行ってくるから。銀座行っといで。じゃあね」

 無慈悲にも締まるドア。置いてけぼりの私。化粧をして、もう一度試着をするにあたって合わせてみたいジュエリーをいくつか身に着けて。
 そうして更に立ったり座ったり、赤くなったり青くなったり一人百面相をすること三十分。ついに覚悟を決めて、再び銀座の地に赴くことを決めたのでした。

 再び見えた千疋屋の店構え。前回訪れた際もそうでしたが、今回もこのタイミングでのお客さんは私だけ。オフィーリアをもう一度見せていただきたくて、とお伝えして、お店の在庫を全部並べてもらいます。まずプラチナの指輪から。

「やっぱりお客様にはプラチナですかね~」

 前回私が一番テンションをあげていたのはイエローゴールドのネックレスだったのに、やっぱり似合うものって人から見ると結構分かるんだ、と驚きました。バッグを買った時もイエロー金具とシルバー金具とで試してみた結果、圧倒的にシルバー金具が似合っていたので、まあ、やっぱりそういうことなんでしょう。続いてイエローゴールドの指輪を嵌める。やっぱり直接肌に乗せる時には、プラチナが一番すっきり美しく見えます。

 実は、今回はずっと箪笥の肥やしにしていたネックレスをしていきました。むかーしむかし、親に買ってもらった水色の石のついたイエローゴールドのペンダント。もしかして私は、シンプルなトップスを着用した際に胸元の寂しさを埋めるためにネックレスが欲しいだけなのではないか? との予想があったためです。「このネックレス」ではなければいけないのか、ネックレスであればなんでもいいのか。それを確かめるために、あえてのネックレス重ね付け。
 手持ちのネックレスの下にオフィーリアのネックレスを試着させてもらうと……うん、やっぱり。既に空白地帯が埋まっているためか、前回ほどの感動はありません。ポエムが出てきた時点でわかっていたことですが、漸く腹が決まりました。手にじっとりと汗をかいてきましたが、緊張とは裏腹に口はスラスラと動きました。

 「私、プラチナの指輪にします。こちらをお願いします」

 人生で一番高い買い物をした瞬間でした。

 購入にあたっての手続きを終えた後も、お時間あるなら試着していかれませんか? とたくさん指輪を見せていただきました。クアラントットさんの時も思ったけど、路面店のジュエリーショップの店員さんめちゃめちゃめちゃめちゃ優しい。すごく良いお買い物体験をさせてもらって、本当にありがたい限りです。
 オーダーになるので手元に来るにはまだ時間がかかるのですが、待っている時間も愛おしく思えます。まるで遠く離れた恋人からの手紙を待つような……(そんな経験はありませんが)。
 強いて言えば、5月のあきやさん講演会に身につけていけないのが残念です。ま、それならまた次回以降の講演会にしていけばよいのですよね😉

余談

 そんなこんなで指輪を購入したので、その分、ネックレスは今家にあるものを活用していきたいな~と思っています。まずはレースの手袋を購入した時に着けていたペンダントヘッドを使えるようにしたいですね(本体k18なのにチェーンはk10のものしかなく妥協したので)。
 ただ、これ石がなんなのか分からないんですよね。超大昔にタイ旅行した時買ってもらったもので、証明書みたいなものが全然ないんです。確かトパーズだかトルマリンだかペリドットだかなんだかだったような……(つまり全然分からない)。石がなんだか分からないとお手入れのしようもないので、今度暇な時に鑑別に出してみようかなと思っています! 鑑別に出したらそれもnoteに書きたいな(書くことで自分を鼓舞するスタイル)。

 なお、このnoteの文字数が一万字を超えた! と夫に見せたら「おっ、おれがカードゲームに関して書いたnoteと同じくらいの熱量だね😊」と言われました。一緒にしないでほしい。

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