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免疫マップ:日常で役立つコーチング心理学#2

割引あり

こんにちは。コーチのすぐです。普段はデジタルプロダクトのデザイナーをしながら、人の可能性に向き合うプロコーチとして活動し、人の本質的変容とは何かを探求しています。

今回は、「変わりたくても変われない」という心理的なジレンマの深層を掘り起し、変化に対して自分を守ろうとしているメカニズムを解き明かした、ロバートキーガンの「免疫マップ」について解説します。

ビジネスや、日常においても、自分を内省することができる非常に有効なツールです。今回はコピーして使える書き込み式のテンプレートもご用意しました。

これを書いているのは2023年のGWの最終日。明日からより良い人生を歩む上での、新しいスタートにも是非ご活用ください。


\ このnoteがきっかけとなり、全4回の免疫マップWSのベータ版を実施することになりました!詳細は以下のURLをご覧ください!





免疫マップとは

免疫マップは「なぜ人と組織は変われないのか」で紹介されているツールです。本書で「人は変わる必要性を認識していても85%の人が行動すら起こさない」と語られています。

著者のロバートキーガンは、ハーバード大教育大学院教授で、人は何歳からでも成長できるという「成人発達理論」の第一人者です。

本書で提示される「免疫マップ」とは、「変わりたくても変われない」という心理的なジレンマの深層を掘り起し、変化に対して自分を守ろうとしているメカニズムを解き明かす手法です。

著者たちは、変革が進まないのは「意志」が弱いからではなく、「変化⇔防御」という拮抗状態を解消できないからだと説きます。

成人発達の理論的研究に加え、長年の経験で培った実践的手法を紹介。 組織のリーダーやメンバー、企業の経営陣、プロジェクトチーム、政府機関、教育機関など、さまざまな個人と組織の変革を導いた豊富な事例が詰まった一冊です。


Amazon紹介文より


人が変わりたいのに変われない様を、ロバート・キーガンは「まるでアクセルを踏みながらブレーキをかけているようだ」と強調して表現しています。

例えば、日常生活だと「痩せたいと思っているのに、ストレスが溜まってラーメンを食べてしまう」といったケースや、ビジネスのシーンだと「部下に仕事を任せて重要な課題に集中したいのに、実際は力を貸してほしいと頼めない」といったアクセスとブレーキが考えられます。

そこで彼が考案した「免疫マップ」を活用することで変化に抵抗し、自分を守るための免疫機能を洗い出すことができます。

理想の状態と、そのブレーキをかけている裏の目的を炙り出し、改善目標を立てることで、自己変革のアプローチに役立ててみましょう。


免疫マップの作り方

免疫マップは、以下の5つの項目を順番に書き出すことで作成できます。(私自身の知見をベースにフォーマットを少しアレンジしています。)

  1. 改善目標

  2. 阻害行動

  3. 不安感情

  4. 裏の目的

  5. 強力な固定概念

今回は記入用のテンプレートをご用意しました!こちらからコピーを作成してご活用ください。一つずつ解説していきます。

記入用テンプレート


1. 改善目標

改善目標は、自分が心から望んでいる状態や目標のことです。

僕の場合は、デザイナーとして働いていたり、コーチとして活動している時に

仕事やコーチングの練習の場で相手のFBに耳を傾けて、謙虚に成長したい

といった目標があります。

改善目標

ポイントとして、「それは本当に達成したいと思う心からの目標か?」と問いかけてみて、理想の状態を書き出してみましょう。それが後の項目を埋める際に、解像度が上がるポイントになります。


2. 阻害行動

阻害行動は、「①を達成したいと思っているのに、ついやってしまっている行為や、妨げているもの」です。

僕の場合は、相手のFBを謙虚に受け取りたいと思っているのに、

「相手のFBがどうしても批判にみえてしまう」
「相手のコメントに対して反論するように返答してしまい、自分の意見を押し通してしまう」

という行為が挙げられます。

阻害行動

とても恥ずかしいですが、それをした結果、微妙な関係になってしまうことが多々あります。でも、主張をしなければそれはそれで僕の中にモヤモヤが溜まり、これは深刻な問題でした。


3. 不安感情

次は、「②の阻害行動をしない、もしくは反対の行動をとった場合に、起きてしまう最も不愉快な事柄や感情」を書き出してみましょう。

ここはとっても大切な段階で、特に感情にフォーカスすることがポイントです。

なぜなら、私たちは普段仕事や日常生活を送っている時に、不安を感じないように生きています。不安を感じないために阻害行動をしているのです。それは逃避・克服行動になります。

普段は感じないようにしている感情を、今ここだけでも感じてみましょう。感じることは誰も傷つけないし、誰にみられるものではありません。

しっくりした感情がピンとこない場合は、NVCジャパン・ネットワークの「気持ち/感情 - 未完成リスト」を眺めてみて、ピンとくるものを選ぶといいでしょう。

僕の場合は、阻害行動をしない(相手のコメントに対して反論しない)と

何も考えていないと思われてしまう
詰めが甘いと、勉強が足りない

と思われて、見下されてしまう。と記載しました。

不安感情

それをありありとイメージして、感じてみると「惨めだったり、拒絶されたような感じや、劣等感」が溢れてきます。


4. 裏の目標

感情を味わいイメージを広げた次は、裏の目標を書き出します。「不安感情を避けるためにしていること、阻害行動をして得ていること」はなんでしょうか?

僕の場合は、阻害行動をすることで

「優秀だと思われたい」
「相手より有利な立場に立ち、主導権を得る」
「墓穴を掘られないようにする」

ということ得ていることに気づきました。

裏の目標


5. 強力な固定概念

最後は「自分・世界に対する強い信念・思い込み」を書き出していきます。

阻害行動を生み出している、思い込みはなんでしょうか?理想を達成したいのに、妨げているあなたの信念はなんでしょうか?

僕の場合は、

「何も考えていないと、相手にやられる・見下されてしまう」
「自分は無能と言うことをバレてはいけない」
「バレてしまうと振り回される・見下される」

のようなことが炙り出されました。

強力な固定概念

ここまで書いてみると、「ナントイウコトダ….」とがっくり項垂れるような感じになりました。

表面上ではどんな人のFBも受け取りたいと言いつつ、実際には優秀だと思われたいと思っていたり、FBを受け取らない代わりに、自分は無能と言うことをバレないために阻害行動を優先していることに気づいたからです。

みなさんはいかがでしょうか?僕自身も最初はしっくりこないこともあったので、ゆっくり時間をかけてやってみたり、何か達成したい目標が出てきた時にぜひ取り組んでみてほしいです。


免疫マップをどう生かすか?

免疫マップは、言葉の通り「自分を守るためのシステム」のマッピングです。それは生存本能に近いものなので、これを炙り出したとて簡単に変えることは難しいでしょう。

しかし、自分に備わっているシステムを俯瞰的に見ることで、初めて行動を見直し、改善することができます。

よって、1ヶ月や半年など長期的な目線で見て、阻害行動をしないではなく、自分自身で少しずつ行動を変えることで、最後に洗い出し固定概念・思い込みを少しずつ変えていく努力が必要だと考えています。

目標を考えることもそうですし、コーチングを受けるのもおすすめです。免疫は自動反応のシステムであり、それは無意識に実行されるものであるため、コーチと共に改善目標を決めたり、免疫マップを洗い出すことも良いと思います。

他にも、仲間や友人と対話しながら取り組んでみて、「それってどういうこと?」と問いかけながらやってもいいでしょう。




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