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24年5月雇用統計を紐解いてみる

先日発表された雇用統計。
予想より弱い結果となり、金利は低下。株価は上昇しました。

しかし、雇用統計はどんな指標でなぜ重視されているか
ここも一緒に考えていきましょう。

このnoteでは
①雇用統計はどんなものかがわかる
②2024年5月の雇用統計を読み解く

を行っていきます。

✅雇用統計ってどんなもの?

✅まずは、雇用統計の仕組みを理解しましょう。


雇用統計は原則月次のものを翌月第一金曜日に発表されます。
※正確には12日を含む週の状況を調査し。計測期間から3週間後の金曜日となっています。おおよそ第一金曜日と考えておけばおっけーです。

発表されるもので、特に注目されていること。
①非農業部門就業者数
・好景気だと20万人以上だと良しとされてます。
・通常時は毎月10万~15万人程度の増加が安定の目安とされています。
②失業率
・厳しめに言うとおおよそ4%台になってくると完全雇用といえます。
③平均賃金の伸び率
・年間どれだけ伸びるかによって利上げ、利下げへの材料に

✅なぜ雇用統計が注目されているのか

では、いろんな指標がある中で、なぜ雇用統計の注目度が高いのでしょうか。

FRBの「2つの使命(Dual Mandate)」がカギ
FRbには2つの使命として「物価の安定」と「雇用の最大化」を掲げています。

平均賃金からは労働賃金という物価、雇用者数や失業率からは雇用の最大化に焦点が当てられます。
雇用統計はFRBの使命両方に大きな影響を与えるものであるため、結果によって金融政策決定へのトリガーとなることも多くなっています。

雇用の増加、失業率の改善は、賃金アップや消費活動の拡大、景気拡大。
逆は景気後退。のイメージ。

auじぶん銀行資料より


✅注意したいコト①:雇用統計は遅行指数である

雇用統計は、景気先行指数ではなく、景気遅行指数になります。
どういうことか、というと。
雇用は、景気が良くなってきたから求人を伸ばしたり時給をあげる。
景気が悪くなってきたから、リストラや時給ダウンに。
といった景気の動きに対して動くという性質があります。

✅注意したいコト②:信頼性はどうか

最近、雇用統計の数値への信ぴょう性に疑問もでています。
例えば、雇用者数は2か所以上で働いている人も、カウント対象企業ならダブルカウントされてしまう。といった理由です。


✅あらためて24年5月の雇用統計を見ていきましょう

✅雇用者数は予想以上に鈍化


米労働省データより

コロナショックの後の回復で、21年から非常に高い水準となっていましたが、徐々に落ち着きが見えています。
20万人以上で良しとされていたなか、強すぎとも言われていたのが落ち着きが見えてきているのはプラスですね。

✅失業率は完全雇用状態


失業率はコロナショック後急激に上がりましたが、4%を下回り完全雇用状態。かなり強い状態をいじしています。
しかし、23年5月に3.4%を付けて以来、徐々にではありますが上昇基調に。

✅平均時給(前年比)も低下傾向


22年には5.5%を付けて以来、徐々に低下。しかし23年はずっと4%を超えていました。賃金インフレが続いていると言われるゆえんですね。
しかし、21年7月以来の4%割れとなったことで、賃金インフレも鈍化への期待が高まった感じですね。


✅利下げ見送り懸念が後退

✅FedWatchでの予想は年1~2回に


発表前までは、強い経済指標をもとに、利下げも年1回あるかどうかと言われていました。
しかし、雇用統計の結果を受け、予想が年1~2回程度まで上昇。

あくまで市場の予想ですが、雇用統計が非常にFRBに影響を与えるものと思わせてくれる変化ですね。

✅結果を受けて金利低下・株価は上昇

21:30に発表された結果を受けて、金利やS&P500は次のように急変。
まずは金利。

10年債利回りは一時4.45%まで低下。
次にS&P500の株価は

警戒感が薄まり、リスクオンとなっています。

✅重要指標はこれからも要チェック

雇用統計について解説してきました。
重要指標は、どういった指標なのか、どのような点がポイントなのかを見て取り組むとより今後の戦略へのイメージが湧きやすいですよね。

これ以外にもたくさん重要なイベントがあるため、これからもしっかりチェックしていくのが大事です。

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